JRAコントレイル「全弟」が早くも崖っぷち!? クラシックどころかダートでも鳴かず飛ばず、兄の種牡馬としての評価にも黄色信号か
2020年にディープインパクト以来となる牡馬クラシックで無敗の三冠を達成し、昨年のジャパンC(G1)で有終の美を飾ったコントレイル。
その全弟として大きな注目を集めていたサンセットクラウド(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が、早くも窮地に陥っている。
同馬は先月30日に行われた東京2R・3歳未勝利戦(ダート2100m)に出走し、5着と敗戦。これでデビューから3戦未勝利となった。
昨年10月の新馬戦(芝1800m)では、後のフェアリーS(G3)勝ち馬のライラックに敗れ5着。そして、2戦目の2歳未勝利戦は阪神の芝1800mに出走し4着と、いずれも掲示板が精一杯だった。また、レース内容も走破時計、上がりタイムともに平凡で、見せ場は乏しかった。
すると3戦目の今回、突如これまでとは大きく条件の異なるダート2100m戦に出走。言わずもがな、芝のレースで大活躍したコントレイルの全弟である事を考えれば意外な選択だった。
レースは道中、中団後方で追走するまずまずの展開。勝負所の4コーナー過ぎでは、一瞬これはと思わせる加速で先団に取り付く脚を見せる。しかし直線では伸びを欠き、勝ち馬とは1.4秒差の5着と敗戦。兄バーンフライ、姉のアナスタシオはダートでの勝ち鞍があり、母系はアメリカのダート血統であるため、ダートで一変を期待されたが、残念な結果に終わってしまった。
3戦いずれも掲示板は確保しており、堅実さがあると言えば聞こえは良いが、どのレースも勝ち馬からは離された完敗。未勝利クラスにおいては、まず1つ勝つ事が重要で、善戦している間にも、未勝利戦開催期間終了のタイムリミットは残り半年というところまで近づいてきている。偉大な兄の背中を追って、クラシックでの活躍も期待される同馬にとっては、ますます苦しい状況となっている。
振り返ると、デビュー戦後には管理する矢作調教師、鞍上の福永祐一騎手ともに、同馬の素質は評価しながらも、良くなるのはまだ先で成長待ちといったコメントを残していた。ただ、そのデビュー戦からは4ヶ月近くが経っている。未勝利戦はまだあるとはいえ、クラシックへ向かう馬が使うケースはほとんど皆無といえるダート長距離戦への出走には陣営の焦りも垣間見える。2000年以降の三冠馬、ディープインパクトとオルフェーヴルの全兄弟でデビューした馬は全7頭いるが、その内の6頭が勝ち上がっており、同じ三冠馬コントレイルの弟としては陣営にもプレッシャーがかかるだろう。
また、ディープインパクトにはブラックタイド、オルフェーヴルにはドリームジャーニーと、それぞれ実力のある兄弟がいる。失敗が許されない新種牡馬コントレイルにとっても、今後の活躍を占う上で、弟の活躍は気になる所かもしれない。
とはいえコントレイルの相棒だった福永騎手も間もなく復帰を控える。再びコンビを組むことになればサンセットクラウドにとって追い風になるだろう。エリートだった兄とは違い、苦労人の弟がこれからどんな走りを見せてくれるのか期待したい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRA「強過ぎた」がために逆風吹いたコントレイル、全弟サンセットクラウドがデビュー、最強の“逃げ馬” が歴史的栄誉と引き換えに遠ざかっていったファンの理想像
JRAコントレイル全弟は芝でダメでも「ダート」で新境地!? 一族が今年のアメリカ三冠ベルモントS(G1)を制覇
コントレイル「全弟」に早くもクラシック黄色信号!? 福永祐一「中長距離を走る上では理想的」無敗三冠の兄より「雄大な馬体」も……
JRA武豊「恨み節」もついにストップか!? 東京新聞杯(G3)チグハグ連敗馬に絶好舞台も……、大幅割引は「重賞73連敗」の三冠トレーナー
JRA「重賞94連敗」岩田望来に救いの女神降臨!? きさらぎ賞(G3)「紅一点」だからと侮ってはいけない良血馬とは