JRA 牝馬クラシック「相棒不在」のC.ルメールが余裕の海外渡航!? 桜花賞トライアル「騎乗不可」でも平気なワケ
今週末にきさらぎ賞(G3)が予定されているように、徐々にクラシックへつながる3歳重賞の開催が目立ってきた。来週にはクイーンC(G3)、共同通信杯(G3)も行なわれるだけに、各々の騎手はここで結果を出して、本番のお手馬確保といきたいところだろう。
そんななか、パートナー確保に苦戦しているように映るのが、意外にも5年連続リーディングのC.ルメール騎手だ。
同騎手は昨年11月の東京スポーツ杯2歳S(G2)をイクイノックスで制したのを最後に、現在3歳世代の重賞を6連敗中。トップジョッキーといえども、調子が上がらないケースは珍しくないが、連敗時の騎乗馬の人気が全て1・2番人気となれば、話は別になってくるだろう。
特に深刻なのが牝馬のお手馬探しだ。ルメール騎手は昨年2歳重賞を3勝しているが、その全てが牡馬。一方、牝馬では未勝利で、馬券に絡んだのも2着1回と、なかなか勝てない状況が続いている。牡馬はすでにイクイノックスを確保しているが、牝馬は賞金面や能力面に不安の残る馬が多く、本番でどの馬に騎乗するかは不鮮明な状況だ。
それゆえ、これから行われる桜花賞(G1)のステップレースである3歳牝馬重賞は、騎乗馬のクラシック出走を確実にするためにも、どれも落とせない一戦になってくるだろう。しかし、先日ルメール騎手が桜花賞と同じ舞台で行われるチューリップ賞(G2)に騎乗しないことが判明した。
同騎手は今月26日、サウジアラビアで行われるサウジダービー(G3)に出走予定のコンシリエーレの鞍上に決まったのだ。サウジアラビアに渡航することは、すなわち帰国後に自宅または宿泊施設に待機する必要があるため、期間中のレースに騎乗できない。
現在の待機期間は7日間と、以前から短縮されているため、比較的早い段階で復帰することができる。ただ、チューリップ賞はサウジダービーの翌週に控えているため、ルメール騎手は騎乗不可の見通しだ。
ここでルメール騎手の牝馬クラシック相棒候補から一歩後退したと考えられるのが、阪神JF(G1)でコンビを組んだステルナティーア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。
同馬はルメール騎手が不在のチューリップ賞で始動予定。また、デビュー2戦は福永祐一騎手が手綱を取り、前走は香港渡航で騎乗できずルメール騎手に渡った経緯も踏まえると、ステルナティーアでクラシックに臨む可能性は低いだろう。
2歳牝馬G1で組んだパートナーが解消となると、いよいよルメール騎手といえども、乗り馬が限られてくる。
ただ、来週の東京競馬場で行われるクイーンCでは、ソネットフレーズ(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)がスタンバイしている。
「ルメール騎手が昨年騎乗した2歳牝馬で、唯一馬券に絡む活躍をしたのがソネットフレーズです。昨年のデイリー杯2歳S(G2)では、2着と牡馬相手に好走しました。
ステルナティーア継続騎乗の可能性が低い今、ルメール騎手にはソネットフレーズの他に、フォラブリューテ、ラスールといった牝馬のクラシック候補がいます。
前者は紅梅S(L)で鮮やかな差し切り勝ちを収めましたが、アルテミスS(G3)で阪神JF覇者サークルオブライフらに完敗。また、後者は2月東京最終週の条件戦を使う予定ですから、オークス(G1)に照準を合わせているように思えます。
一方のソネットフレーズは、桜花賞と同じ舞台の重賞で、後にG1・2着になるセリフォスら相手に善戦しましたから、能力は相当高いはず。現時点におけるルメール騎手の牝馬クラシックの最有力候補はソネットフレーズだと思います」(競馬誌ライター)
ソネットフレーズの収得賞金は1150万円と、例年の桜花賞出走ボーダーギリギリのライン。重賞で結果を出せず騎乗馬確保に苦慮したこともあって、クイーンCで是が非でも賞金加算し、桜花賞出走を確実にしたいはず。現在、重賞14連敗中の不調ルメール騎手だが、クイーンCのソネットフレーズに勝利を期待するのもいいかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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