JRA「重賞3着好走」も福永祐一があえて「酷評」する大器。オーナー悲願の桜花賞(G1)制覇へ「サークルオブライフと互角以上」と目される逸材の真価が問われる前哨戦
昨年12月に行われた香港スプリント(G1)で落馬負傷していた福永祐一騎手が、今週末いよいよターフに戻ってくる。
復帰早々でも大役が待ち受けているのが、人気ジョッキーの宿命だ。5日(土)には、中京競馬場で行われるエルフィンS(L)にシゲルイワイザケ(牝3、栗東・渡辺薫彦厩舎)で出走する。桜の切符をかけた大一番だ。
過去の勝ち馬にはデアリングタクトやウオッカなどがいる、言わずと知れた出世レースだ。トライアルレースではないが、勝利すれば桜花賞(G1)出走へ賞金的に足りることが多く、ステップレースに選ぶ陣営も少なくない。
シゲルイワイザケは、デビュー戦を福永騎手で快勝。当時、鞍上も「控えて良い形で競馬が出来ました。良い馬なので良い形でデビュー戦を終えられてよかった」とその能力を高く評価していた。続く2戦目のサフラン賞(2歳1勝クラス)は3着、前走のアルテミスS(G3)でも3着と好走し、クラスが上がっても順調な結果を残しているように見える。
しかし、前走後の福永騎手のコメントは、単勝8番人気ながら3着と好走した伏兵馬に対する言葉にしては、少々意外なものだった。
「この馬は初戦が一番良い走りで、そこには程遠いのですが、能力は示せたと思います」
まるで「この馬の本気は、こんなものではない」と言わんばかりだ。
「前走のアルテミスSは、スタートから終始2番手で最後の直線を迎えて、一旦は前の馬を交わし先頭に立ちましたが、残り200mを切ったあたりで2着のベルクレスタに交わされました。しかし、その後はゴールまで離されることなく、しぶとく食らいつく根性を見せました。着差も勝ち馬とはコンマ1秒差ですし、内容としては十分収穫があったはずです。
デビュー時から抜群のスタートとレースセンスの高さを兼ね備えていましたから、福永騎手がこの馬に魅力を感じているのは納得できます。ですが『そこから程遠い』と酷評された状態で、後に阪神JF(G1)を制すサークルオブライフに僅差の競馬なら、もしかしたら恐ろしいポテンシャルを秘めている可能性があります。
エルフィンSの結果次第ですが、桜花賞に出走できれば面白い存在になりそうです」(競馬誌ライター)
同馬を所有する冠名「シゲル」軍団を率いるのは、光証券株式会社の前代表取締役会長の森中蕃オーナーだ。近年は19年のチューリップ賞(G2)で2着、本番の桜花賞でも2着と好走したシゲルピンクダイヤや、昨年のフィリーズレビュー(G2)を制したシゲルピンクルビーなど前哨戦で結果を残し、見事本番へ駒を進めている。
オーナーの悲願でもあるG1初制覇へ向けても、今回は重要な一戦となる。デビュー以来3戦全てで騎乗している福永騎手がシゲルイワイザケに感じている可能性が本物であれば、結果は自然とついてくるはずだ。まずは、前哨戦エルフィンSに期待したい。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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