JRA C.ルメール大本命「どん詰まり」からの大逆転デビュー!? 包囲網に「やってしまったかな…」もディープインパクト譲りの豪脚炸裂!
6日、東京競馬場で開催された6Rの新馬戦は、単勝2倍の1番人気に支持されたロールアップ(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)が快勝。母に米G2勝ち馬がいるディープインパクト産駒が前評判通りのパフォーマンスを発揮した。
「良い馬を預けてくださっているオーナーのおかげです」
これが嬉しいJRA通算300勝の区切りとなった中内田調教師はそう謙遜したが、その言葉通り、今年も関西の新鋭厩舎から逸材が現れた印象だ。
16頭のフルゲートで行われた芝1600mのレース。鞍上のC.ルメール騎手が「スタートしてから、そんなに速くなかった」と振り返った通り、発馬こそ無難にこなしたが、ダッシュがつかずに中団やや後方から。この辺りは今後の課題になりそうだ。
前半の半マイルが49.1秒という新馬戦らしい非常に遅いペース。1枠1番からスタートしたロールアップだったが、前に馬が殺到したため徐々にポジションを落としていく。最後の直線を迎えた際は、先頭から5馬身以上離れた厳しい位置取りだった。
しかし、ここから見せたロールアップの末脚は、まさに非凡の一言だった。
内に閉じ込められた上に前が壁になって、ほぼ何もできないまま迎えた残り400mのハロン棒。ようやく馬群がバラけ始めると、ロールアップはライバルたちを縫うように加速。残り200mの時点で逃げ粘るヤマニンフェリクスとの差は3馬身以上あったが、あっという間に交わし切ってしまった。
「1枠1番の1番人気馬という難しい状況もあって、最後の直線を迎えた際は絶望的な位置取り。正直『これはルメール騎手やってしまったかな』と大本命が飛ぶことも頭を過ったんですが、力が違いました。鞍上もこれには『最後はいい脚を使ってくれた』と高く評価していましたし、2着コズミックエッグの内田博幸騎手も『今日は相手が悪かった』とお手上げといった様子でした。
上がり3ハロン33.8秒は、2位が34.1秒ということもあって出色の時計。ただ、残り600mから400mまでは周囲を囲まれてほぼ何もできなかったので、実質残り400mだけでライバルをごぼう抜きしたことになります。もしスムーズなレースができていれば、もっと速い上がりを記録していたでしょうね」(競馬記者)
前半が超スローペースだったため勝ち時計1:37.0は目立ったものではないが、記者は「逆に(ペースが遅い)長い距離への適性を示すことができたんじゃないでしょうか」と話す。ルメール騎手も「1800mでも問題ない」とコメントしており、今後はマイル以上が活躍の舞台になるかもしれない。
「一昨年の北海道セレクションセールに上場された馬ですが、ディープインパクト産駒ということもあって落札額も5800万円と(同セールの中でも)高額でした。
ディープインパクト×Tiznowといえば、2019年のセレクトセールにおいて歴代5位の超高額で落札された5億円馬のリアドが話題になっていますが、この馬も走ると思いますね」(別の記者)
リアドといえばデビュー戦を3馬身差で快勝し、武豊騎手とコンビを組んだ先月の若駒S(L)では単勝1.6倍に支持された強豪だ。スムーズなレースができず2着に敗れたものの「クラシックを狙える逸材」として高く評価されている。ちなみに現在登録されているディープインパクト×Tiznowは、この2頭だけである。
「まだ体が緩いので、もっと良くなりそうです」
レース後、ルメール騎手がそう語ったように、ロールアップの本格化はまだ先の話になりそうだ。ただ「上のクラスに行ける馬」と評価している通り、こちらもリアドに負けない好素材。牡馬牝馬の違いはあるものの同世代だけに、いつか直接対決を迎えることがあるかもしれない。
落札価格こそ10倍近い開きがあるが、必ずしも馬が前評判通りに走るわけではないことは、熱心な競馬ファンなら誰もが知るところ。まずはお互い“階段”を上り、できるだけ高い舞台で相見えたい。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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