JRA【フラワーC(G3)展望】良血サリエラ回避で混沌……昨年ユーバーレーベンが歩んだ出世レース。主役候補は「バラ一族」の末裔!
21日、中山競馬場ではフラワーC(G3)が行われる。主役候補と目された良血馬が回避したことで、どの馬にもチャンスがある大混戦の様相を呈している。
11日にシルクレーシングが回避を発表したのは、兄姉にサラキアとサリオスがいる1戦1勝馬のサリエラ。左前脚の骨瘤で、今後の予定はいったん白紙となった。血統に加え、昨年11月のデビュー戦の内容から出走していれば大本命間違いなしといわれた逸材だけに、他馬にとっては賞金加算の大きなチャンスとなりそうだ。
サリエラに代わって主役に躍り出るのはスタニングローズ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)だろう。
父キングカメハメハ、母はローザブランカなので、いわゆるバラ一族の末裔にあたる。昨年6月の新馬戦こそ取りこぼしたが、2戦目で順当に勝ち上がると、新潟2歳S(G3)は牡馬に交じって上がり2位の末脚を繰り出し、5着に健闘した。
続くサウジアラビアRC(G3)ではコマンドラインとステルナティーアと差のない競馬で、3着に入り、デイリー杯2歳S(G2)5着を経て、前走は自己条件戦のこぶし賞(1勝クラス)で待望の2勝目を挙げている。
3度の重賞は全て牡馬との混合戦で掲示板を確保しているように、サリエラ不在のメンバーなら実績は頭一つ抜けているといえるだろう。
1800mは初めてとなるが、母は現役時代の全3勝をこの距離で挙げている。鞍上に川田将雅騎手を据え、桜花賞(G1)の最終切符獲りに挑む。
シンティレーション(牝3歳、美浦・池上昌和厩舎)は、2走前のアルテミスS(G3)で6着に敗れたが、今回と同じ舞台で行われた前走の若竹賞(1勝クラス)を快勝。2連勝を飾って、牝馬クラシックに名乗りを上げたい。
デビュー戦から横山武史騎手が継続して騎乗しているように、所有するシルクRからの期待は非常に大きい。同じシルクRのサリエラの分も頑張れるか。
父ロードカナロアの血もこの馬を後押しする。ディープインパクトを抑え、現在種牡馬リーディング首位に立つロードカナロア。その産駒は今年に入ってから中山の芝中距離重賞を3勝(中山金杯レッドガラン、AJCCキングオブコージ、中山記念パンサラッサ)している。
3頭はいずれも古馬だが、3歳世代から新たなスター候補は誕生するか。
ニシノラブウインク(牝3歳、美浦・小手川準厩舎)は、前走フェアリーS(G3)7着から巻き返しを図る。
デビューから3、3、2、2着と好走するもなかなか勝ち上がれなかったが、5戦目で待望の初勝利を挙げると、前走は果敢に格上挑戦。全16頭が1勝馬という大混戦のレースで単勝オッズ8.4倍の6番人気に推されたが、直線でやや狭くなる場面もあり、末脚が弾けることはなかった。
デビューから6戦連続でマイルを使われてきたが、7戦目で初の距離延長。エピファネイア産駒なら、1800mがマイナスになることはないだろう。
若竹賞でシンティレーションのクビ差2着に好走したのはデインティハート(牝3歳、美浦・黒岩陽一厩舎)だ。
デビューから3戦全てで上がり最速をマークしているように、メンバー屈指の末脚を持つ。近親には皐月賞(G1)2着のシックスセンスや未完の大器シルバーステートなどがいる隠れた良血馬でもある。
ニシノラブウインクと同じく父はエピファネイアで、血統的には桜花賞よりもオークス(G1)向きか。決め手が生きる展開になれば、一気に浮上する。
オルフェーヴル産駒のダイム(牝3歳、栗東・昆貢厩舎)は、デビューから2000mで2戦。初陣となった2月の小倉では牡馬相手に3着に敗れたが、中1週で臨んだ2戦目で勝ち上がった。僅か1か月半という短期間で3戦目を迎えるが、今年のメンバーなら馬券圏内も十分狙えるだろう。
パーソナルハイ(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)は、前走・阪神JF(G1)で16着に大敗したが、2走前の赤松賞(1勝クラス)でナミュールの2着に好走している。父は大種牡馬のディープインパクト。このレースでは過去5年で「3-2-1-6」という好相性。この馬も2000mで勝利しているように、距離延長はプラスになる。
この他には、新種牡馬キタサンブラック産駒のキタサンシュガー(牝3歳、栗東・清水久詞厩舎)、ドレフォン産駒のアプサラー(牝3歳、美浦・田島俊明厩舎)なども上位をうかがう。
昨年は3着に入ったユーバーレーベンがその後、オークスを制覇した。今年も後にG1馬に輝くような逸材はいるのか。注目のフラワーCは21日15時45分に発走を予定している。
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