JRA 「代打職人」池添謙一の同期が緊急登板で大仕事! ファインプレーの要因は調教師の言葉!? 名門クラブ「8年ぶり」のクラシック参戦確定か
19日、阪神競馬場で皐月賞トライアルの若葉S(L)が行われ、2番人気のデシエルトが逃げ切り勝ち。鞍上の岩田康誠騎手は勝利ジョッキーインタビューで「厩舎スタッフ、先生、僕、全員で頑張っていきたいと思います」と、チーム一丸で1冠目を獲りに行くことを表明した。
一方で、大事な主戦ジョッキーを欠きながら、皐月賞(G1)の優先出走権を獲得した馬がいる。2着に食い込んだヴェローナシチー(牡3歳、栗東・佐々木晶三厩舎)だ。
ヴェローナシチーは4戦1勝ながら、2走前の京成杯(G3)3着や前走のすみれS(L)3着など大崩れしないことに定評がある。今回の若葉Sも4番人気と高い支持を得ており、3走前以来の2勝目を期待されていた。
そんなヴェローナシチーの主戦を務めていたのが、2019年デビューの若手の団野大成騎手だ。同馬は4年目の同騎手と2戦目からコンビを組んで、3戦1勝3着2回と成績が安定。今回も同騎手が予定されていた。
だが、あろうことかヴェローナシチーの大事な一戦を前にして、団野騎手をアクシデントが襲う。同日の阪神8Rでサンライズゴラッソに騎乗し逃げの手に出ていたが、騎乗馬が4コーナーで外側に逃避。その衝撃でバランスを崩した同騎手は落馬し、全身打撲を負ったため、9R以降の騎乗を取り止めることとなった。
主戦騎手を欠いてしまったヴェローナシチー。急きょ乗り役を確保せねばならない状況となったが、そこで白羽の矢が立ったのが酒井学騎手だ。
酒井騎手は代打騎乗で好成績を収める池添謙一騎手と同期。G1も2勝している腕利きの騎手だが、この日は元々メインレースに騎乗馬はおらず。そのような騎手が残っていたのは、ヴェローナシチー陣営にとっては不幸中の幸いだっただろう。
レースでは、酒井騎手曰く「(佐々木)先生から勝ちに行こうと言われた」ため、想定より前目の5番手を追走。先行するデシエルトや1番人気フィデルら人気馬を見ながら運んで、直線へ。
直線で外に持ち出されると、先団に離されることなく脚を伸ばす。残り100m付近を過ぎたところで2、3番手の2頭が失速し始めると、2番手へ浮上。残念ながら勝利こそならなかったが、何とか皐月賞の優先出走権を獲得することには成功した。
「定位置が後方のヴェローナシチーですが、今回は中団位置を取りました。直線ではスパッとキレる脚が出ませんでしたが、ジワジワと伸びて上がり3ハロンメンバー最速の差し脚で2着に入ってきました。
レースはスローの前残り決着でしたから、位置を取りにいったのが功を奏したと思いますよ。いつもの後方でしたら更に速い上がりの脚は使えたかもしれませんが、2着に届いているかは微妙なところです。
酒井騎手が佐々木師の『勝ちに行こう』という言葉を信じて、位置を積極的に取りにいって大正解でしたね」(競馬記者)
ファンからも酒井騎手のファインプレーに称賛の声が多数。特に目立つのがヴェローナシチーの出資者と思われる方々の声だ。
「出資者の方は嬉しいはずですよね。自身の愛馬がクラシック出走の権利を得たのはもちろんのこと、久々にクラブから活躍馬が出てきて、さぞ喜ばしい限りでしょう。
馬主の友駿ホースクラブは、1968年創立の歴史ある名門クラブ馬主でタップダンスシチー、エスポワールシチーなど、これまで多くの名馬を所有してきました。しかし、近年は所有馬の年間勝利数が一桁に落ち込む年が続くなど苦境に立たされてきました。
これで2014年の皐月賞に出走したクラリティシチー以来の同クラブ馬のクラシック出走が見えてきました。ヴェローナシチーの活躍で再び脚光を浴びるかもしれません」(同)
今日の酒井騎手の好騎乗はヴェローナシチーの関係者だけではなく、団野騎手ら多くの人々を救ったのかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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