
【徹底考察】天皇賞・春(G1) キタサンブラック「この菊花賞馬にスタミナはあるのか。その『全貌』を解明」

「考察」
キタサンブラックの天皇賞・春(G1)での可能性を探るには、特殊なスローペースで流れた前走の大阪杯(G2)を考察するよりは、昨年の菊花賞(G1)を考察した方が有効だ。
まず最初に断っておくが、筆者は昨年の菊花賞はスタミナの重要性がかなり低いレースであり、勝ったキタサンブラックは決してスタミナに優れたステイヤーではないと考えている。その点を踏まえて、以下を読み進めていただきたい。
まず、下記が近5年間の菊花賞の走破タイムと勝ち馬である。キタサンブラックが勝った昨年2015年の菊花賞も極端に遅いものではなく、全体時計だけで見れば例年通りの菊花賞だったといえるだろう。
2011年 3:02.8(良) 勝ち馬:オルフェーヴル
2012年 3:02.9(良) 勝ち馬:ゴールドシップ
2013年 3:05.2(不良)勝ち馬:エピファネイア
2014年 3:01.0(良) 勝ち馬:トーホウジャッカル
2015年 3:03.9(良) 勝ち馬:キタサンブラック
だが、実は上記の時計には「大きなカラクリ」が存在する。その上で下記は、近5年間の菊花賞の「スタートから最初の3ハロン」の200mごとのラップ及び合計タイムとなる。
2011年 12.7 – 12.2 – 12.0 合計「36.9」
2012年 13.0 – 11.9 – 12.2 合計「37.1」
2013年 13.0 – 12.5 – 11.7 合計「37.2」
2014年 13.0 – 12.0 – 12.0 合計「37.0」
2015年 12.7 – 11.1 – 11.6 合計「35.4」
確認していただいた通り、昨年の「35.4」秒が例年よりも1.5秒も速いことがわかる。これは、戦前からハナ争いをすると思われていたリアファルとスピリッツミノルが「17番」「18番」という極端な大外枠に入ったことが起因している。
菊花賞が行なわれる京都の3000mコースは、スタートから最初のコーナーまでの直線が短いため200m後方からスタートする天皇賞・春と比較して、主導権争いが激化しやすい傾向にある。その上で大外枠に入った逃げ馬2頭は、最初のコーナーに突入する前に僅かでも早めにハナに立ち、距離のロスを防ごうとしたため相当な加速を強いられた。
それ故に新馬戦を除いて、すべて2番手以内で競馬をしているキタサンブラックがこの菊花賞だけは4番枠と恵まれた内枠だったにもかかわらず、5番手で最初のコーナーを回っている。つまり、キタサンブラックはあえて控えたのでなく、激化したハナ争いに無理して加わらなかったということだ。
その上で次にご覧いただきたいのは、スタート「600mから1600mまで」のラップ及び合計タイムである。ちょうど1週目の正面スタンド前を通過し、向こう正面の中ほどまでのタイムであると想像してほしい。
2011年 12.0 – 11.7 – 12.3 – 12.7 – 12.6 合計「61.3」
2012年 12.2 – 11.6 – 11.6 – 12.6 – 12.5 合計「60.5」
2013年 12.3 – 11.7 – 12.1 – 13.0 – 12.7 合計「61.8」
2014年 12.0 – 11.9 – 11.7 – 12.4 – 12.5 合計「60.5」
2015年 12.3 – 12.5 – 13.1 – 13.7 – 13.7 合計「65.3」
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