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【徹底考察】天皇賞・春(G1) キタサンブラック「この菊花賞馬にスタミナはあるのか。その『全貌』を解明」

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 確認していただいた通り、昨年の「65.3」が例年と比較して非常に遅いことがわかる。ちなみに2番目に遅い2013年は不良馬場だ。つまり例年に比べて、4秒も遅いことがわかる。特筆すべきは後半の3ハロンで、13秒台が連発していること。ここ5年間の菊花賞天皇賞・春を含めても13秒台が連発したことは一度もない。もっといえば、13秒台に落ち込むことだけでも稀である。

 これは例年よりも1.5秒も速かった前半の3ハロンで無理し過ぎた先行勢が、脚を溜めるために意図的にペースを緩めたことが最大の要因だろう。はっきりいって「歴史的な中弛み」と言える極端なラップだ。キタサンブラックはここも変わらず5番手で追走している。

 激化したハナ争いに加わらず、例年より4秒も遅いペースを5番手好位追走。北村宏司騎手の好判断もあるが、この馬が如何に競馬の上手な馬なのかがよく表れた1シーンだ。

 それを踏まえて、下記は上記の続きで「1600mから2400m」までのラップ及び合計タイムとなる。ちょうど向こう正面から「淀の坂」がある勝負どころの3、4コーナー辺りまでを想像していただきたい。

2011年 12.4 – 12.1 – 12.9 – 12.1 合計「49.5」
2012年 12.3 – 12.2 – 12.5 – 12.2 合計「49.2」
2013年 12.6 – 12.6 – 12.8 – 12.1 合計「50.1」
2014年 12.3 – 12.4 – 12.2 – 11.7 合計「48.6」
2015年 11.8 – 12.1 – 12.0 – 11.9 合計「47.8」

 確認していただいた通り、今度は打って変わって昨年が最も速いことがわかる。最も遅い不良馬場の2013年を度外視しても約1秒ほど速い。

 これは実は、先ほどの極端なスローペースとなった「13.1 – 13.7 – 13.7」の区間が原因となっている。つまり極端なスローペースを我慢できずに掛かる、もしくはスローを嫌って前に出た馬が早めのスパートを開始したということだ。

 具体的に述べればミュゼエイリアン、タガノエスプレッソ、アルバートドックあたりが意図的かそうでないにせよ、中団から先頭付近へポジションを上げており、レースは一気に激しさを増している。

 実は、ここでもキタサンブラックの立ち回りの上手さが光っている。具体的に述べるとこれまで好位の5番手で競馬していたキタサンブラックの3コーナーの通過順位は10番手。4コーナーでもまだ8番手。

 ペースが上がり激化するレース全体の流れをよそにペースを上げることもなく、インコースに張り付いたまま、ひたすら脚を溜めているのだ。

 その上で下記が最後の「上がり3ハロン」のラップ及び合計タイムとなる。

2011年 11.5 – 11.6 – 12.0 合計「35.1」
2012年 11.9 – 11.8 – 12.4 合計「36.1」
2013年 12.0 – 11.8 – 12.3 合計「36.1」
2014年 11.7 – 11.6 – 11.6 合計「34.9」
2015年 11.6 – 12.2 – 11.6 合計「35.4」

 特筆するような大きな差はないが、昨年だけ12秒台となっている2ハロン目の12.2秒は、粘りに粘ったリアファルが最後に力尽きたところをキタサンブラックとリアルスティールが交わしたところだ。

 昨年の菊花賞におけるキタサンブラックの走りを統合すると「前半の激しいハナ争いに参加せず、上手く好位で脚を溜め」「中間の歴史的な中弛みの恩恵をしっかりと受け」「後半早めにレースが動いた際もマイペースを貫き、インベタで直線まで脚を溜め続けて」いる。

 改めてキタサンブラック、そして北村騎手が長距離戦においてレース運びの上手さを最大限に活用した菊花賞だといえる。「勝つべくして勝ったレース」といえるだろう。ちなみに北村騎手は本馬の他に、フェイムゲームの主戦騎手であり、トウカイトリックでステイヤーズS(G2)を勝ったこともある長距離の名手だ。

※なお、血統診断に関しては前回の大阪杯の【徹底考察】を参考にしていただきたい。

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