
JRA横山典弘「やはり走る馬」多くを語らないのも自信の証!? エピファネイア産駒の大物がNHKマイルC前に残した「G1級」インパクト

8日、東京競馬場で行われたNHKマイルC(G1)は、8枠18番の不利を跳ね返したダノンスコーピオンが優勝。2歳チャンピオンであるドウデュースやキラーアビリティと互角の勝負を演じた実力がありながら、4番人気に留まったことは少々意外だった。
前走のアーリントンC(G3)を快勝していたとはいえ、7着に凡走した東京の共同通信杯(G3)のイメージが、根強く残っていたのかもしれない。
良馬場で開催された芝1600m戦の勝ちタイムは1分32秒3。川田将雅騎手の道中の位置取りや、完璧な仕掛けのタイミングも光るレース内容だった。
ただ、この日の東京に将来が楽しみなもう1頭の素質馬がいたことにも触れておきたい。
それは、NHKマイルCが発走する1時間少し前の9R湘南S(3勝クラス)を圧勝したジャスティンカフェ(牡4、栗東・安田翔伍厩舎)のことである。
メインレースと同じ芝1600mの舞台で、G1のNHKマイルCと同じ1分32秒3の勝ちタイム。それもあまりの手応えの良さに、騎乗していた横山典弘騎手がゴール前で追わずに大楽勝の3馬身差だ。16頭立てのレースで、最後の直線は15番手という位置取りから上がり3ハロン32秒9の鬼脚で前を行くライバルを一刀両断したのだから驚きだ。
「やはり走る馬」多くを語らないのも自信の証!?
鞍上との相性もいいのだろうが、横山典騎手とのコンビで連勝。それまで2勝2着3回3着1回と勝ち切れなかった馬が、見違えるような強さを見せたことは特筆に値する。見る人によっては、NHKマイルC以上に強烈なインパクトを残したのではないか。
「一言で表すなら“エグい”です。先に抜け出したウインシャーロットに直線で並び掛けたときには、早々に勝利を確信して追うのをやめているようにも見えます。逃げた馬が2着だったようにレースはスロー寄り。それをほぼ最後方に近い位置からあっさり交わして3馬身も突き抜けた訳です」(競馬記者)
また、2着のウインシャーロットを物差しにしても、ジャスティンカフェの強さを裏付けとなりそうなのがソウルラッシュの存在。同馬は1勝クラスから4連勝でマイラーズC(G2)を制した実力馬だが、その前の春興S(3勝クラス・芝1600m)で2馬身差の2着だった相手がウインシャーロットだった。着差だけの単純比較なら同じ相手に3馬身差で楽勝したジャスティンカフェにも既に重賞級の力があるという考え方も可能だろう。
そして、NHKマイルC以上にも映る今回の圧勝劇。このパフォーマンスなら安田記念(G1)も視野に入れたいところだが、賞金や日程的に難しいのは残念だ。

古馬になった産駒のG1勝利がなく、早熟という噂も出始めたエピファネイア産駒としても、よからぬ噂を払拭する絶好のチャンスとなる。これだけの走りを披露しながら、横山典騎手は「やはり走る馬ですね」と素っ気ないものだったが、短いコメントの中にも“多くは語るまい”という自信も垣間見える内容だったようにも思える。
次走はまだ不明だが、覚えておいて損はない1頭といえるだろう。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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