JRAヴィクトリアマイル(G1)警報級大雨で「極悪馬場」の開催も…デアリングタクトでもレイパパレでもない特注の「道悪巧者」が波乱の使者に急浮上
今年のJRA平地G1は、いまだ1番人気馬の勝利がない。先週末のNHKマイルC(G1)は、セリフォスが人気を裏切り4着。上位は4→3→18番人気の決着で、三連単は153万馬券の波乱となった。
今週末は15日に同じ東京芝1600mを舞台にヴィクトリアマイル(G1)が行われる。上位拮抗のメンバー構成で、今週も波乱に期待するファンも少なくないだろう。そして、気になるのが週末に向けての空模様だ。
11日正午現在、日本気象協会の天気予報によると、東京競馬場周辺は木曜夜から日曜朝にかけて「傘マーク」がズラッと並んでいる。本州付近に前線が停滞し、関東地方を含む広い範囲で警報級の大雨になる恐れもあるという。
予報通りの降雨となれば、今年のヴィクトリアマイルは重馬場もしくは不良馬場での開催は避けられそうにない。
そこで浮上するのが道悪で実績があるレイパパレとデアリングタクトの2頭だろう。
前者は重馬場で行われた昨年の大阪杯(G1)で、コントレイルとグランアレグリアなどの歴史的名馬を相手に4馬身差の逃げ切り勝ち、後者はこちらも重馬場で行われた2年前の桜花賞(G1)で、逃げ馬と2番手の馬で決まりかけた前残りの展開を豪快に差し切っている。久々のG1勝利を狙う5歳馬2頭が馬場を味方につける可能性は高そうだ。
一方で、4歳勢は道悪を経験している馬自体が少ない。ソダシは重馬場だった前走のフェブラリーS(G1)を走ったが、もちろんそれはダート戦。芝では良馬場でしか走ったことがない。
他にも実績上位のソングラインとファインルージュは、ともに稍重で1度ずつ経験があるだけだ。極端な道悪になったときに良馬場のときと同じパフォーマンスを発揮できるかは走ってみないとわからない。そうなると、道悪得意の穴馬にもチャンスは巡ってきそうだ。
特注の「道悪巧者」が波乱の使者に急浮上
中でも今回特に注目したいのが、昨年12月のターコイズS(G3)を勝っているミスニューヨーク(牝5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)である。登録馬22頭の中で重か不良で2勝(以上)挙げている馬は、ミスニューヨークただ1頭。馬場の悪化が避けられない空模様なら狙って損はない。
道悪馬場は2戦2勝。稍重でも4戦して2勝、着外が2度あるが、紫苑S(G3)で0秒3差の5着と、秋華賞(G1)で0秒9差の5着と掲示板は確保している。馬場が渋れば渋るほど、ミスニューヨークの好走率が高くなるのは間違いないだろう。
同馬の道悪巧者ぶりは、父キングズベストの影響が大きい。代表産駒にはダービー馬のエイシンフラッシュがいるパワータイプの種牡馬で、その産駒は総じて道悪を得意としている。産駒の芝重・不良での通算勝率は、良馬場のほぼ2倍にも上る。
ミスニューヨークには「左回り苦手説」も囁かれているが、大敗を喫した左回りでの2戦はともに良馬場だった。三度目の正直が道悪となれば、克服しても何ら不思議はない。
警報級の大雨の可能性がある今週の日本列島。G1馬のレイパパレとデアリングタクト以上に恩恵を受けそうなミスニューヨークの激走に期待がかかる。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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