JRAヴィクトリアマイル(G1)はソダシ、デアリングタクト、レイパパレをまとめてバッサリ! 3強が持つ弱点とは
週末はいよいよヴィクトリアマイル(G1)だ。ここ数年でも稀に見る好メンバーが揃い、多くの競馬ファンから熱気も伝わってくるほど。それもそのはず、今年はなんとG1馬が5頭も揃ったのだ。
その5頭とは、阪神JF(G1)と桜花賞(G1)を制したソダシ、大阪杯(G1)レイパパレ、阪神JFレシステンシア、無敗の三冠牝馬デアリングタクト、エリザベス女王杯(G1)アカイイト。
さらにソングライン、ファインルージュ、マジックキャッスル、メイショウミモザ、アンドヴァラナウト、クリノプレミアム、テルツェット、デゼル、ミスニューヨークといった重賞優勝馬も揃いまさに豪華絢爛。これほどの実力馬が揃うのは、今後見られないかもしれない。そう思えるほどの好メンバーと言えるだろう。
しかし、馬券は難しい。全体的にハイレベルのため圧倒的な軸となる馬は見当たらないし、そもそもヴィクトリアマイルはご存知のように過去に3連単2070万馬券が飛び出すなど、とにかく荒れるレース。これだけのメンバーが揃っていても波乱の空気は拭えない。
特にソダシ、レイパパレ、デアリングタクトの3頭は、実績は上位ながら取捨が難しい。もし買い目から消すことができれば配当妙味もグッと上がることもあり、それぞれのマイナス点を探してみたところ、これはと思える“消しの理由”を発見した。
今年も荒れるかヴィクトリアマイル
まずソダシから解説しよう。阪神JF、桜花賞でG1を2勝、さらに札幌記念(G2)も勝利と素晴らしい実績を持つが、昨年8月の札幌記念を最後に3戦して未勝利。前走のフェブラリーS(G1)で何とか3着に好走したが、勢いに陰りがあるのは事実。それに拍車をかけるのが白毛であることだ。
昨年、白毛馬はソダシを含めJRAで合計9勝をあげている。しかし今年はソダシも含めて1勝もしていない。昨年に3連勝でオープン入りを果たしたダノンハーロックも、今年に入って伸び悩み2戦して未勝利だ。白毛は以前から成長力に疑問の声があり、ソダシもその負のデータと戦ってきた。だが現時点でそれを覆すプラス要素は見つからず、ソダシにとってかなりの逆風となりそうだ。
さらに前走がフェブラリーSというのも消しの要素。過去10年、前走がダート戦で馬券に絡んだ馬はいない。しかも今の時期は、東京コースは速い時計が出やすく、良馬場であれば1分30~31秒台、稍重であっても32秒台の決着が見込まれている。ダートから高速馬場へ、この条件替わりが与える影響は大きい。白毛とダートから芝の高速馬場への条件変更、これらはソダシにとって“消しの理由”といえよう。
次にデアリングタクトの不安要素は、産駒に早熟説が囁かれる父エピファネイアである。同馬産駒の早熟説は以前からファンの間で話題になっていたが、実際に今年もエフフォーリアが大阪杯で見せ場もなく敗退。さらに他の馬を見ても、デアリングタクトと同じ現5歳世代は1頭もJRAで勝てていないというデータがある。今年エピファネイア産駒はJRAで28勝しているが、3歳馬が18勝で4歳馬が10勝、デアリングタクトの5歳世代が最後に勝利したのは昨年12月で、しかも12月はその1勝のみ。年を重ねれば重ねるほど結果を残せていないのである。
さらに昨年4月以来の休み明けも大きなマイナスだ。過去10年の成績を見ても、半年以上の休み明けで1~3着以内に好走した馬はいない。これらの傾向からもデアリングタクトが買える要素は少なく、血統とローテーションで“消しの理由”が発動しているといえよう。
そしてレイパパレも負のデータが存在する。今回は久々のマイル戦となるが、同馬は3歳時にこの距離の条件戦で2戦2勝の実績があるのみ。しかし過去10年の好走馬を見てみると、4歳以降にマイル戦を使った経験がある馬や、マイル前後の重賞で好走した馬ばかり。レイパパレは約2年マイル戦の経験がなく、重賞を勝利したのも2000mのみ。同馬の実力は認めつつも、マイル経験の乏しさは否定できない。
さらに初めての東京コースと実績のない関東遠征も不安で、ソダシ同様に東京の高速馬場に対応できるかも不安がある。同馬は1600mの持ち時計が1分33秒9。この時計ではヴィクトリアマイルの高速決着には太刀打ちできない。しかも上がり33秒台の脚を使ったのは、52kgを背負った平坦の新潟コースのみ。それ以外は11戦して1度も33秒台の脚を使ったことがない。ヴィクトリアマイルで上位に好走した馬のほとんどは上がり32~33秒台の脚を使っているのだから、これは厳しいレースになりそう。鞍上の川田将雅騎手は魅力だが、マイル経験と使える脚の限界から、ここでも“消しの理由”があるといえよう。
以上、ヴィクトリアマイルの上位人気となるであろうソダシ、レイパパレ、デアリングタクトに関する“消しの理由”を紹介した。この3頭が馬券圏内から外れれば、好配当は間違いないところ。皆様の馬券戦略の一助になれば幸いだ。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。
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