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JRAオークス(G1)2400mは無謀の「常識」覆した55万馬券から11年、今年の挑戦者はサークルオブライフやウォーターナビレラに先着

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 22日、東京競馬場では牝馬クラシックの第2弾・オークス(G1)が行われる。

 オークスを予想する上で毎年のように議論されるのが、ほぼ全頭が初めて挑む芝2400mという距離への適性だ。

 日本ダービー(G1)は、前走で皐月賞(G1)、トライアルの青葉賞(G2)やプリンシパルS(L)、ステップレースの京都新聞杯(G2)など距離2000m~2400mを使った馬が中心で、ある程度は予想しやすい。

 一方でオークスにおいては、桜花賞(G1)が1600m戦である点や、トライアルのフローラS(G2)やスイートピーS(L)、ステップレースの忘れな草賞(L)など距離は最長でも2000mまでに限られるため、どの馬も走ってみなければ分からない。

 その上で、多くの競馬ファンが予想ファクターとして取り入れるのが“血統”だ。出走馬の血統を参考に距離適性を推し量り、「距離がもつ、もたない」を決めるファンも多くいるだろう。

 とはいえ、その距離に対する血統のジャッジが毎年上手くハマるとは限らない。過去に遡れば、そんな大衆の血統予想を覆した馬も中には存在する。2011年のオークスを制したエリンコートはまさにそんな1頭である。

 同馬は、スプリンターズS(G1)やマイルCS(G1)を制したデュランダルの産駒という血統背景から、デビュー戦は1200mだった。3戦目で距離を1500mに延ばし勝ち上がりを決めると、7戦目でさらに距離を1800mまで延ばした1勝クラスを勝利。その後、登録していた桜花賞を除外となった関係で同日に行われた忘れな草賞へ回った。そして距離が2000mまで延びても連勝を決め、ついにはオークス出走を果たした。

 戦前は、桜花賞でワンツーを演じたマルセリーナとホエールキャプチャの完全な2強ムード。当時は近年ほど忘れな草賞勝ち馬が有力視されておらず、なおかつエリンコート自体が短距離色の濃いデュランダル産駒ということから「オークスの距離2400mは長い」と多くのファンに目され、最終的には単勝7番人気の伏兵扱いだった。

 ところが、レースは意外な結末を迎える。

 道中は後方にいた2強を尻目に、中団で脚を溜めていたエリンコートが抜群の手応えで最後の直線に入ると、逃げ粘っていたピュアブリーゼをゴール手前で交わし、背後から猛追してきたホエールキャプチャもしのぎ切り優勝。デュランダル産駒初のG1勝利が距離2400mという意外な結果は、大方の予想を覆すまさに常識破りの戴冠だった。穴馬の勝利により、3連単の払戻は約55万馬券となった。

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ピンハイ

今年の挑戦者はサークルオブライフやウォーターナビレラに先着

 あれから11年。今年の出走メンバーの中にも、同じような“常識破り”に挑戦する馬が存在する。それは、スプリントG1でも好走歴がありマイルG1を2勝したミッキーアイルを父に持つピンハイ(牝3、栗東・田中克典厩舎)だ。

 同馬は1400mで行われたデビュー戦を勝利し、その後チューリップ賞(G2)で単勝229.8倍の超大穴ながら2着に食い込む激走。2歳女王サークルオブライフやウォーターナビレラにも先着して桜の切符を掴んだ。本番でも単勝13番人気とフロック視されたが、最後の直線で他馬と接触する場面がありながら、勝ち馬スターズオンアースからコンマ1秒差の5着に入り実力を示している。

 同じミッキーアイル産駒には、先週の京王杯SC(G2)を勝ったメイケイエールや先月の桜花賞で3着に好走したナムラクレアなど重賞で活躍した馬が目立つ。短距離色の強い血統的にもマイル戦線への選択肢も考えられたが、陣営はオークス参戦を決断した。

 過去、無謀と目されながらも勝利したデュランダル産駒のエリンコート同様に、ミッキーアイル産駒初のG1勝利が距離2400mという「常識」を覆すドラマへの挑戦がいま始まる。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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