驚異の「勝率40%」…春の府中で吹き荒れる横山典弘旋風!「ポツン」の真意を知る若き新鋭とのタッグは要注意
5月8日(日)から5週連続でG1レースが開催されている東京競馬場。22日にはオークス(G1)、29日には日本ダービー(G1)と世代最強馬を決する頂上決戦を控え、この週末からは入場可能人数も大幅に拡大。7万人以上の観客を迎えて大一番を行う予定となっている。
そんな中、この春の東京開催で好調ぶりが目立つのが、ベテラン・横山典弘騎手だ。
ここ数週の間に、長い直線をフルに使って画面の外から飛んでくる同騎手の差し込みに驚いた方も少なくないのではないか。 「2回東京」(4月23日~5月29日)の騎手リーディングを見てみると、トップは11勝を挙げている戸崎圭太騎手。これをC.ルメール騎手が9勝で追い、息子の横山武史騎手と横山和生騎手が8勝で3位タイというのが上位の構図となっている。
そして、その横山典騎手はというと、4勝でランキング9位。取り立てて強調できる数字には映らないが、驚異的なのは10回の騎乗で4勝を挙げているという点。勝率4割は断トツの成績である。
1勝目こそアルメイダミノルでの逃げ切りだったが、後の3つはいずれも道中後方から上がり最速を使っての差し切り勝ち。なかでも湘南S(3勝クラス)のジャスティンカフェで見せた、道中15番手から32秒9の鬼脚を繰り出した快勝劇は記憶に新しい。
さらに、一般的に前が有利となりやすいダート戦でも末脚が爆発。15日は未勝利戦のダノンアーリーと青竜Sのハセドン、いずれもダート1600m戦での勝利だったが、前者は11番手から35秒9の脚を使い、後者は13番手からなんと34秒3をマーク。他場であれば芝と見間違うレベルの鬼脚を炸裂させた。
思えば、惜しくも2着に敗れたNHKマイルC(G1)でも、マテンロウオリオンとのコンビで道中は17番手を追走。どんどん前との差が開いて行く中、不安に襲われたファンの方も多いのではないか。それでも、最後は33秒5の脚を使って2着まで差し込み、勝ったダノンスコーピオンとはクビ差の接戦だった。
横山典騎手のポツンを安田翔伍調教師が解説
横山典騎手といえば、前で競り合うライバルたちを尻目に、マイペースでレースを運ぶ「ポツン」が代名詞のようになっている。時にはそのまま前残りを許すこともあり、その姿勢が「無気力だ」と批判されることもある。
そんな中、『東スポ競馬』の動画コンテンツに出演した安田翔伍調教師が、同騎手の「ポツン」について言及したことが話題になった。
調教師から見た印象として「誰よりも勝ちにこだわる騎手」と語り、調教で把握した馬の強みを実戦で使える武器に磨き上げるため、次のレースというよりも2戦後・3戦後の勝利を目指して研ぎ澄ましていくのが“ノリスタイル”であると強調。
「ポツン」についても「するつもりはないらしい」と明かし、馬に収穫をもたらす良いレースを展開しようとした結果がその位置になったというだけ。実は本人もレース映像を確認した時に初めて「ポツン」を知り、自身の位置取りに驚くこともあるのだと言う。
安田翔師は2018年に調教師としてデビューした39歳の若き新鋭。今年はすでに15勝を挙げて全国リーディングの12位につけており、昨年挙げたキャリア最多28勝からのさらなる飛躍に期待がかかっている。
その15勝のうち、40%にあたる6勝は横山典騎手がもたらしたもの。キングオブコージでのAJCC(G2)勝ちもあり、先に“驚異の末脚”として紹介したジャスティンカフェとハセドンも安田翔厩舎の管理馬である。
5月1日の天皇賞・春(G1)の夜には、自身のTwitterに祝勝会を行う横山典弘・和生親子の動画を公開。普段はなかなか見られない親子の仲睦まじいレアな映像に、競馬ファンからは驚きの声もあがった。
所属は美浦ながら、昨秋から関西に拠点を移して新たな関係性を築いてきた横山典騎手。今年挙げた22勝もすべて栗東の所属馬でのもので、最多の6勝を挙げているのが安田翔師とのコンビだ。
マテンロウオリオンやマテンロウレオなど、昆貢調教師・寺田千代乃オーナーとの黄金タッグは有名なところだが、それをもしのぐ【6-4-3-20/33】のデータは超強力。復活した天才・横山典弘騎手と、若き新鋭・安田翔伍調教師のホットラインから、今後も目が離せない。
(文=木場七也)
<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。
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