JRA「4頭立て」ダービーに他路線組は出番なし!? 川田将雅も蛯名正義も泣いた最強世代のガチガチ決着…「逆パターン」の皐月賞で逆襲条件が揃ったのは?
今年も訪れたダービーウィーク。各メディアの情報は、日本ダービー(G1)の話題で一色となり、早くもどの馬が勝利に近いのかといった分析も始まっている。
出走を予定する各馬の下馬評は、やはり皐月賞(G1)で上位に入った馬が、他馬を大きくリード。優勝馬ジオグリフは勿論、イクイノックス、ドウデュース、ダノンベルーガに人気が集中しそうな雰囲気である。
『netkeiba.com』の予想オッズによると、先述した4頭の単勝オッズが一桁台。5番人気想定のオニャンコポンとは、かなりの開きがあり、実質4頭立てのダービーと考えているファンが多数を占めそうだ。
振り返れば、今年の皐月賞で単勝が一桁台のオッズだった馬は6頭もいたが、13着に凡走したキラーアビリティ、得意の中山から東京へのコース替わりを嫌われたアスクビクターモアが脱落。青葉賞(G2)や京都新聞杯(G2)などの別路線組も、皐月賞組を上回るようなパフォーマンスを披露した馬はいなかった。
「4頭立て」ダービーに他路線組は出番なし!?
下馬評通りの決着となるようなら、今年のダービー馬は、おそらく4強から誕生する可能性が高いといえるだろう。
そこで、今年と同じく上位4頭に人気が集中する4強ダービーの前例を確認してみたところ、直近で最も近かったケースが2016年の日本ダービーだった。
この年の皐月賞は、8番人気ディーマジェスティが勝利。1000mの前後半が58秒4ー59秒5という激流を、M.デムーロ騎手のリオンディーズが早仕掛けしたこともあり、前崩れの決着だった。先に抜け出しを図ったサトノダイヤモンドは、後方から末脚を伸ばしたディーマジェスティとマカヒキの軍門に下ったものの、後ろの馬に有利な流れだったことも確かである。
レースのオッズは、ディーマジェスティが1番人気に支持され、サトノダイヤモンド、マカヒキ、リオンディーズまでが単勝オッズ一桁台。5番人気エアスピネルは4頭から離された。
そして迎えたダービーだが、ハイペース決着となった皐月賞とは逆に、1000mの前後半が60秒0-58秒0という極端なスローペースとなった。追い込む競馬を選んだリオンディーズのデムーロ騎手としては、またしても展開を読み違えるミスを犯した。
激戦を制したのは、前走と違い前目のポジションを選択した川田将雅騎手とマカヒキのコンビ。道中でほぼ同じ位置にいたルメール騎手のサトノダイヤモンドとの叩き合いを制し、究極の上がり勝負をモノにしてみせた。自身初のダービー制覇に川田騎手は涙を流して喜んだ。
悲願のダービー制覇を夢見た蛯名正義騎手は、皐月賞より前の位置で競馬を進めたものの、直線でポジションを下げたことが悔やまれる敗戦。現在は調教師となったが、ダービージョッキーの称号を手に入れる最後のチャンスだったといえるだろう。
道中の騎手の駆け引きも見どころとなった1996年のダービーだが、3着以内に3番人気までの3頭が入る堅い決着。結果的にも皐月賞上位3頭の着順が入れ替わっただけ。一時は最強世代といわれたハイレベルを物語る内容である。
それでは、話をまた今年のダービーに戻そう。
4強ダービーの再現が濃厚だとすれば、おそらくまた上位人気馬による決着の可能性が高そうだ。もし、前回同様、皐月賞とダービーのペースや展開が逆になるようなら、先行勢に有利な展開だった皐月賞でただ1頭、後方から追い込んだドウデュースに期待したくなるが……。
波乱の続いている春G1。そろそろ平穏な決着が見られるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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