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JRA川田将雅「2.7億円」ダノン軍団の総大将、まさかの黒星デビュー……「勝つか負けるかではなく、どう勝つか」から一転、「これも競馬」アーモンドアイ調教師も意気消沈

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川田将雅騎手

 12日、東京競馬場で行われた新馬戦(芝1800m)は、12頭中11番人気のオンザブロッサムが2番手から抜け出して勝利。単勝131.9倍の伏兵がデビュー戦で鮮やかな下剋上を成し遂げた。

 その一方で、まさかの敗戦を喫したのが、単勝1.4倍に推された大本命ダノンザタイガー(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。

「勝つか負けるかではなく、どう勝つか。余裕のある勝ち方をしてほしい」

 戦前『東スポ競馬』の取材に、国枝調教師から珍しく超強気なコメントが飛び出したのも当然か。米2歳女王シーズアタイガーを母に持ち、2020年のセレクトセールで2億7000万円の高値を付けたハーツクライ産駒は、デビュー前から大きな注目を集める1頭だった。

 しかし、迎えたデビュー戦は悪い面がすべて出たような内容だった。

国枝調教師「これも競馬だね……」

 

 まずスタートでタイミングが合わずに出遅れ。最後方からの競馬となったが、鞍上の川田将雅騎手が落ち着いてポジションをリカバーする。だが、レースはトーセンノヴァが後続を引き離して逃げる展開にもかかわらず、1000m通過は63.3秒という超スローペース。後ろから行く馬にとっては絶望的な展開になった。

 それでもそこから力の違いを見せたのは、やはり評判馬たる所以か。大外に持ち出されたダノンザタイガーは、川田騎手のゴーサインに鋭く反応。上がり3ハロン最速33.5秒の末脚で一歩、一歩先頭集団に近づいていく。

 だが、超スローを粘りに粘ったトーセンノヴァを交わして、先に先頭に躍り出たオンザブロッサムも余力十分。最後は2頭の競り合いになったが、ダノンザタイガーが半馬身に詰め寄るのがやっとだった。

「『初戦から力を出してくれなけりゃ困るよ』と国枝調教師も自信満々といった様子でしたし、スタートで後手を踏みましたが、それでも正直、ダノンザタイガーが負けるとは思っていませんでした。

額面上の時計は1000m通過が63.3秒のスローですが、これは集団を離して逃げたトーセンノヴァが記録したタイム。後続のペースはもっと遅かったと思いますし、ダノンザタイガーら後方の馬にとっては非常に厳しい展開になりましたね。

最後の直線の追い上げは非凡なものがありましたし、一瞬届くと思ったのですが、ラスト200mを切った際、川田騎手が打った右ムチに馬が怯んでしまったのが痛かったです。大きく内側へヨレて、すぐ前を走っていたスコプルスに接触しそうになるアクシデントがありました。川田騎手が上手く体勢を立て直しましたが、あのロスがなければ差し切っていたかもしれません。

国枝調教師が『1年後に結果を出してくれたら』と語っていた通り、早くも来年の日本ダービー(G1)を見据えている大器。まだまだ時間があるとはいえ、それだけに想定外の敗戦は、今後のローテに微妙な影響を及ぼすかもしれません」(競馬記者)

 ちょうど1か月前にあたる5月12日にノーザンファーム天栄から入厩し、入念な調整が重ねられてきたダノンザタイガー。国枝調教師から「骨格はしっかりしているが、スラっとした馬体で筋肉の質がいい。バネがある」と絶賛され、最終追い切りでも古馬と併入するなど、随所に良血馬の素質を見せていただけに、陣営や周囲の関係者の期待は否が応にも膨らんでいたに違いない。

「これも競馬だね。スタートがのんびりだったし、ペースも遅かった」

 レース後、そう悔しがった国枝調教師にとっても、今回ばかりは想定外の敗戦だったに違いない。ただ、昨年の2歳女王サークルオブライフに、秋華賞馬のアカイトリノムスメ、そして歴代最強女王アーモンドアイなど、近年の国枝厩舎を支えたG1馬たちは皆、デビュー戦で躓いている。2.7億円馬ダノンザタイガーの真価を見せてくれるのは、次戦以降と信じたい。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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