JRA宝塚記念【10万馬券】予想! パンサラッサ「爆逃げ」にタイトルホルダーら阿鼻叫喚!? 「激流」だからこそ冴えわたる横山典弘の技
今回は、26日に阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)を予想したい。なお、【10万馬券】予想と銘打っているが、特に10万馬券を狙ったわけではなく、フラットに予想した結果が10万超えの配当帯になったというだけ。現実味のある予想なので、最後まで読んでいただけると幸いだ。
大前提として、今年の宝塚記念は阪神開幕2週目に行われる。従って、最終週に行われていた過去の傾向は一切通用しない。過去10年で8枠が7勝という極端なデータが存在するが、あまり信用すると痛い目を見るのでご注意を。
そんな中で頼りになるのが、今年と同じく開幕2週目に行われた「昨年の宝塚記念」だ。過去の資料として参考にするのは、このレースだけにしたい。
単勝1.8倍の大本命クロノジェネシスが好位から抜けだし、2馬身半差をつけて完勝した昨年の宝塚記念。2着には7番人気のユニコーンライオンが逃げ粘り、3着にも2番手を追走したレイパパレが粘り込んだ。
上位馬の純粋な能力の高さも考慮されるものの、4着カレンブーケドール、5着キセキも好位追走組と、やはり前残りのレース。中団以下の差し馬は全滅している。
その上で注目すべきはペースだ。ユニコーンライオンが果敢にハナを切りに行くと、前走の大阪杯(G1)を逃げて圧勝したレイパパレは追いかけなかった。その結果、1000m通過は60秒ジャストのスローペース。参考として同日の阪神で行われた城崎特別(1勝クラス)の1000m通過は59.2秒だった。外回り芝1800mのレースなので鵜呑みにはできないが、それでも昨年の宝塚記念がかなり緩い流れだったのは間違いないだろう。
一方、今年の宝塚記念で昨年のユニコーンライオンに替わってハナを切るのはパンサラッサだ。アフリカンゴールドやタイトルホルダーといった同型もいるが、ハナへのこだわりを考慮すると、この馬が主導権を手渡すことはないだろう。すんなり隊列が決まってもおかしくはない。
そのパンサラッサだが、距離に不安のない昨年の福島記念(G3)と今年の中山記念(G2)は57秒台で1000mを通過している。(一見、溜め逃げに見えたドバイもラップ自体は中山記念に近い)
だが、その一方で明らかに距離に不安があった昨年の有馬記念(G1)では59.5秒(実況測定)までペースを落としている。有馬記念ほどではないにしろ、同じように距離に不安がある今回の宝塚記念も1000mを57秒台で通過することはなさそうだ。陣営からすれば欲を言えば59秒台だが、おそらく58秒台で推移する可能性が高い。
その上で考察すべきは、このパンサラッサを早めに潰しに行く馬がいるかどうかだ。
最有力候補は、やはり2、3番手を追走するであろうタイトルホルダーだ。ディープボンドも似たタイプだが、おそらく今回早めに先頭に立つことはない。理由は後述する。
仮に最有力の1頭タイトルホルダーが、パンサラッサを潰すために早めに動けば、エフフォーリアら後ろの有力馬も追いかけざるを得ず、レースは一気に消耗戦の様相を呈してくる。逆に動かなければ、瞬発力勝負の様相が強くなるが、その分、パンサラッサの逃げきりを許す可能性は高まる。
要は、タイトルホルダーら好位グループの陣営が、パンサラッサの逃げ切りをどこまで警戒するのかでレースの流れは大きく変わる。その判断が、今回の宝塚記念攻略の肝と言えるが、1つの手掛かりとして距離に不安があるパンサラッサが、前日段階で5番人気と高い評価を受けていることには着目すべきだろう。
その上でタイトルホルダーは、ここまで3000m級のG1を2勝している現役No.1ステイヤー。消耗戦は望むところという点を考慮すれば、早めにパンサラッサを潰しに行く可能性は高いと判断できる。
前置きが長くなったが、以下の宝塚記念の予想は消耗戦になることを軸に組み立てている。
本命「◎」は14番キングオブコージだ。
消耗戦になれば、中団から後方で競馬する馬が有利になる。無論、エフフォーリアを筆頭にキングオブコージよりも優れた戦績を持つ差し・追い込み馬は複数いるが、この馬を推すポイントは2つある。
1つは消耗戦を差し切るには、スタミナの裏付けが必要になるということ。
大阪杯で好走したアリーヴォやヒシイグアスといった魅力的な差し馬も存在するが、2頭とも2200mという距離に若干の不安を残す。その点、キングオブコージは2000m以上で結果を残しており、スタミナの裏付けは十分。純粋な瞬発力勝負では分が悪いものの、末脚の持久力が必要な展開になれば、立場は逆転するはずだ。持久戦になりやすい2200mや2500mの非根幹距離で実績がある点も心強い。
もう1つは、キングオブコージが追い込み馬であることだ。
例えば、パンサラッサの前走ドバイターフ(G1)で最有力候補だったシュネルマイスターは8着に敗れている。レース後、C.ルメール騎手は「直線で加速せずワンペースの走りになり、最後は疲れてしまった」と敗因を分析しているが、つまりパンサラッサの作るハイペースを追走することで、脚を溜めることができなかったというわけだ。
言い換えれば、こういったペースになった場合は、下手に動かず後方で脚を溜められた馬だけが、最後に従来の末脚を発揮できるのである。その点、キングオブコージの鞍上・横山典弘騎手は腹を括った追い込みが十八番。ポツンになっても構わないので、しっかり脚を溜めれば、最後にまとめて飲み込めるはずだ。
対抗「〇」は7番デアリングタクトを指名したい。
その能力も然ることながら「スタミナの裏付けのある差し馬」という点が大きい。長期休み明けだった前走のヴィクトリアマイル(G1)は案外な結果に終わったが、この馬の最大のセールスポイントはスピードやスタミナよりもパワーや底力(もちろんすべてが高いレベルにある)。高速馬場の東京マイル戦は、仮にブランクなしでも厳しい戦いになったはずだ。
今回は大きく条件が好転するほか、ペースが上がってレースレベルが高くなるなら、必然的に優位になる。
また近年、消耗戦だった中長距離G1の代表格は2019年の有馬記念だが、後方勢が上位を占める中、リスグラシューが5馬身差で圧勝したように「牝馬の-2kg」は、非常に大きなアドバンテージ。近年は牝馬の活躍がとにかく目立つが、男女間の力量差が小さくなっているにもかかわらず、未だ男女で2kg差を付けているルールのギャップが生まれている結果である。デアリングタクトが本来の力を発揮できるなら、ここでは一枚上の存在だ。
単穴「▲」は15番ディープボンド、そして4番エフフォーリアに敬意を払いたい。
まずはディープボンドだが、本来であればスタミナ勝負は持ってこいで、本命に近い評価を与えるべき馬。ただ、阪神を走ったここ2戦は勝負所の加速に手こずっている印象だ。その影響で阪神大賞典(G2)は辛勝だったし、天皇賞・春ではタイトルホルダーの独走を許した。
無論、主戦の和田竜二騎手が差し遅れているわけではなく、どちらも早めから懸命に追い出しているものの馬が加速していかないのだ。一方で、中山で行われた昨年の有馬記念ではスムーズに加速して2着を確保している。
中山では、加速を要する勝負所(残り1000m辺り)が下り坂になっているため、ディープボンドのようなズブい馬でも加速が容易だ。しかし、阪神ではそこがフラットなため、加速に手こずっているのだろう。今回も同様に差し遅れるはずだ。しかし、今回に限っては、その遅れが逆にハマる可能性があるとして印を回した。
エフフォーリアに関しては長く説明する必要はないだろう。「スタミナの裏付けのある差し馬」というコンセプトに合致しており、要は本来の力を出せるか否かである。最終追い切りで導入されたブリンカーが本番でも効果を発揮すれば、あっさりがあってもおかしくないので単穴指名する。
以下「△」には9番マイネルファンロン、10番ヒシイグアス、12番ウインマリリン、13番アリーヴォと手広く指名する。
ヒシイグアス、アリーヴォについては前述した通り。魅力的な決め手を秘めているもののスタミナ面に不安がある。ただし、2頭とも追い切りは非常に高評価できるもので、コンディションの良さでカバーできる可能性がある。
マイネルファンロン、ウインマリリンは非根幹距離に実績がある上に、スタミナの裏付けのある馬。勝つまでは想像できないが、ハマれば馬券を賑わしても不思議ではない。
以上、馬券の方は14番キングオブコージを1着固定の相手7頭の三連単42点。タイトルホルダーを切った以上、当たればまず10万馬券は堅いだろう。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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