JRA C.スミヨン「入線後」の斜行でも12日間の騎乗停止! 過去には武豊とも一悶着…イギリスでやらかした「お粗末騎乗」にファンも納得?
世界的名手として知られ、日本でも騎乗経験があるC.スミヨン騎手がG1の大舞台でやらかしてしまったようだ。
現地時間2日、イギリスのサンダウン競馬場で行われたエクリプスS(英G1)は、2番人気のヴァデニ(牡3歳、仏・JC・ルジェ厩舎)が優勝。仏ダービー(G1)に続き、G1・2連勝を飾った。
6頭立てで行われた大一番で、ヴァデニの鞍上を務めたのがフランスのC.スミヨン騎手だった。道中は最後方を追走し、末脚を温存。直線では前が窮屈になる場面もあったが、大外へ持ち出すと、末脚を伸ばして先頭でゴールした。
会心の勝利に入線後、派手なガッツポーズで雄叫びをあげたスミヨン騎手だが、勝利の興奮のあまり、周りの馬の動きが見えていなかったようだ。ゴール板を通過してすぐに迎える1コーナーで内へと切れ込んでしまい、後続のネイティブトレイルとロードノースの進路を塞いでしまった。
「入線後」の斜行でも12日間の騎乗停止!
「入線後だったのでスミヨン騎手も少し油断したのかもしれません。すぐに後ろを振り向いて軌道修正を図っていたので、他馬を妨害したことは分かっていたと思います。
ただ、後ろを確認した直後に、右手で2度目のガッツポーズをしたのは良くなかったですね。斜行に加え、ゴール後の見せたアクションも心証が良くなかったのかもしれません。スミヨン騎手は12日間の騎乗停止処分を受けてしまいました」(競馬誌ライター)
この処分を受けて、現地ファンの間では賛否が分かれているようだ。
イギリスとアイルランドの競馬専門チャンネル『Racing TV』が該当シーンの動画をTwitterに上げると、すかさずファンが反応。
「ちょっと厳しすぎないか?」「ゴール板を過ぎてからの出来事だよね?」と、処分の重さに納得できないファンがいた一方、「(処分は)正しい判断だ」「間違いなく不注意な騎乗だった」「(進路がふさがれた)2頭に致命傷を負わせていた可能性もあった乗り方。そう考えればフェア(な処分)」など、12日間の騎乗停止期間に理解を示すファンもいた。
過去には武豊騎手とも一悶着…
「レース中の出来事ではないため、12日間というのは個人的にやや厳しすぎる処分だったかなとは思いますが、これまでのスミヨン騎手の素行も遠因になっているのかもしれません。スミヨン騎手といえば、かつては粗野な言動が目立ち、平場のレースでは荒々しい騎乗をすることもしばしばありました。そんなスミヨン騎手も40歳を過ぎて、かなりおとなしくなっていると思っていたのですが……。
知っているファンも多いかと思いますが、実は日本でも騎乗停止処分を食らった過去があります。有名なのはブエナビスタに騎乗した2010年のジャパンC(G1)ですね。1か月前の天皇賞・秋(G1)でブエナビスタを優勝に導き、日本でG1初制覇を飾ったスミヨン騎手はジャパンCでもローズキングダムに1.3/4馬身差をつけて1位で入線したのですが……」(同)
ブエナビスタは直線で内にささった際、ローズキングダムの進路を妨害。鞍上の武豊騎手が急ブレーキをかける大きな不利を受けた。長い審議の末、ブエナビスタは降着を言い渡され、1~2着が入れ替わる形となった。
このとき、スミヨン騎手は裁決に不満を隠さなかったとか。とは言え、翌11年のジャパンCに来日すると、その後も12年、14年、19年とたびたび来日している。
そんなスミヨン騎手だけに、エクリプスSでの処分が日本でも報道されると、「スミヨンやっちゃったね」「スミヨンかなと思ったらやっぱりスミヨンだった」など、納得するファンの声も少なくなかった。
エクリプスSは欧州で年々評価を高めているレースだけに、スミヨン騎手の喜びもひとしおだったのは理解できる。
しかし、少しの油断が大事故につながりかねないだけに、スミヨン騎手には改めて“安全運転”に努めてもらいたいところだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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