「低レベル」扱いに反発するホッコータルマエの存在感
7日に新潟競馬場で行われるレパードS(G3)は、ユニコーンS(G3)と共に3歳馬限定のダート重賞である。JRAのレース体系は、芝に比べるとダート路線の選択肢が充実しているとは言い難く、ダート馬にとっては貴重な重賞といえるだろう。
ただ、近年を振り返ってもノンコノユメ、ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴ、カフェファラオなど、後のG1馬を多数輩出したユニコーンSが出世レースとしても広く認知されているのに対し、レパードSの勝ち馬でその後G1を勝った馬がパッと思い浮かぶのかというとそうでもない。同じG3でもユニコーンSと比較すると、レパードSの物足りなさは否めない。
特に有力馬に関しては、7月に行われる交流重賞のジャパンダートダービー(G1)に回ることも多く、同レースを経由してレパードSに出走する組はいても、勝ち馬が出てくることはレアケース。どちらかというと2番手3番手のグループによって争われる印象が強い。
ホッコータルマエの存在感
そんななか、G3に格付けされた2011年以降のレパードSの覇者で、唯一G1馬へと上りつめたのがホッコータルマエだ。
7歳で引退するまで息長く一線級で活躍したホッコータルマエだが、デビューからトントン拍子だったわけではない。
新馬戦は16頭立ての11着と大敗。それでも2戦目で初勝利を飾ると、その後は3度の敗戦を交えながら1勝クラス、2勝クラスと徐々に勝ち進む。そして夏は前述したジャパンダートダービーに挑戦して5着と敗れるが、次戦に選択したのがレパードSだった。
当時、人気を集めていたのはイジゲン。のちに武蔵野S(G3)を勝つ強豪であり、前走の彦星賞(2勝クラス)でも豪快な差し切り勝ちを決めていた。
最終的にホッコータルマエはそれに続く2番人気に支持されるわけだが、主戦の幸英明騎手も「近いうちに重賞は取れると思っていました」とレース後に明かしていたように、早め先頭から押し切る強い内容でナムラビクター(2着)やイジゲン(3着)の猛追を退け重賞初制覇。そしてここからホッコータルマエの快進撃が始まった。
デビュー時は成績が安定しない部分もあったが、レパードSを勝ってからはなんと16戦連続3着以内に入る覚醒ぶりを発揮する。
さらに、古馬となった4歳時にかしわ記念(G1)でG1初制覇を飾ると、引退まで計10冠を達成。これはJRAダートG1歴代勝利数で1位のコパノリッキー(11冠)に次ぐ単独2位の記録で、ヴァーミリアン(9冠)やエスポワールシチー(9冠)らを超える大記録となった。
あれから10年、レパードSの勝ち馬でG1を勝った馬は今のところ出ていないが、今回のメンバーにはハピやタイセイドレフォン、ホウオウルーレットなど、将来性豊かな実力馬が複数エントリー。もしかしたらかつてのホッコータルマエのような未来のG1馬が隠れているかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛