【紫苑S(G3)展望】オークス1番人気サークルオブライフVS 2着馬スタニングローズ! お騒がせの「あの馬」も名誉挽回へ出陣!
10日、中山競馬場では3着馬までに秋華賞(G1)の優先出走権が与えられるトライアルレース、紫苑S(G3)が行われる。今年も桜花賞(G1)、オークス(G1)に出走していた馬が上位人気に推されそうだ。
主役候補は、新馬戦でイクイノックスに敗れるも、その後に3連勝を飾って2歳女王の座に就いたサークルオブライフ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。
3歳を迎え、牝馬クラシック戦線で主役を張るとみられていたが、チューリップ賞(G2)で3着に敗れると、2番人気に支持された桜花賞は外々を回らされての4着と力を発揮できず。続くオークスでは1番人気に支持されたが、スタートで遅れて12着に惨敗した。
この時、最大の敗因とされたのが、放馬による約15分間の発走遅延である。のちにM.デムーロ騎手は『netkeiba.com』のインタビューコラム『Road to No.1 世界一になる』で、15分ほど待たされたサークルオブライフの状態について次のように答えている。
「落ち着いたと思ったら、今度は焦り出して、筋肉も冷えて。なんかもう輪乗りのあいだにピークを越えてしまったね。ゲートにも長く入っていたからさらにイライラして、やっぱり出遅れてしまった」
さらに、道中は「ずっとやる気がないまま」、直線でも「ムチを入れても反応がなかった」と、待たされた影響をもろに受けたことを告白。パドックでは「すごくいい」状態だっただけに悔しさ全開のオークスとなったようだ。
秋は当然、秋華賞が大目標となるが、まずは前哨戦で阪神JF(G1)以来となる勝利の味を思い出せるか。ここを快勝すれば、三冠目も再び主役の1頭として迎えることになるだろう。リベンジに燃えるデムーロ騎手の腕にも期待したい。
オークスでは人気薄ながら2着に好走したのがスタニングローズ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)である。
テン乗りで好騎乗を見せたのはD.レーン騎手。レース後、「いいスタートが切れて折り合いも良かった」と振り返ったように、サークルオブライフとは対照的に発走遅延のアクシデントをものともしなかった。
この春はこぶし賞(1勝クラス)、フラワーC(G3)を連勝。桜花賞を見送り、オークスに的を絞って出走したものの、10番人気という低評価。それでも、好位から直線しぶとく伸びて、スターズオンアースに食らいついた。
春の充実ぶりが本物なら、ここでもサークルオブライフをあっさり退けて不思議はないだろう。バラ一族悲願のクラシック制覇こそ逃したが、2010年ジャパンC(G1)のローズキングダム以来となるG1制覇へ向け、重要なステップレースとなる。
オークスで明暗を分けた2頭を紹介したが、発走直前に放馬、発走除外となってしまったのがサウンドビバーチェ(牝3歳、栗東・高柳大輔厩舎)である。
アクシデントが発生したのは発走直前の輪乗り中。他馬が突然後ろ脚で同馬の顔面を蹴り上げると、騎手を振り落とし、スタンド前から3コーナー付近まで走ってしまった。数分後に係員がつかまえたものの、馬体検査の結果、競走除外となってしまった。
夏を治療と休養に充てたサウンドビバーチェ。実戦で走るのは3月のチューリップ賞以来となる。半年前のそのレースでは8番人気で4着に好走。3着サークルオブライフとはクビ差、5着ウォーターナビレラには3/4馬身先着していた。
今回は鞍上に横山武史騎手を指名。秋華賞ではナミュールとのコンビが濃厚だが、敢えての代打起用には勝負気配が漂う。G1出走にあと数分まで迫りながらゲートインできなかった悔しさを晴らせるか。
ニシノラブウインク(牝3歳、美浦・小手川準厩舎)は5戦目で勝ち上がり、フラワーC2着で賞金加算に成功。オークスでは三浦皇成騎手が17番枠から積極策で逃げの手を打ったが、8着に敗れた。
レース後に鞍上が「距離の不安がある中でも頑張ってくれた」と話していたように、2400mはさすがに長かったか。2ハロン短縮となる今回は開幕週の馬場を味方に大駆けがあってもおかしくない。
春は桜花賞16着、オークス11着と不完全燃焼に終わったライラック(牝3歳、美浦・相沢郁厩舎)。1月のフェアリーS(G3)では長くいい脚を使って差し切っており、こちらは中山へのコース替わりに期待できそう。この春は420kg台で走っていたが、ひと夏を越しての成長度にも注目したい。
春のクラシック未出走組の中で面白い存在なのがサンカルパ(牝3歳、美浦・田中博康厩舎)だろう。前走・松島特別(2勝クラス)は初の古馬相手だったが、堂々1番人気に支持された。好位を追走し、直線でいったんは先頭に立ったが、結果は4歳牝馬のイリマに差されての2着。鞍上にはC.ルメール騎手が配され、何とか権利を獲りたい。
この他には、ゴールドシップ産駒の2頭にも要注目。カヨウネンカ(牝3歳、美浦・斎藤誠厩舎)は、連闘策で臨んだ前走でデビュー12戦目にして待望の初勝利を挙げた。未勝利戦とはいえ、相手なりに走るタイプだけにここでも侮れない。
もう1頭のゴールドシップ産駒シーグラス(牝3歳、美浦・武藤善則厩舎)は、2勝をいずれも右回りの2000m戦で挙げている。14着に敗れたが、オークスに出走した経験値を生かせるか。
3枚ある秋華賞への切符を手にするのはやはり春の実績組か、それともクラシック未出走組か。紫苑Sは10日、15時45分に発走を予定している。
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