JRA中山のマイル戦「内枠を買え」は本当か? 京成杯オータムH(G3)1枠1番ベレヌスは「消し一択」の衝撃!
今週から秋の中山と中京開催が開幕。そして3週間後には早くもG1シーズンの開幕を告げる、スプリンターズS(G1)が行われる。
夏競馬とはガラッと傾向が変わるこの中山と中京。特に9月の中山開幕週は、夏を越して緑の絨毯と言われるほど芝が生えそろった高速馬場がお馴染み。中でも芝1600mで行われる京成杯オータムH(G3)は、良馬場で行われれば高速決着が濃厚となっており、ファンにとっても難解なレースと言えるだろう。
そして9月の中山は開幕週ならではの狙い方がある。“中山の芝1600mは内枠を狙え”だ。
このコースはスタートしてすぐコーナーがあり、基本的に外枠が不利で内枠が有利とされている。そして前が止まらない開幕週の高速馬場となれば、最短距離を進み不利を受けない内枠有利というのが定説だ。実際に京成杯AHの過去5年を見てみると、良績を挙げているのは明らかに1~2枠の内枠に偏っている。
■京成杯AHで好走した1~2枠の馬(過去5年)
2021年
1着 1枠 2番カテドラル(7番人気1着)★
2着 5枠 9番コントラチェック(12番人気2着)
3着 1枠 1番グレナディアガーズ(1番人気3着)★
2020年
1着 5枠10番トロワゼトワル(4番人気1着)
2着 8枠16番スマイルカナ(3番人気2着)
3着 1枠 2番ボンセルヴィーソ(13番人気3着)★
2019年
1着 5枠10番トロワゼトワル(4番人気1着)
2着 6枠11番ディメンシオン(5番人気2着)
3着 1枠 2番ジャンダルム(10番人気3着)★
2018年
1着 6枠10番ミッキーグローリー(1番人気1着)
2着 8枠14番ワントゥワン(3番人気2着)
3着 2枠 2番ロジクライ(2番人気3着)★
2017年
1着 3枠 6番グランシルク(1番人気1着)
2着 2枠 3番ガリバルディ(11番人気2着)★
3着 7枠13番ダノンリバティ(6番人気3着)
昨年は1枠の馬が1着と3着となったほか、この5年で3着以内に好走した15頭のうち、1~2枠の馬が6頭となっている。しかも7番人気、13番人気、10番人気、11番人気といった超人気薄穴馬が毎年のように好走しているのだから、やはり内枠有利は間違いなさそうだ。
ではどういったケースに該当する馬が激走してきたのか。逆に1~2枠でも買えない条件はあるのか。過去5年の成績をチェックしてみると、好走条件および凡走条件が判明した。
■好走条件
・関西馬
・中山か阪神の芝1600mで3着以内の実績がある
・前走から5か月以内のローテーション
・騎手はデビュー5年目以降
・前走は芝1400~1600m戦で2~10着
・過去に1~2枠で3着以内の好走実績がある
・過去に重賞で3着以内の実績がある
・ハンデは55~57kg
・牡馬3~6歳
非常にトリッキーなコースであるがため、求められるのは経験と器用さ。中山のマイル戦はもちろん、内枠の好走実績、そして混戦模様になりやすいため重賞で好走した底力や鞍上の経験も重要。
またスピードが要求されることもあり、前走は1400~1600mを使っていた馬の方が有利。1800m以上を走っていた馬はスピードに対応できず、また1200mを使っていた馬は最後の坂でスタミナが枯渇するようだ。そして多くの馬が内枠に殺到するためか、牝馬よりもパワーのある牡馬が好走する傾向にある。
■凡走条件
・関東馬
・中山か阪神の芝1600mで3着以内の実績がない
・前走から5か月を超えるローテーション
・騎手がデビュー4年目以内
・前走は芝1400~1600m以外
・前走は1着もしくは11着以下
・過去に1~2枠で3着以内の好走実績がない
・過去に重賞で3着以内の実績がない
・ハンデは54kg以下
・牝馬
・牡馬7歳以上
一方で凡走馬に見られる傾向は好走馬の条件と真逆。何故か内枠の関東馬は過去5年で全滅となっており、非常に買えない状況になっている。そして各条件の好走実績や前走の成績、ハンデなども考慮すると自ずと買うべき馬は絞られるだろう。
以上の傾向から今年の京成杯AHで内枠に入った1枠1番ベレヌス、2枠2番コムストックロードをチェックすると、残念なことに2頭とも多くの凡走条件に該当してしまう。特にベレヌスは勝てばサマーマイルシリーズのチャンピオンになれるわけだが、ここでは危険な人気馬となってしまい“消し一択”となってしまった。
開幕週の京成杯AHは内枠有利が定説だが、今年に限っては買える要素がなく見送りが妥当。ぜひ参考にしていただきたい。
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