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ライスシャワーを完封したセントライト記念…気性難・ゲート難・骨折を乗り越えこじ開けた栄光への扉

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 19日、中山競馬場では菊花賞トライアルのセントライト記念(G2)が行われる。

 三冠馬セントライトを称え、戦後間もない1947年に創設されたこのレース。75頭を数える歴代勝ち馬の中には三冠馬シンボリルドルフ(1984年)や、G1を7勝したキタサンブラック(2015年)などスターホースの名前も刻まれている。

 そんな75頭の中にはセン馬が1頭だけいる。シンボリルドルフの勝利から8年後の1992年に制したレガシーワールドである。

 同馬を管理していたのは、坂路でミホノブルボンを二冠馬に鍛え上げた戸山為夫調教師。2頭は同厩の仲間であり、ライバルという存在だったが、早くから活躍するミホノブルボンとは対照的にレガシーワールドはなかなか初勝利を挙げることができなかった。

 2歳(当時の表記では3歳)時は5戦して未勝利に終わったレガシーワールド。能力開花を阻んでいたのは、父モガミから伝わる気性難だったといわれる。特に出遅れ癖は深刻で、2歳時は後方から鋭い末脚を繰り出すも、直線届かずの競馬が続いていた。

問題児から優等生へと変貌を遂げる

 その後、レガシーワールドは骨折で3歳春を全休するが、この間に気性難を解消するため去勢が行われた。これが功を奏したのか、8か月ぶりの実戦となった夏の福島であっさり勝ち上がることとなる。

 その後は夏の函館で3戦2勝、2着1回の成績を残し、レガシーワールドは問題児から優等生へと変貌を遂げていた。

 そんなレガシーワールドが函館で古馬相手に2着したオープン競走から中1週で向かったのがセントライト記念だった。

 このレースで1、2番人気に推されたのはトレヴィットとホワイトアクセルという夏の上がり馬。これに続く3番人気に推されたのが、ダービー2着馬のライスシャワーだった。そしてレガシーワールドは差のない4番人気に推された。

 13頭立ての9番枠から好発を決めたレガシーワールド。予想通りハナを主張すると、前半1000m通過が60秒6の平均ペースでレースを進めた。勝負所で上位人気2頭の手応えがやや鈍くなる中、後ろの馬は3角手前で早めに追い上げを開始。4角で2番手に迫っていたのが、他でもないライスシャワーだった。

 逃げるレガシーワールドを射程圏に入れ、外から襲い掛かるライスシャワー。2頭は残り200m地点で一騎打ちの様相を呈していた。中山の直線坂下ではライスシャワーの脚色が上回っているかに見えたが、ゴール前でレガシーワールドがもうひと伸び。結局、ダービー2着馬の追撃をアタマ差で封じ込め、重賞初出走初勝利を収めた。

 セン馬にはクラシックレースへの出走資格がないため、セントライト記念後はオープン競走を2連勝し、ジャパンC(G1)へと駒を進めたレガシーワールド。

 その年のジャパンCには、菊花賞でライスシャワーの2着に敗れた同厩ミホノブルボンも出走を予定していた。ところが、ミホノブルボンはレース数日前になって脚元に不安を発症し、回避せざるを得なくなっていた。

 レースではミホノブルボンの分もとレガシーワールドが逃げの手を打つと、10番人気ながら4着に好走。その後も有馬記念(G1)2着、AJCC(G2)2着、さらに2度目の骨折明けで迎えた京都大賞典(G2)でも2着と安定した走りを続けた。

 そして、2年連続の出走となったジャパンCで6番人気ながら、今度は2番手追走から直線抜け出して世界の強豪を一蹴。日本で調教されたセン馬としては、初めてのG1制覇を遂げた。

 レガシーワールドにとってキャリアのハイライトは当然ジャパンCだったが、前年のセントライト記念でライスシャワーを封じ込めた経験も大きかったはず。気性難、ゲート難、骨折……。様々な試練を乗り越えた本馬が最初に輝いたのは、ちょうど30年前の秋の中山だった。

中川大河

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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