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「遅れてきた大物」パラレルヴィジョンに死屍累々の歴史。神戸新聞杯(G2)に残るレイデオロ、ゼンノロブロイ、シンボリクリスエスの系譜とは
先週のセントライト記念(G2)では、夏の上がり馬であるガイアフォースが春の実績馬たちを相手に勝利を収め、菊花賞(G1)の有力候補に浮上した。
となれば、今週末に行われるもう1つの菊花賞トライアル・神戸新聞杯(G2)でも“新興勢力”の台頭に期待をしたくなる。
秋の主役の座を狙う上がり馬たちが多数出走するが、中でも特段の注目を集めているのがパラレルヴィジョン(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)である。
パラレルヴィジョンは昨年6月の東京開催で早期のデビューを予定していたが、骨折した影響で初陣は大幅に遅れた今年4月となってしまった。春のクラシックには間に合わなかったが、それでもデビュー戦では2馬身半差、続く1勝クラスでも3馬身差を後続につけている。
ここまで2戦2勝と無敗に加えて、その内容も素質の高さを存分に感じさせるものであった。こうした背景を考えれば、神戸新聞杯で「遅れてきた大物」として人気の一角に据えられているのも必然と言えるだろう。
今後は菊花賞へと挑むのか、それとも古馬相手に中距離路線を歩むのかは明言されていない。だがどちらの道を目指すにしても、ここで賞金加算に失敗すれば自己条件からの出直しを強いられてしまう。ここは是が非でも結果を残し、オープン入りを果たしたいと陣営は考えているはずだ。
これまでの秀逸な戦績に加えて、このレースに対する勝負度合いも十分に感じられるパラレルヴィジョン。だがこの気になる新星にも1つ、神戸新聞杯における不安要素が存在する。
それは関東馬である点だ。
パラレルヴィジョンに死屍累々の歴史…
実は神戸新聞杯を制した関東馬は、1986年以降でたったの3頭のみ。その3頭は17年のレイデオロ、03年のゼンノロブロイ、02年のシンボリクリスエスである。このうちレイデオロは当年の日本ダービー(G1)を制しており、残る2頭もダービーでは2着に好走し、春のクラシックでは素晴らしい成績を残していた。
それに対して、この3頭を除いた関東馬は22頭が神戸新聞杯へ挑んでいるのだが、その戦績は(0-2-1-19)と振るっていない。
パラレルヴィジョンは注目の1頭とはいえ、関東馬として神戸新聞杯を制した3頭に比べれば実績面では流石に見劣る。この3頭以外の関東馬は長年にわたり苦戦傾向であることは、パラレルヴィジョンにとっては逆風といえるだろう。
関東馬ながら神戸新聞杯を制した3頭はいずれも、その後のG1戦線で輝かしい実績を残し名馬として名を馳せた。仮にパラレルヴィジョンが勝利し3頭に肩を並べることとなれば、G1級の素質の証明といえるかもしれない。「遅れてきた大物」は名馬足り得るのか否か、今回の神戸新聞杯が試金石となるはずだ。
奇しくもこの3頭は全て関東の“名伯楽”・藤沢和雄元調教師が手掛けた馬。その一方で今回パラレルヴィジョンを送り出すのが、その藤沢師と肩を並べる名トレーナーとして長年にわたり美浦トレセンを引っ張ってきた国枝師である点には不思議な巡り合わせを感じてしまう。
果たしてパラレルヴィジョンは「関東の刺客」として神戸新聞杯で勝利を飾ることができるだろうか。「遅れてきた大物」と称される実力が違わないことを、名馬たちと肩を並べるに足る器であることを、その走りで証明してもらいたい。
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