【毎日王冠(G2)展望】サリオス、レイパパレらG1ウイナー4頭が集結!G1に最も近い?“スーパーG2”で復活を遂げるのは……
札幌記念(G2)や中山記念(G2)と並び、G1に最も近いとも呼ばれる“スーパーG2”の毎日王冠(G2)が、9日、東京競馬場で行われる。
昨年はすぎやまこういち氏をしのんで同氏が制作した本馬場入場曲とG1ファンファーレが特別に流れされ、G1さながらの雰囲気が漂った。レースでは、シュネルマイスターとダノンキングリーのG1馬2頭がワンツー決着。あれから1年、今年は昨年以上の好メンバーがそろいそうだ。
3年前には2歳マイル王に輝き、翌春にはコントレイルと牡馬クラシックを争ったサリオス(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)が5歳秋の始動戦を迎える。
サリオスが最後に美酒を味わったのは2年前の毎日王冠までさかのぼる。その時は休み明けで初の古馬相手に3馬身差で快勝。その後はマイル路線での活躍が期待された。
ところが、3歳秋のマイルCS(G1)で5着に敗れると、その後もことごとく人気を裏切り続け、サリオスに対する評価は下降線をたどった。
ようやく復調の兆しを見せたのは昨年12月の香港マイル(G1)。D.レーン騎手を背に香港の名マイラー、ゴールデンシックスティから「1.3/4+クビ」差の3着に健闘した。
今年は高松宮記念(G1)で15着に敗れたが、初の距離に加え道悪だったことも大きかった。
そして迎えた前走の安田記念(G1)。高松宮記念から「-22kg」と大幅に馬体重を減らし、デビュー来最低の8番人気まで評価を下げていた。ところが、レーン騎手とのコンビでまたも3着に好走。ソングラインとシュネルマイスターとはタイム差なしで、完全復活へ向けて秒読み段階に入っている。
4月の大阪杯(G1)を8番人気で制したポタジェ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)。重賞初制覇を強豪がそろったG1で成し遂げた。
古馬になってからリステッド競走を1勝していたが、重賞ではややパンチ不足だった印象のポタジェ。大阪杯でも伏兵の1頭に過ぎなかったが、ジャックドールが作り出した緩みのないペースも味方につけ、直線でレイパパレを競り落とした。
春は宝塚記念にも出走し、G1連勝を狙ったが、中団後方のまま11着に完敗。レース後に吉田隼人騎手が「返し馬の一歩目が弾んで行きませんでした。明らかに前走とは違いました」と話したように状態面も整っていなかったようだ。
8月の時点で秋は毎日王冠からの始動が決定。レースの1か月以上前に北海道のノーザンファームから栗東に戻りじっくり調整されている。G1馬として、ここで無様な競馬はできないだろう。
昨年の大阪杯をデビューから無傷の6連勝で制したレイパパレ(牝5歳、栗東・高野友和厩舎)。あれから1年半が経過したが、7勝目が遠い。
ただしスランプに陥っているわけではなく、昨年の宝塚記念で3着、連覇を狙った今年の大阪杯でも2着するなど、牡馬相手のG1でもしっかり結果を残している。
一方で、牝馬限定G1では1番人気に2度支持されたが、昨年のエリザベス女王杯が6着、前走のヴィクトリアマイルは12着と期待に応えられていない。
特に前走のヴィクトリアマイルは約2年ぶりのマイル戦で完全復活を狙ったが、直線全く伸びず12着。夏を休養に充て、秋は1800mから始動する。
次走は2000mの天皇賞・秋(G1)に向かうのか、マイルCS(G1)でもう一度距離を短縮するのか、それとも距離を2ハロン延ばしてエリザベス女王杯に向かうのか。今後を占う上でも重要な一戦となりそう。鞍上はもちろん川田将雅騎手が務める。
その川田騎手とデビュー2戦目からコンビを組んできたダノンザキッド(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)は、戸崎圭太騎手に乗り替わっての始動戦を迎える。
この馬も2年前のホープフルS(G1)を最後に勝利から遠ざかっているが、昨年のマイルCSで3着、今年の安田記念でも差のない6着と、やはり持っている力はG1級。必勝を期した前走の関屋記念(G3)は3着に敗れたが、前残り決着の中、唯一中団から繰り出した末脚は復活を予感させるものだった。
ここまで名前を出した4頭は全てG1ウイナー。これら実績馬に立ち向かう筆頭候補がキングストンボーイ(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)である。
昨年は青葉賞(G2)で2着に入り、日本ダービー(G1)の優先出走権を獲得したキングストンボーイ。ところが、藤沢和雄調教師(当時)は同馬の将来を見据えて大一番を見送るという苦渋の決断を下した。
藤沢和厩舎の解散後に移籍した先は藤沢和師の下で技術調教師として学び、“馬第一主義”の藤沢流を引き継いだ鹿戸師。師匠が下した決断が正しかったことを証明するためにも重賞勝ちで応えたい。
ノースブリッジ(牡4歳、美浦・奥村武厩舎)は、今年に入り間隔を空けながらアメジストS(3勝クラス)、エプソムC(G3)を連勝中。特に前走は外差し馬場を3番手から押し切る好内容で、同じコースならここでの楽しみな存在だ。
この他には、そのエプソムCで道中最後方から豪脚を駆使して、0秒1差の4着まで追い上げたジャスティンカフェ(牡4歳、栗東・安田翔伍厩舎)、8月の小倉日経オープン(OP)で大逃げを打ち、1年9か月ぶりの勝利を挙げたレッドベルオーブ(牡4歳、栗東・藤原英昭厩舎)など伏兵陣も侮れない。
73回目を迎える伝統のG2は、9日の15時45分に発走予定となっている。
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