福永祐一の同期騎手が穴馬で見せた存在感、あのクビ差惜敗から5年ぶり光明!?
牝馬三冠のラストレース・秋華賞(G1)はスタニングローズが優勝。史上7頭目の快挙を目指したスターズオンアースは出遅れも響き3着に敗れたが、掲示板5頭中4頭は人気馬が占める比較的堅い決着となった。
そんな中で13番人気ながら4着と善戦したのがメモリーレゾン(牝3歳、栗東・長谷川浩大厩舎)だ。同馬は3歳の1月という遅めのデビューを迎えており、春のクラシックとは無縁の存在だった。前走のローズS(G2)を5着に敗れ、秋華賞には4/8の抽選を突破して出走していた。
道中、メモリーレゾンは勝ったスタニングローズの一列後ろにつける。4コーナーではポジションを下げる場面もあったが、直線では最後まで伸び、ゴール板手前でアートハウスら3頭を一気に交わして4着でフィニッシュしている。
レース後に古川吉洋騎手は「上位3頭は強かったけど、よく頑張っている。最後も差してきているからね」とコメント。前哨戦から着順を上げた相棒を労った。3着のスターズオンアースとは2馬身差と、トップクラスとは差があったとはいえ、春クラシック出走馬7頭に先着しての4位は大健闘だろう。
芝1200mのレースでデビューし、徐々に適性を掴みながら本番でもしやの走りを見せたメモリーレゾン。同馬には主戦の古川吉騎手と歩んだ研鑽の日々があった。
「メモリーレゾンのキャリア7戦は全て古川吉騎手が騎乗しています。過去のレースを見ても今回のようにゴール前で伸びてくることが多く、コーナーでスピードに乗れない課題は以前も騎手自ら指摘していました。
早めに動いたローズSでは結果も出なかったことから、今回は直線に懸けたのかもしれません。初G1で人気を大きく上回っての4着ですから、馬券圏外とはいえこれまでの経験をつぎ込んだ古川吉騎手の好騎乗だと思います」(競馬誌ライター)
古川吉騎手は「競馬学校騎手課程・花の12期生」の一人
27年目の古川吉騎手は、福永祐一騎手を筆頭に和田竜二騎手、柴田大知騎手などがいる「競馬学校騎手課程・花の12期生」の一人。今では福永、和田竜両騎手の二人に大きな差を付けられているが、この世代で初めてG1を勝ったのは古川吉騎手だったのだ。
それは彼らがデビュー2年目の1997年・阪神3歳牝馬S(G1)。古川吉騎手は7番人気のアインブライドで優勝し、同期の2着高橋亮騎手(現調教師)、11着の福永騎手を尻目に、同期G1一番星を挙げた。
しかしこの活躍で波に乗っていくことはできず、若手時代はリーディング下位に低迷。近年も年間30勝台がピークで、G1勝利からも25年遠ざかっている。その間はチャンスのある馬への騎乗自体少なかったが、そんな中で大きな機会を得たのがテイエムジンソクと挑んだ2017年のチャンピオンズC(G1)だった。
前哨戦のみやこS(G3)を2馬身半差で快勝し、5戦連続連対で迎えたG1では1番人気に支持されたテイエムジンソク。4角2番手から逃げるコパノリッキーを競り落とし一度は先頭に立ったが、その直後外から飛んできたゴールドドリームにクビ差でタイトルをさらわれた。古川吉騎手は「勝ったと思った」と悔しさをにじませ、同馬とはその後もフェブラリーS(G1)や帝王賞(G1)に上位人気で臨んだが、何れも着外に終わっている。
そのテイエムジンソクも竹之下智昭騎手から乗り替わって以降は、古川吉騎手が12戦連続で騎乗し、引退レースまで手綱を握った相棒的存在だった。今回初のG1で健闘したメモリーレゾンに「これからの馬」と声をかけた古川吉騎手。5年前のリベンジと25年ぶりのG1勝利を目指すふたりの戦いはまだ始まったばかりだ。
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