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来年はシャフリヤールと直接対決を…戦友の無念を背負い、天皇賞の裏で始動する大器

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 30日、阪神競馬場ではカシオペアS(L)が行われる。

 同日に東京競馬場で中距離路線の頂上決戦である天皇賞・秋(G1)が開催される中、阪神で行われる芝1800mの戦い。いわゆる“裏開催”にはなるが、今年はある馬の参戦によって注目度が高まっている。

 1勝クラスから3連勝でこの舞台に臨むプログノーシス(牡4歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。

 脚元の不安から順調にキャリアを歩むことはできなかったものの、ここまで通算5戦4勝と底知れぬポテンシャルを見せているディープインパクト産駒の素質馬。唯一の敗戦というのが、昨年3月の毎日杯(G3)だが、この時は新馬戦から中1週で挑んだキャリア2戦目であり、先着を許したのはグレートマジシャンとシャフリヤールの2頭だけ。

 ご存知の通り、グレートマジシャンはその後の日本ダービー(G1)で4着と健闘を見せ、シャフリヤールは皐月賞馬のエフフォーリアを破って優勝。そう考えると、唯一の敗戦も悲観する必要はまったくないだろう。

 また、その能力の高さは負かした相手も保証している。毎日杯の後に挑んだ1勝クラスの一戦は、出遅れながらも2着に3馬身差をつける完勝だったのだが、その時の2着馬はアンドヴァラナウトだった。

 同馬は後に秋華賞(G1)で3着と善戦。今年も阪神牝馬S(G2)で2着、府中牝馬S(G2)で3着に入るなど、重賞でも上位争いを繰り広げている実力馬だ。そんな強敵を相手にしなかったのだから、プログノーシスの飛躍にも自然と期待が膨らんでくる。

 そのプログノーシスは、今年4月の京橋S(3勝クラス)から始動。4戦連続でスタートは後手を踏んだが、最後は11頭中10番手から上がり33秒1という豪脚を使って悠々と差し切り勝ち。単勝1.3倍の支持に応えて見せた。

 その後は6月のエプソムカップ(G3)を目標に進めていたものの、「右トモの疲れが抜けきっていない」ことを理由に出走を回避。大事を取っての措置と見られていたが、今回が約7カ月ぶりの復帰戦となる。

調整の難しさを物語る悲しい出来事が…

 順調に歩むことができていれば、同日に行われる天皇賞・秋でシャフリヤールと毎日杯以来の再戦があっても何ら不思議ではなかった大器。残念ながら脚元の都合もあって出世が遅れているが、この夏には改めて調整の難しさを物語る悲しい出来事があった。

 7月、新潟競馬場で行われた関越S(OP)。このレースで2021年のダービー以来、1年2カ月ぶりの実戦復帰を果たしたのが、かつてプログノーシスに先着したグレートマジシャンだった。

 長欠明けながら1番人気に支持されるなど、競馬ファンもこのレースは通過点と信じていた。しかし、同馬はレースを最後まで走り切ることができず、新潟名物の長い直線で競走を中止している。

 開催終了後、その日のうちにJRAから発表されたのは「右第1指関節脱臼」で「予後不良」というあまりにも残酷な診断結果。右前脚の靭帯にも大きなダメージが見られたということで、志半ばで馬生を終える形になってしまった。

 天性のスピード能力は諸刃の剣で、脚元には常に不安がつきまとう。それはプログノーシスにも言えることだ。

 2021年の毎日杯でしのぎを削った同世代のディープインパクト産駒3頭によるG1での再戦というのは叶わぬ願いとなってしまった。だが、だからこそプログノーシスにはグレートマジシャンの想いも背負って、シャフリヤールが待つG1の舞台まで駒を進めてもらいたいところ。まずはプログノーシスに今回のカシオペアSを無事に突破してもらいたい。

木場七也

木場七也

29歳・右投右打。

本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。

ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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