武豊「神騎乗」アドマイヤビルゴ復活も、パンサラッサ「天皇賞・秋」もアウト!?
先月、JRA(日本中央競馬会)が定例会見を開き、来年2023年の競馬における変更点が公表された。
改修工事中の京都競馬場が4月から再開されることや、トラッキングシステムの導入により各馬の位置関係をグラフィック表示できるようになるなど、来年の競馬が今から楽しみになるニュースもあったが、その一方でジョッキーに小さくはない影響を及ぼしそうなのが「ムチの連続使用の制限」だ。
具体的には現在10回まで認められているものが、半分の5回になるという。世界的にムチの使用に対する厳格化が進んでいる中、JRAもその流れに倣った形だ。
最初に断っておくが、制限されるのはレース全体の使用ではなく、あくまで「連続」したムチの使用である。だが、それでもいきなり10→5回と現行の半分になる影響は決して小さくないだろう。ちなみに今年は10月終了時点で、ムチの御法(鞭の使用)による制裁は100件を超えている(肩ムチの制限などを含む)。
具体的には、どういったことが起こるのか。現場の記者に話を聞いてみた。
パンサラッサ「天皇賞・秋」もアウト!?
「ムチの連続使用は、2完歩以内で再使用した場合にカウントされます。専門家ではないのではっきりしたことは言えませんが、例えば先週の天皇賞・秋(G1)を驚異的な粘り腰で大いに盛り上げた吉田豊騎手(パンサラッサ)、その裏のカシオペアS(L)を見事に逃げ切った武豊騎手(アドマイヤビルゴ)といった辺りは、来年以降は制裁の対象になるかもしれません。
もちろん、吉田豊騎手も武豊騎手も10回制限の中での騎乗ですし、それが5回になれば、そう対応するとは思います。ただ、どんなレースもゴール前は一つでも上の着順を目指すために全力で騎乗しますし、長年培ってきたクセのようなものもありますからね……。『せめて8回とか7回とか、ワンクッション欲しかった』という声も聞きましたし、ジョッキーの皆さんには、さらなる冷静さが求められることになりそうです」(競馬記者)
記者が挙げた2つの例がどちらも逃げ粘った騎乗であるように、ムチの連打はスピードを加速させるよりも、スタミナを持続させるために行うケースが目立つ。
そういった背景もあってか、ゴール前でどうしても消耗戦になりがちな障害レースに騎乗するジョッキーが処分の対象になるケースは珍しくない。さらに記者が「長年培ってきたクセのようなもの」と指摘した通り、経験豊富なベテラン騎手の違反も目立っている。
どちらも具体的な氏名は控えるが、来年からのルール変更に気を付けなければならないのは、JRAの所属ジョッキーだけではないかもしれない。
「今年の4月の終わりから6月の宝塚記念(G1)まで短期免許で騎乗していたD.レーン騎手ですが、わずか1か月で3回もムチの使用に関する制裁を受けていました。
以前はそんなことはなかったイメージですが、コロナ禍の影響で久々の来日だっただけに日本のルールに対応しきれていなかったのかもしれません。今月の12日から再び日本で騎乗する予定だけに少し心配ですね」(同)
ムチの使用制限が世界的に厳格化されているものの、その詳細は国々によって異なる。来年以降、JRAの所属ジョッキーはもちろんのこと、短期免許で参戦する外国人ジョッキーもムチの使用には注意が必要になりそうだ。
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