三冠馬を「子供扱い」したスノーフェアリーの伝説、今年の刺客も本気度MAXのワケ
13日、阪神競馬場で行われる秋の女王決定戦・エリザベス女王杯(G1)。二冠馬スターズオンアースの戦線離脱は残念だったが、ハイレベルと噂される3歳世代が複数参戦するとあって、非常に楽しみな一戦となりそうだ。
コロナ禍が落ち着いたこともあって、3年ぶりにJRA所属以外の外国人騎手が騎乗するのだが、注目すべきは外国馬が出走することだろう。同じ3歳牝馬でもマジカルラグーン(牝3、愛・J.ハリントン厩舎)の参戦は非常に興味深い。
何しろ外国馬によるエリザベス女王杯参戦は、2010年と11年に連覇を達成したスノーフェアリー以来となる11年ぶりのこと。それだけに生半可な気持ちで遠征してきた訳ではないはずだ。
思い返せば、スノーフェアリーが初めて参戦した2010年も、欧州のG1で実績がありながら4番人気と侮られていた。それもそのはず、これを迎え撃つ日本馬には同年の牝馬三冠を達成したアパパネや牡馬相手に京都大賞典(G2)を制した古馬の代表格メイショウベルーガ、三冠で善戦したアニメイトバイオなどもいたからである。
さらに、アウェーで戦う外国馬とホームの地の利がある日本馬との違いもあった。同じく海外から参戦していたもう1頭のアーヴェイにしても8番人気に過ぎなかったのだから……。
三冠馬を「子供扱い」したスノーフェアリーの伝説
しかし、いざレースが始まると日本のファンは、ただただスノーフェアリーの圧倒的な強さを目の当たりにすることになった。パワーを要する欧州のコースと違い、高速決着の多い日本のコースで適性を疑問視する声もあった中、最後の直線で外を回したアパパネやメイショウベルーガを内から驚異的な末脚で置き去りにしてしまったのだ。
その着差も、手応えにまだ余裕を残したまま4馬身。レースを実況したアナウンサーも思わず「すーんごい脚」と声を上擦らせて驚いたほどであり、語彙力を失うとはまさにこういうことなのだろう。実際、日本の三冠牝馬を子供扱いした異次元のレースぶりに、外国馬の底力を思い知らされる結果となった。
その後、スノーフェアリーが香港C(G1)も勝ち、翌年秋の凱旋門賞(仏G1)でも3着に入ったことを考えれば、日本馬が太刀打ちできなかったのも、当然といえば当然だったか。
既に十分に強さが知れ渡った翌11年には、再びアパパネの挑戦を退け、新たな挑戦者アヴェンチュラもクビ差で下した。ちなみにこの年の4着ホエールキャプチャ、5着レインボーダリアは後にG1を勝つ実力馬でもあった。
今年のマジカルラグーンを偉大な名牝と比較するには少々酷だが、アイルランドオークス(G1)を制している点については同じ。3歳牝馬としては過酷な59.5キロの斤量を背負った経験もあるだけに、54キロで走れるのは大歓迎といえる。
共同会見でも陣営は、日本の馬場への適性に自信を見せ、得意の右回りということもアピール。主戦を務めるS.フォーリー騎手も順調な追い切りとパートナーの状態に太鼓判を押していた。雨で馬場が渋るよりも好天で走らせたいと希望していただけに、スピード競馬は望むところということだろう。
日本馬が適性を考えて海外に遠征するのと同じく、マジカルラグーン陣営もまた日本の馬場に適性を見込んでの遠征なら侮れない。
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