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D.レーン「厳罰」リーチに戦々恐々!? 本来のパフォーマンスが発揮できない理由

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ウインマリリン 撮影:Ruriko.I

 エリザベス女王杯(G1、芝2200m)に出走するウインマリリン(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)が元気だ。

 昨年は3番人気に推されたものの、持病である右肘腫の影響で16着に大敗した。今年は8月の札幌記念(G2)からじっくりと調整され、陣営も「脚元の心配をせずにやれている」と順調さをアピール。グローリーヴェイズやレイパパレといったG1馬を蹴散らした昨年のオールカマー(G2)と「同じぐらいの出来」と胸を張る。三冠馬デアリングタクトや秋華賞馬スタニングローズなど相手は揃ったが「G1を勝てる器」と一歩も引く気はない。

 ちなみにウインマリリンを管理する手塚厩舎はこれまでG1を8勝しているが、そのすべてが外国人ジョッキーによるもの。そういった意味で、今週末から短期免許で参戦するD.レーン騎手を確保できたことは大きい。

 レーン騎手といえば、日本でもヴィクトリアマイル(ノームコア)、宝塚記念、有馬記念(リスグラシュー)を勝つなど、来日するたびに大活躍しているジョッキーだ。

 この春もオークス(G1)を10番人気のスタニングローズで2着、宝塚記念を5番人気のヒシイグアスで2着するなど抜群の手腕を発揮。さらに今秋もウインマリリンだけでなく、マイルCS(G1)でセリフォス、ジャパンC(G1)でヴェルトライゼンデ、香港スプリント(G1)でジャンダルムに騎乗することが決定するなど、早くも引っ張りダコの状況だ。今回は約1か月の騎乗になるが、間違いなくG1連続開催のキーマンの1人といえるだろう。

 だが、その一方である記者は、今回のレーン騎手について「これまで通りの活躍とはいかないかも」と話す。そこには、大きな「不安要素」があるというから気になるところだ。

「厳罰リーチ」に戦々恐々!?

「実は、春の騎乗で制裁点が溜まっているんですよね……。短期免許で騎乗する外国人ジョッキーには年間3か月間の騎乗期間が与えられ、春に騎乗したレーン騎手が再び参戦できたのも、あと1か月間(期間が)残っていたからになります。

ですが、騎乗期間中に制裁点が15点を超えた場合は、翌年の(短期免許の)期間が2か月に短縮されます。レーン騎手はすでに11点。この1か月で何かもう一度やってしまえば、日本での騎乗機会を1か月失ってしまう可能性が高いというわけです」(競馬記者)

 記者が話す通り、JRAでは短期免許で騎乗するジョッキーに対して制裁点が15点を超えて30点以下であった場合、または一度でも騎乗停止になった場合は、次年度分の短期免許が2か月に短縮される(ちなみに制裁点が30点を超えるか、2度以上の騎乗停止になった場合は翌年の短期免許は発行されない)。

 ただ、レーン騎手にとっては気になる要素かもしれないが、要はクリーンな騎乗を心掛ければ良いということ。騎乗に多少の影響はあったとしても、そこまで大きくないようにも思えるが……。

「レーン騎手が最も気を遣わなければならないのが、ムチの使用です。現在、JRAでは連続使用を10回までと定められていますが、レーン騎手はこの春、約2か月で3度も同じ警告を受けてしまいました。

本来、ムチの連続使用の違反の制裁点は1点なのですが、これを繰り返すと2点、3点と段々罰則が重くなっていきます。レーン騎手はすでに3回制裁を受けているので、次回は4点。現在の11点に加算されると15点に到達してしまうというわけです」(同)

 当然の話だが、大多数のゴール前ではギリギリの攻防を強いられるのが競馬だ。競走馬はもちろん、ジョッキーも出来ることはすべてやり尽くす意気込みで日々戦っている。ましてやG1などの大きなレースともなれば、なおさらだろう。

 今年のムチに関する制裁はすでに100件を超えており、レーン騎手に限らず、多くのジョッキーがムチの使用で制裁を受けるのは、残念ながら日常茶飯事と言わざるを得ない。

 ちなみに下記はこの春、レーン騎手の制裁点が11点に到達した6月12日以前と以降の成績だ。

6月12日まで 勝率0.188、連対率0.385、3着以内率0.490(96回騎乗)
6月12日以降 勝率0.192、連対率0.308、3着以内率0.308(26回騎乗)

 勝率こそ大きな違いはないものの、3着以内率に限っては約50%から30%まで下降。サンプル数こそ少ないが、ゴール前の接戦で“不安な要素”があったのかもしれない。

「そもそも今回のレーン騎手の来日は、来日予定だったC.スミヨン騎手が現地で2カ月間の騎乗停止になったために急遽決まったものです。

その一方で、この秋の競馬界は久々の外国人ジョッキーの“大開放”がトピックスになっていますが、あと1か月間(短期免許の)期間を残しているレーン騎手が呼ばれていなかったことに違和感がありました。個人的には制裁点が考慮された面も『あったのでは』と思っています」(同)

「この時期に乗れるのは嬉しいです。ジャパンCにはまだ乗ったことがありませんし、憧れのレースですからね」

 今回の日本参戦について、そう意気込みを語っているレーン騎手。果たして、この秋もこれまでのような活躍を見せることができるか。今週末のエリザベス女王杯を始め、チャンスのある馬との大レースが続くだけに、その手腕が注目される。

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