初日から「全開」R.ムーアにC.ルメール徹底抗戦! 驚異の粘りに調教師もヒヤリ
3年ぶりにおなじみの光景が戻ってきた……。2020年に新型コロナウイルスが蔓延して以来、外国人騎手の来日数は減少傾向だったが、この秋は5人の腕利きが短期免許を取得し日本で騎乗している。
すでに来日しているT.マーカンド騎手・H.ドイル騎手夫妻やC.デムーロ騎手に加え、今週からはR.ムーア騎手とD.レーン騎手も合流。土曜日の東京競馬場にはJRA所属のC.ルメール騎手、M.デムーロ騎手を含めた合計6人の外国人騎手が集結し、12レース中7レースで勝利するなど猛威を振るった。
そんな“外国人デー”で特に存在感を示したのが、ルメール騎手とムーア騎手だ。
「全開」R.ムーア騎手にC.ルメール騎手徹底抗戦!
3Rの2歳未勝利戦(芝2000m)で、ルメール騎手は1番人気のドゥレッツァに、ムーア騎手は3番人気のサトノグランツに騎乗。道中先行したのはサトノグランツで、ルメール騎手は同馬をぴったりマークする形で直線を迎える。
4角手前からムーア騎手の手は大きく動いており、ドゥレッツァが楽に交わすかと思えたが、約1馬身の差はなかなか詰まってこない。ゴール前でようやく併せ馬に持ち込むと、激しい叩き合いの末ドゥレッツァがクビ差先着。3着馬が4馬身以上も離れた完全なマッチレースだった。
「午前中の未勝利戦ですが、見応えのあるレースでしたね。ライバルの力量を正確に見極めてムーア騎手の馬をマークした上で、ゴール前きっちり差し切ったルメール騎手の騎乗は見事でした。
一方のムーア騎手も、前回ルメール騎手が乗って1番人気8着と人気を裏切ったサトノグランツに騎乗。早めに手が動いたように、自分から進んでいける感じはなかったですが、それでも持ち前の剛腕で僅差2着に持ってくるのだから流石ですね」(競馬記者)
勝ち馬のドゥレッツァを管理する尾関知人調教師も、キャロットクラブのホームページで「前を行くムーア騎手の手が早めに動いていたので大丈夫だろうと思っていましたが、さすがムーア騎手と思わせる走りを見せられました(苦笑)」とコメント。相手馬のジョッキーの手腕に肝を冷やされたようだ。
そんな2人の攻防戦は、早速第2ラウンドの鐘が鳴る。12Rに行われた3歳以上2勝クラス(芝1800m)で、ムーア騎手は1番人気のレヴァンジル、ルメール騎手は2番人気のレッドロワに跨った。
人気が逆転した今回はルメール騎手が前を行き、ムーア騎手が約2馬身差で追いかける形に。直線でレッドロワが先行馬を捉えようとする中、ラスト400mを切ったところでレヴァンジルが馬体を併せに行く。しばらくはレッドロワも内から抵抗したが、最後はレヴァンジルが完全に前に出て、1馬身1/4差でゴールした。
これでルメール騎手とムーア騎手の叩き合いは1勝1敗に。ルメール騎手が5Rの新馬戦で逃げ切り勝ちを決めれば、ムーア騎手も7Rを7馬身差の圧勝に導き、ともに2勝を挙げている。
1年ぶりの日本競馬でいきなり(2-2-1-2)と“エンジン全開”の活躍を見せたムーア騎手。年末まで続くG1シーズンでますますの活躍が期待されるが、JRA所属騎手としてリーディング5連覇中のルメール騎手の意地にも注目だ。
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