「天敵襲来」C.ルメールに焦り!? アルピニスタ引退で追い風も空回り
ライバル騎手への肘打ちで騎乗停止処分を受けた、C.スミヨン騎手の来日予定が白紙になるアクシデントもあったが、既に来日したC.デムーロ騎手、T.マーカンド騎手、H.ドイル騎手らは腕達者ぶりを見せている。
これに加え、今週末からはR.ムーア騎手とD.レーン騎手も短期免許で騎乗を始める。近年は、一時期ほど外国人騎手の姿を見られなくなっていたが、コロナ禍も落ち着いたことにより、以前のようにG1などの大舞台で活躍が見られそうだ。
世界を股に掛ける彼らの手腕が素晴らしいとはいえ、チャンスを手にする機会に恵まれていた中堅騎手や若手騎手にとって「天敵」の存在は死活問題ともなる。“鬼の居ぬ間”に成長を遂げた騎手たちも安穏とはしていられない。結果を残せなければ騎乗馬も奪われ、ローカル競馬で乗鞍の確保に苦心する可能性も十分に考えられる。
そしてこれはトップジョッキーにおいても例外ではない。
「天敵襲来」C.ルメール騎手に焦り!?
その1人である福永祐一騎手でさえ、天皇賞・秋(G1)のジオグリフも当初スミヨン騎手とのコンビを発表された経緯があっての騎乗だった。今週末のエリザベス女王杯(G1)にしても、主戦を任されていたアンドヴァラナウトやジェラルディーナがいながら、前者はムーア騎手、後者はC.デムーロ騎手とのコンビが決まっている。
ノーザンファームから絶大な信頼を置かれているC.ルメール騎手とて、決して他人事ではない。5年連続で守ってきた騎手リーディングも陥落寸前で、川田騎手の独走を許している状況である。
不調の目立った今年は昨年から続いた重賞29連敗も経験し、不名誉な連敗のストップに成功したのも5月のオークス(G1)という遅さ。それも勝ち馬のスターズオンアースは、川田将雅騎手が桜花賞馬に導いた相手であり、同馬の母パールコードへの想いを優先した川田騎手がアートハウスに騎乗したことで、棚ぼた的に回ってきたチャンスだった。
スタートで両脇の馬に接触する不利もあったとはいえ、牝馬三冠の懸かった秋華賞(G1)で1番人気に応えられなかったのは、現在のルメール騎手を象徴するような敗戦にも映った。
かつて毎年のようにリーディングを獲得していた武豊騎手の牙城が崩れたケースも、ケガによる不振で関係者の信頼を失ったことがきっかけといわれた。安泰に思えるルメール騎手でも結果が伴わなければ、馬質の低下を避けられない。折しもそんな名手の気になる噂が耳に入ってきた。
「当日の阪神にいながら菊花賞(G1)で騎乗馬のいなかったルメール騎手ですが、7Rの騎乗を終えると足早に帰って行きました。5Rの新馬戦に騎乗したときは『これが今日のメインレースです(笑)』なんて言っていましたが、大本命のサトノグランツで見せ場も無く8着に敗れていました。
また、今週行われるエリザベス女王杯も当初は騎乗馬がおらず、エージェントの豊沢信夫氏も苦労していたようです。ホウオウエミーズの陣営にも営業を掛けていたみたいですが、たまたま岩田康誠騎手の騎乗停止で鞍上が宙に浮いたイズジョーノキセキの確保に成功したお陰で“見学”という事態だけは免れました」(競馬記者)
騎乗馬の人気はともかくとして、レースに参加する以上は全馬にチャンスがある。それだけに平場の有力馬を数頭断ってでも、競馬の華といえるG1に乗りたいと考えるジョッキーは少なくないというのも分かる話だ。
記者の話によると現在のルメール騎手は、ジャパンC(G1)のことを非常に気にしている様子だったとのこと。何しろ今のところ、これといった騎乗馬がおらず、騎乗馬探しが難航している状況らしいのだ。
「3歳で天皇賞・秋を制したイクイノックスを何とか使えないかとオーナーサイドに懇願しているみたいですよ。同馬は現在ノーザンファーム天栄に放牧に出されていますが、もし使うとなれば今週中には厩舎に戻さないと調整が難しいでしょう。
この馬は体質の弱さなどから間隔を空けて使われていることもあり、水面下では有馬記念(G1)が有力視されていましたが、相手関係を考慮すると出走の可能性も出てきました。近いうちに最終的な判断が出されると思います」(同)
有馬記念を目標にした場合、タイトルホルダーやアスクビクターモア、エフフォーリアがライバルとなるため、天皇賞・秋で負かしたシャフリヤールやダノンベルーガ相手の方が、より勝算が高くなる。
もし来日が実現していれば、最大の難敵となるはずだったアルピニスタも、故障により引退が決まり、ルメール騎手にとって追い風となりそうだった。
しかし、イクイノックスを所有するシルク・ホースクラブは、次走が有馬記念で決定したことを発表。ルメール騎手の希望は叶わなかった。
いずれにしてもルメール騎手に焦りが窺えることは確か。この先も短期免許で来日する外国人騎手が増えることを考えると、今まで以上に存在感を発揮することが求められるだろう。
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