
アルピニスタ参戦に「過保護」が浮き彫り!? 否めない凱旋門賞コンプレックス
今秋最大ともいえる朗報が舞い込んだ。
アジア専門の海外競馬ウェブメディア『アジアン・レーシング・リポート』が8日に報じた内容によると、今年の凱旋門賞(仏G1)を制したアルピニスタ(牝5、英・M.プレスコット厩舎)のジャパンC(G1)参戦が濃厚らしいとのこと。順調なら17日に英国を出発し、ドイツのフランクフルトを経由。約28時間の輸送を経て、19日に日本に到着予定という。
来日が実現すれば、凱旋門賞馬のジャパンC参戦は2012年のソレミア(13着)以来以来10年ぶり9頭目の出走となる。3年前に国際レースながら外国馬の出走がゼロという危機的状況もあっただけに、超大物の参戦意向にJRAも胸を撫で下ろしたのではないか。
勿論、JRAも外国馬に敬遠されてきたジャパンCの現状に、手をこまねいていたわけではない。
今年のジャパンCには複数の海外陣営が参戦!?
一定期間他馬からの隔離や検査を要する検疫を、10月1日から東京競馬場でも行えるように改善した。さらには国際厩舎を新設したことにより、複数の施設を経由する必要もなくなり、昨年まで3億円の優勝賞金も今年になって1億円増額の4億円に、来年からさらに1億円上乗せして5億円とすることを発表している。
また、指定外国競走を優勝している外国馬がジャパンCに出走した場合は報奨金もあり、この中には凱旋門賞やドバイシーマクラシック(G1)も含まれている。
ちなみにアルピニスタが優勝すると300万ドル(約4億3500万円)、日本馬にも報奨金は交付されるため、シャフリヤールなら200万ドル(約2億9000万円)が、レース賞金に加えて交付される。こういったJRAの尽力もあってか、今年のジャパンCには、目玉となるアルピニスタ以外にも複数の陣営が参戦に名乗りを上げた。
今週末のエリザベス女王杯(G1)に出走を予定しているマジカルラグーンも「レース内容次第」の条件付きで参戦を視野に入れ、6日のバイエルン大賞(独G1)を10馬身差で圧勝したテュネス(牡3、独・P.シールゲン厩舎)も、参戦に前向きな意向であることを、独メディア『ガロップオンライン』が7日に報じたばかりだ。
それ以外にもシムカミル、グランドグローリー、オネストなどが参戦を表明しており、もしこのまま全馬が出走するようなら、まさにファンが望む国際レースに相応しい顔ぶれとなるだろう。
その一方で、近年稀に見る超豪華な外国馬が参戦に前向きなのに対し、これらを迎え撃つ日本馬の物足りなさも否めない。実績的にシャフリヤールが総大将を任されるものの、天皇賞・秋(G1)でイクイノックスから3馬身半も離された5着に完敗している。

同レースを優勝した3歳馬イクイノックスにしても、管理する木村哲也調教師は「ジャパンCや有馬記念をなんとか選択肢の中に入れられるようにやっていきたい」と及び腰。「次に行くのに時間のかかる馬」「変な状態で使うわけにはいかない」と慎重な言葉が並んだだけに最終的な決定は、まだ時間を要しそうだ。

また、今年の日本ダービー(G1)でイクイノックスを破ったドウデュースも、当初はフランス遠征からの復帰戦としてジャパンCの出走を予定していたが、19着に惨敗した凱旋門賞のダメージ回復に「もう少し時間が欲しい」と回避することになった。
こういった状況を踏まえると、外国馬のタフさと日本馬の過保護ぶりが、より顕著に浮き彫りとなったような印象も拭えない。
アルピニスタは凱旋門賞を優勝した上に、28時間の長時間輸送も辞さない覚悟で来日を決断し、テュネスにしても6日にドイツのG1で激走しながら、わずか3週後のジャパンCを視野に入れるタフさ、マジカルラグーンも出走するようなら中1週のG1連戦である。
このような強行軍は、次走への間隔を空けることの多い現在の日本競馬では、なかなか考えられないことである。
もはや別競技に例えられるほど、強靭な肉体と精神力を求められる凱旋門賞で日本馬が凡走を繰り返すコンプレックスの背景にも、こういった弱点と通ずるところがあるのかもしれない。
※ジャパンC出走を予定していたアルピニスタは、故障により参戦を見送り、このまま引退、繁殖入りすることが分かった。10日夜、『英レーシングポスト』が報じた。
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