テーオーケインズ「1強ムード」に違和感ありあり…チャンピオンズCのカギを握る各陣営の思惑
国際厩舎の創設や1着賞金の増額で話題になったジャパンC(G1)も終了し、今週末の中京競馬場では、中距離ダート王を決めるチャンピオンズC(G1)が行われる。
さて、そのチャンピオンズCだが今年は例年以上に混戦ムードが漂う。昨年優勝からの連覇を狙うテーオーケインズに断然の支持が集まりそうだが、勝つときは圧倒的な強さを見せる一方で、負けるときはあっけないタイプ。最終的な判断は直前まで状態を見極めてからする必要がありそうだ。
やはり各馬の仕上がりや陣営の本気度の見極めが重要なカギとなる。能力の拮抗するメンバー構成だけに枠や展開に当日の馬場状態でも着順は大きく変わってくるだろう。
というのも、先日のエリザベス女王杯(G1)が、まさにそれを象徴した結果に終わったからである。
好天で開催された土曜のメインレース・デイリー杯2歳S(G2)は、外からインに潜り込んで逃げたオールパルフェがまんまと逃げ切ったように、「内前有利」の馬場状態だったといえる。
ところがその翌日、昼前から大雨に見舞われた阪神の馬場は重まで悪化。その結果、エリザベス女王杯では8枠18番から外を回したジェラルディーナを始め、掲示板を二桁馬番が独占した。それも早めに抜け出した2着ウインマリリン以外は、すべて後方から外を差してきた馬だった。
つまり、わずか1日の違いで「外差し有利」へと変わっていたのだ。前日の前残りが印象に残っていたファンからすれば、一転して正反対の結末を迎えたことに「話が違う」と言いたくもなる結果である。
また2着に惜敗したウインマリリンについても、半信半疑の想いでレースを観ていたファンも少なくなかったかもしれない。
昨年も出走したエリザベス女王杯で3番人気の支持を集めた同馬だが、このときはまさかの16着に惨敗している。追い切りに騎乗した横山武史騎手から動きに対する不満の声も出ていたものの、手塚調教師は「調整は上手くいった」とコメント。だがレース後に横山武騎手は「本来のウインマリリンではありませんでした」と振り返った。
こういった伏線があったからこそ、今年のエリザベス女王杯で手塚調教師が「過去と比べて出来に関しては雲泥の差」と胸を張ったにもかかわらず、昨年の3番人気を下回る5番人気の評価に留まったとも考えられる。
また、ウインマリリンと同様なことを言えそうなのが、2番人気で14着に大敗したスタニングローズである。
主戦の坂井瑠星騎手が「残り800mぐらいから手応えがなくなって、最後は脚があがってしまいました」と振り返ったが、これまで掲示板(5着以内)を外したことがなかった堅実派が、いきなりの14着。父キングカメハメハ、母父クロフネといったパワータイプの血統からも、重馬場を苦にしただけとは考えにくい。
その一方で、「順調」「問題ない」「万全」といった見出しを掲載した新聞やメディアに振り回されたファンも少なからずいたはずだ。
何しろ他に情報源を持たないため、ファンにすれば表に出回っている情報を頼りにするしかないところだが、これが必ずしも真実ではないという側面もある。なぜならマスコミに掲載される情報には、オーナーへの配慮やリップサービスも多分に含まれるケースも存在するからだ。
信じたいのに信じ切れない……このジレンマから解放されるには、一体どうすればいいのだろうか。これはもはや競馬ファンにとって永遠のテーマともいうべき悩みといえる。
だが、現場の関係者と強い結びつきを持つ競馬情報のプロからすれば、エリザベス女王杯の波乱もある程度は予見できたという。
今回、話を聞くことが出来た『ワールド競馬web』の担当者から気になる裏事情を教えてもらえたため、この場を借りてその一部を紹介したい。
「ウインマリリンの取捨に関しては、皆様も非常に悩ましかったと思います。昨年の惨敗を覚えているファンからしたら、『もう騙されたくない』『今度こそ信じていいのか』というところだったでしょう。
ですが、本馬はクラブの規定で6歳春までの引退が決まっており、G1タイトルを獲るにはエリザベス女王杯が事実上のラストチャンスだった訳です。肘の状態がよくなかったこともあって昨年は凡走しましたが、状態の良かった今年は陣営のコメントにも自信が見え隠れしていました。苦手の長距離輸送も1週前から栗東に滞在することで対策を講じ、まさに悔いの残らない万全の状態。D.レーン騎手を確保していたことにも本気度が伝わりましたね。抜群の追い切りと馬体重を確認した結果、勝負気配とジャッジしました。
また、秋華賞馬スタニングローズの凡走には坂井騎手も首を傾げていましたが、秋華賞(G1)の激戦から中3週と間隔が詰まっていたためか、中間も控え気味の調整が目に付きました。最終追い切りも終いだけ伸ばす感じで現状維持といった感じ。この馬は紫苑S(G3)を使われて秋華賞が『メイチ』の仕上がりでしたから、秋3戦目でお釣りが残っていなかったというところですね。
2着同着のライラックについては、馬の状態は問題なかったですが、雨の影響で先行勢に厳しい展開となったことで、外枠と後方待機策がハマった感じです。こちらは秋華賞でM.デムーロ騎手が『前が残る馬場でうまく乗れなかった』と振り返った不完全燃焼でダメージも少なかったのが功を奏しました。二冠馬スターズオンアースを破った実績もある馬でしたし、弟のC.デムーロ騎手の来日で気合が入っていたようですよ」(ワールド競馬webの担当者)
勿論、ここでは上位に入った馬を主体に話を聞かせていただいたが、それも彼らがいかに小さな変化まで見逃さずに事細かく観察していたのかが伝わる内容だった。他にも興味深い話を聞くことも出来たが、印象に残ったのは現場から入手している情報の精度の高さだ。
そして何より大きいのは、現役時代に二冠馬サニーブライアンとのコンビで名を馳せた元騎手・大西直宏氏の存在である。他にも関係者と強い結びつきのある精鋭情報網を多数擁するワールド競馬webだが、やはり元騎手の目線が加わることは最大の武器。サイト内でコース別の攻略も解説してくれているように、レースに出走する各騎手の思惑や展開におけるシミュレーションも、当然ながら予想ファクターに組み込まれているという。
ここまでプロの実力を見せつけられると、我々のような一般のファンが、いかに漠然と競馬に向き合っているのかを痛感させられた。
そんなプロ集団である『ワールド競馬web』が週末のチャンピオンズCにおける【絞りに絞った厳選3頭】を特別に無料で公開してくるというのだから驚きだ。また、サイトに登録すると暮れの有馬記念(G1)やホープフルS(G1)などの注目馬情報まで毎週無料で公開してくれるという。
実際に登録してみたところ、サイトにメールアドレスを登録するだけの非常にシンプルな作業のみ。それも無料で教えてもらえるというのだから、このチャンスを逃しては勿体ない。
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