【チャンピオンズC(G1)展望】テーオーケインズ「不安要素」浮上で3歳馬に勝機?
いよいよ2022年も残り約1か月。12月4日に中京競馬場で開催されるのは秋のダート王を決めるチャンピオンズC(G1)だ。
最大の注目を集めるのは、連覇を狙うあの馬だろう。5歳にしてG1タイトルを3つ獲得しているテーオーケインズ(牡5歳、栗東・高柳大輔厩舎)である。G1・3勝のうちの1勝が1年前の当レースだった。
昨年は秋初戦のJBCクラシック(G1)で4着に敗れ、連勝が3で止まっての一戦。3.3倍の単勝オッズが示す通り、絶対的な存在ではなかった。それでも直線では1頭だけ異次元の脚色で抜け出すと、最後は2着チュウワウィザードに6馬身差をつけての圧勝。JRA最優秀ダートホースにも選出された。
その後は今年初戦のサウジC(G1)で8着、続く平安S(G3)は力の違いを見せつけ勝利したが、連覇を狙った帝王賞(G1)は4着と、G1未勝利で春競馬を終えた。
そして迎えた秋は昨年に続きJBCクラシックから始動。隙のない競馬で完勝を収めたこともあり、今年は圧倒的1番人気が予想されている。
登録メンバーを見渡しても、G1ウイナーは他に2頭だけ。テーオーケインズの連覇は濃厚にも思えるが、気になるのが昨春以降は2戦連続で好走していない点だ。G1初制覇を飾った昨年の帝王賞を起点に着順を振り返ると、1着→着外→1着→着外……。好走と凡走を交互に繰り返しており、この流れで行くと今回は凡走の番となる。
逆にテーオーケインズにとって不安材料はこれくらいしかないともいえるが……。
そんなテーオーケインズの連覇を止める筆頭候補がクラウンプライド(牡3歳、栗東・新谷功一厩舎)だ。
前走JBCクラシックですでに対戦しており、その時は2着に逃げ粘ったものの、テーオーケインズには2馬身半突き放された。一発逆転を狙うなら、前走とは違う形を試すほかなさそうだ。JBCクラシックではハナを切る作戦を取ったが、それまでは好位から抜け出す先行策でも結果を残していた。
3月のUAEダービー(G2)では好位の外目4~5番手から直線豪快に差し切っており、本来は末脚を生かす競馬もできるはず。5月に挑戦したケンタッキーダービー(G1)では13着に敗れたが、超ハイペースの中、4角先頭の積極的な競馬を見せており、海外の大舞台で培った経験を生かしたい。
テーオーケインズとクラウンプライドに続くのは、ダート転向4戦目のジュンライトボルト(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
デビューから長らく芝のマイル路線を歩んでいたが、この夏にダート路線に転向。ジュライS(L)でいきなり2着に好走すると、続くBSN賞(L)でダート初勝利を飾った。
そして迎えた前走のシリウスS(G3)は、レースの上がり3ハロン時計が38秒1という非常にタフな流れの中、7番手から直線力強く抜け出して重賞初勝利を挙げた。
芝ではやや安定感を欠く成績だったが、ダートに替わってからは3戦2勝、2着1回と崩れていない。芝では次々と大物を輩出する友道厩舎だが、これまでダートで活躍する馬はほとんどいなかった。ついにダートでも大物誕生となるか。
グロリアムンディ(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)も、ダートでは大崩れしていない。
この馬がダート路線にシフトしたのはちょうど1年前で、転向後は1勝クラスから怒涛の4連勝で名古屋城S(OP)を勝利すると、続くアンタレスS(G3)でも1番人気に支持された。しかし、オメガパフュームの後塵を拝し、ダートでの初黒星を喫してしまう。
その後は宝塚記念(G1)に挑戦するも12着に敗れ、今回が5か月ぶりの実戦。休み明けで状態は気になるところだが、ダートでは連対率100%を誇るだけに軽視は禁物だろう。
クラウンプライド以外にも3歳馬は2頭が参戦予定で、どちらも鞍上には大ベテランを配してきた。
武豊騎手とのコンビで臨むのは今年のジャパンダートダービー(G1)を制したノットゥルノ(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)である。
世代限定戦では安定した走りを披露していた同馬だが、古馬と初めて対戦した秋初戦の日本テレビ盃(G2)は、1秒6差の7着に大敗。音無調教師は休み明けを敗因に挙げていたが、左回りも影響したか。引き続き左回りでの一戦となるが、1度使われての変わり身を見せられれば上位に食い込んでもおかしくない。
今年1月のデビューから8戦目を迎えるハピ(牡3歳、栗東・大久保龍志厩舎)は、横山典弘騎手と3戦連続でコンビを組む。
デビュー3連勝後は重賞で4連敗中だが、いずれも上位争いは演じており、末脚は確実。3戦2勝の中京が舞台なら魅力は十分ある。
同じくコース巧者のオーヴェルニュ(牡6歳、栗東・西村真幸厩舎)も侮れない。重賞2勝をいずれも中京で挙げていて、今回は鞍上にC.ルメール騎手を配してきた。陣営からは「寒い時期は元気」というコメントも出ており、軽くは扱えない。
中央では1200mの距離しか走っていないシャマル(牡4歳、栗東・松下武士厩舎)も面白い1頭。近5走はいずれも地方で走り、距離不安を囁かれながらもその都度克服してきた。前走の南部杯(G1)も初めてのマイル戦だったが、僅差の3着に健闘。さらに1ハロン延長をこなすことはできるか。
この他には、みやこS(G3)で重賞2勝目を飾ったサンライズホープ(牡5歳、栗東・羽月友彦厩舎)、米G1覇者マルシュロレーヌを姉に持つバーデンヴァイラー(牡4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)、3年前の南部杯覇者サンライズノヴァ(牡8歳、栗東・音無秀孝厩舎)、末脚自慢のタガノビューティー(牡5歳、栗東・西園正都厩舎)なども上位をうかがう。
下馬評ではテーオーケインズの1強ムードだが、クラウンプライドを筆頭とした3歳馬の台頭も十分期待できそう。チャンピオンズCは12月4日の15時30分に発走予定となっている。
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