
JRA ゲート内で「大暴れ」→そのまま発走に疑問の声続々!? チャンピオンズC(G1)今秋絶好調コンビの大惨敗は「1年6ヶ月ぶり」中央出走も影響か

5日、中京競馬場で開催されたチャンピオンズC(G1)は、松山弘平騎手の1番人気テーオーケインズが優勝。先行集団から直線で早々に抜け出すと、前年のチャンピオンであるチュウワウィザードに6馬身の差をつける圧勝劇を演じた。
その一方、まさかの最下位に沈んだのが、昨年のジャパンダートダービー(G1)の勝ち馬であるダノンファラオ(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
鞍上は、この秋G1・2勝の横山武史騎手。管理トレーナーは先月コントレイルでジャパンC(G1)を制覇、またアメリカのブリーダーズCでも快挙を成し遂げた矢作調教師だ。今秋絶好調の2人がコンビを組んだダノンファラオは、12番人気とはいえ不気味な1頭と目されていた。
しかし、7枠14番ゲートに収まったダノンファラオは、しきりに首を振りチャカつく面をみせると、ついには立ち上がって尻もちを着くなど大暴れ。幸い横山武騎手はゲートに足をかけて落馬の難を逃れた。係員が集まり再び体勢を立て直したが、同馬は依然としてソワソワした状態の中、ゲートは開かれた。
一応、出遅れることなくスタートを切った人馬だが、いつもの先行力が見られず、後方13番手からの競馬に。向正面の1000m通過付近で最後方まで後退すると、直線では完全にフェードアウト……15着のサンライズホープから、さらに10馬身離れたシンガリで入線した。
「うーん、どうしてしまったのでしょうか。前半の5ハロン通過は61秒4のため、ついて行けなくなるような流れでもなかったと思うのですが。
発走直前にゲート内で暴れたことで馬がパニックになり、走れるような精神状態ではなかったのかもしれませんね。あるいは立ち上がって尻もちを着いた際に、脚をひねっていたなども考えられます。念のために馬体検査をしてもよかったかもしれません」(競馬誌ライター)
実際にレース後、SNSやネットの掲示板には、「あれは取り消しにするべきではないのか」「よく馬体検査せずに出走させたな」「ダノンファラオが怪我してないか心配」など、馬体検査をせずにそのまま出走させたことについて疑問の声が上がっていた。
同馬は一応完走を果たしたとはいえ、結果的には後味のよくないレースとなってしまったかもしれない。
なお、ダノンファラオがJRAのレースに出走したのは、昨年5月に行われた京都の鳳雛S(L)以来。ここ10戦はすべて地方の交流競走に使われていた。今回、約1年6ヶ月ぶりの中央出走となったことも、ゲート内でのアクシデントに影響を及ぼしたかもしれない。
というのも、地方ではゲートの裏で馬の尻尾を引っ張る“尾持ち”という行為が認められている。これは発馬に不安のある馬やクセのある馬を矯正して、スタートをスムーズに切らせるための補助行為だ。ダノンファラオも交流レースに出走する際は、ゲートでこの尾持ちをして臨んでいた。
だがこの尾持ち行為、JRAでは禁止されているのである。
矢作厩舎の安藤助手も14番枠が決まった際、「偶数でよかった。地方では尾持ちができるけど中央ではできない。枠内にいるのが短いのに越したことはない」とのコメントを、『日刊スポーツ』の取材に対して残している。尾持ちができないことが、結果的にスムーズなスタートに繋がらなかったのかもしれない。
ダノンファラオはレース後、枠内駐立不良で6日から26日まで出走停止。停止期間満了後に発走調教再審査が課せられた。中央では今後も苦戦が続くかもしれないが実績は十分。今後の巻き返しに期待したいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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