「単勝170.6倍」から名牝アドマイヤグルーヴに続く大物誕生の予感
10日、阪神競馬場で行われたエリカ賞(2歳1勝クラス)は、11番人気レミージュ(牝2、栗東・松永幹夫厩舎)が勝利する波乱の結果。3着にも9番人気のキミノナハマリアが激走し、3連単「269万馬券」が飛び出す大荒れとなった。
下馬評ではノーブルクライ、ドクタードリトル、バロッサヴァレー、マイネルエンペラーらがオッズで4強を形成。どれも前走の新馬戦を上がり最速で快勝した逸材ばかりで、いわゆる「堅い」レースと考えていたファンも多かったはずだ。
それでも、13頭立て芝2000mのレースで主導権を握ったのは、伏兵レミージュだった。鞍上を務めた荻野極騎手が「前めで主張して出していこうと思っていた」と振り返った通り、好スタートを決めてハナを奪うと、まんまとスローペースに落とし込む。
最後の直線に入っても、「長く持続した脚を使ってくれて、捕まる感じはなかった」と鞍上が話したように、一度はすぐ後ろまで迫ってきたキミノナハマリアを再び突き放す二枚腰を発揮。最後は外からドクタードリトルが急追するも、クビ差退けてゴールした。
「初白星となった前走の未勝利戦でも8番人気だっただけに今回もフロック視されていたかもしれませんが、終わってみれば低評価を嘲笑うような見事な逃げ切り勝ちでしたね。単勝170.6倍という大穴でしたが、出世した後にこの馬のエピソードとして語られることがあるかもしれません。
また、鞍上を務めた荻野極騎手もレミージュを所有するノースヒルズの代表・前田幸治オーナーのジャンダルムで大金星(スプリンターズS・G1)を挙げたコンビ。低評価であっても、何かやってくれそうな期待感があります」(競馬誌ライター)
ライターが話すように過去を振り返れば、レミージュがエリカ賞を勝利した価値は極めて大きい。
競馬ファンの間ではちょっとした出世レースとしても知られ、過去の勝ち馬の中にはアドマイヤベガ、クロフネ、キングカメハメハなどビッグネームが並ぶエリカ賞だが、特に牝馬が勝った際は、その後の重賞戦線でも活躍しているケースが目立つ。1984年のグレード制導入後、同レースを勝利した牝馬は6頭いるが、そのほとんどが重賞級以上の大物ばかりなのだ。
■牝馬によるエリカ賞勝ち馬(1984年以降)
ワコーチカコ 京都記念(G2)など重賞4勝
メイショウヤエガキ フラワーC(G3)2着
アドマイヤグルーヴ エリザベス女王杯(G1)連覇
アルスノヴァ エリカ賞後に屈腱炎で引退したオルフェーヴルの姉
ヴィルシーナ ヴィクトリアマイル(G1)連覇
エールヴォア フラワーC(G3)2着
レース後、鞍上の荻野極騎手に「上に行っても楽しみ」と期待を寄せられたレミージュ。牝馬においては「超」が付く出世レースを制しただけに、来年の牝馬クラシック候補として覚えておきたい1頭だ。
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