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西高東低に一石投じるのは、ブエナビスタ破ったあの男?関東の上昇厩舎に熱視線

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 12月1週目が終わり、今年の中央競馬の開催も残すところあと7日。いよいよ各部門におけるリーディング争いも大詰めを迎えている。

 4日終了時点、調教師部門の関西トップを走るのは矢作芳人厩舎だ。JRAのG1勝利こそないものの、パンサラッサで海外G1のドバイターフ(G1)を制覇。今週末の阪神JF(G1)でも、上位人気濃厚のラヴェルを送り込むなど、大舞台でも存在感は健在だ。

 一方、関東のトップはかつてオークス馬ヌーヴォレコルトを管理した斎藤誠調教師だ。これまで上位に入ることはあっても、関東の名門である藤沢和雄元調教師や国枝栄調教師の牙城を崩せずにいたが、今年は後半から常にトップを守り続ける安定ぶり。開業17年目にして初の関東リーディングが目前という状況である。

 ただ、関東トップといえば聞こえは良いものの、全国リーディングで見れば9位止まり。8位までは関西勢が独占しているだけに、どこか物足りない印象にも映る。

 年末を迎えてもなお、関東トップが全国トップ5にさえ入らないようなら、ここ20年では2013年以来2回目となるだけに、関東勢にとっては不本意な成績ともいえる。

 今年の結果を振り返っても、関西馬の1496勝に対し関東馬は1080勝とその差は400勝以上。重賞に限っても、関西馬が74勝で関東馬が37勝と実に2倍もの差がついており、西高東低の傾向は明らかだ。

関東の上昇厩舎に熱視線

 そんな状況に来年こそ歯止めをかけるべく、関東の若手ホープとして期待されるのが田中博康厩舎だ。

 まだ開業年目とキャリアは浅いものの、今年5月にはJRA通算100勝を達成した田中博師。36歳での達成は平成以降で最年少だったのだから、異例のスピード記録だ。勝利数で関東27位だった昨年に対し、今年は一気に5位へと躍進。リーディング上位の常連である堀宣行厩舎(6位)や手塚貴久厩舎(10位)を上回る好調ぶりである。

 また、特筆すべきはその勝率の高さだ。

 勝利数では5位だが、勝率ではイクイノックスを管理する木村哲也厩舎(18.1%)に次ぐ2位(16.3%)。過去には、昨年最高勝率を受賞した中内田充正厩舎で調教を手伝っていたこともあってか、師の姿を学んでいた部分がこの好成績に繋がっているのだろう。

 まだ重賞勝利こそないものの、毎日杯(G3)2着のベジャールやセントライト記念(G2)3着のローシャムパーク、武蔵野S(G3)2着のレモンポップなど多くの実力馬を管理。来年の重賞戦線でも楽しみな馬が多いだけに、厩舎の更なる飛躍にも期待は高まる。

 調教師になる前の騎手時代には、エリザベス女王杯(G1)で11番人気のクィーンスプマンテに騎乗し、名牝ブエナビスタを破る番狂わせを起こしたこともある田中博師。調教師界の西高東低の流れに、一石を投じるのはこの男かもしれない。

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