名コンビ・吉田隼人×ソダシは「なぜ」解散に至ったのか。D.レーン→川田将雅「勝利至上主義」に走った陣営の裏事情
「今までたくさんの白毛に乗せてもらいましたけど、明らかにまったく質の違う馬だなという印象でした」(川田将雅騎手)
例年以上にハイレベルなメンバーが集結したことで、戦前から大きな注目を集めてきた今年の安田記念(G1)。有力馬の様々なニュースが報じられる中、全国の競馬ファンを最も驚かせたのが、白毛の名優・ソダシ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)と川田将雅騎手の新コンビ結成ではないだろうか。
ソダシといえば、2020年7月のデビューからずっと吉田隼人騎手が主戦を務め、多くの苦楽を共にしてきた馬。しかし、前走のヴィクトリアマイル(G1)ではD.レーン騎手に乗り替わった経緯がある。
結果は惜しくも敗れたものの、勝ったソングラインとアタマ差の2着。ディフェンディングチャンピオンとしての貫禄は示した。その後、予定通り今回の安田記念に向かったソダシだが、レーン騎手がセリフォスに騎乗するため、再び乗り替わりを強いられることはヴィクトリアマイル前からわかっていたことだ。
新たな鞍上として、少なくないファンから吉田隼騎手の復帰を望む声が聞かれたが、新たに抜擢されたのは、昨年史上4人目の騎手大賞を受賞した“現役最強ジョッキー”の川田騎手。まさに鬼に金棒といった陣容だが、吉田隼騎手の心情を慮った一部のファンからは一連の乗り替わりに「冷酷」「応援したくない」といった声もあった。
そもそも一体何故、「今」になって吉田隼騎手は降板させられたのだろうか。
というのもソダシと吉田隼騎手は、これまで決して順風満帆な道を歩いてきたわけではない。例えば単勝1.9倍で8着に沈んだオークス(G1)、同オッズで10着に大敗した秋華賞(G1)など、結果を理由にジョッキーを替えるタイミングはいくらでもあったからだ。
ソダシと吉田隼騎手はそんな苦楽を乗り越えてきたコンビだからこそ、多くのファンの支持を得た。そして、そんな人々からすれば最後の引退まで「このコンビを見たい」というのも当然の心境だろう。
それが今更になって、トップジョッキーを起用して「勝利至上主義に走る意味があるのか」というわけだ。
「一部の報道でもありましたが、ソダシを担当している今浪隆利厩務員が今年の9月で定年を迎えます。7月からは有休消化に入られる関係もあって、ソダシのこの2戦(ヴィクトリアマイル・安田記念)が実質最後のG1になるそうです。
ここに来てソダシ陣営が、レーン騎手や川田騎手といったトップジョッキーを起用しているのも、より確実に勝ちたいからこそ。厩舎としても、長年貢献してくれたベテラン厩務員に最後のG1勝利というプレゼントを贈りたい気持ちが強いということです」
そんなソダシ陣営の“裏側”を伝えてくれたのは、『ホースメン会議』の関係者だ。東西大手スポーツ紙の重鎮だけでなく、皐月賞(G1)を勝った東信二元JRA騎手など、数多くの関係者を情報ルートとしているだけに、長年「業界一の事情通」として名を馳せてきた創業42年の老舗である。
須貝厩舎の今浪厩務員といえば、ソダシの他にも今や『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)などで大人気のゴールドシップなども手掛けた腕利き。今浪厩務員は「日本一有名な厩務員」と言っても過言ではない存在だ。
多大な貢献をしたスタッフの引退の花道を飾りたいという陣営の思いは理解できるが、純粋に勝利を目指すだけなら、ソダシを手の内に入れている吉田隼騎手の続投でもよかったのではないだろうか。確かにレーン騎手や川田騎手は世界レベルのトップジョッキーだが、吉田隼騎手も昨年のリーディングで9位とJRAで十指に入る腕利きであるはずだ。
先ほどの『ホースメン会議』の関係者にそういった旨を伝えると、この春の吉田隼騎手の主戦降板は「今浪厩務員の引退の絡みだけではない」という驚きの答えが返ってきた。
「昨年のマイルCS(G1)で3着に敗れたソダシですが、実は須貝調教師には当時の吉田隼騎手の騎乗にかなり不満があったそうです。
ソダシといえば、逃げというか前目から長く持続的な脚を使うことで数々のビッグレースを制してきた馬ですが、昨年以降は敗戦が重なったこともあって、じょじょに持ち前の積極性が失われていました。
吉田隼騎手からすれば、以前よりもう少し脚を溜める競馬を覚えさせたとも言えますが、それが正解かはさておいて、少なくとも須貝調教師の方針とは違ったようです。なので、今回の乗り替わりは、かなり早い段階で決まっていました」(ホースメン会議の関係者)
そもそも今回の乗り替わりは陣営サイドの発表ではなく、今年3月に海外メディアの『アジアンレーシングリポート』が須貝調教師に取材したことで明らかになるという異例の形で判明した。
これ1つを取っても、陣営に何かしら後ろめたい事情があった可能性がうかがえる。
実際にヴィクトリアマイル前の共同会見では、わざわざソダシ人形を持参して「絵になるでしょ?」と、ニコニコ顔で登場した須貝調教師だったが、昨年のマイルCSのことを聞かれると表情が一変。「ソダシの競馬をしていない」「もう少しソダシらしい競馬をしてほしかった」と厳しい言葉が並んでいる。レーン騎手に乗り替わることについての質問もあったが、結局会見の最後まで吉田隼騎手の名前が挙がることは一度もなかったという。
「須貝調教師は元ジョッキーの方ですからね。騎手の騎乗については経験者ならではの厳しい目を持っていますし、それが厩舎の成功にもつながっています。吉田隼騎手がスタイルチェンジを試みた昨秋のソダシで特に象徴的だったのが、2着に敗れた府中牝馬S(G2)のレースぶり。
早め早めの競馬で先に抜け出して後続を封じるのが、これまでのソダシの競馬でしたが、前から脚を溜めたこのレースでは、敗れたものの上がり3ハロン3位を記録。ソダシが上がり3ハロン上位3位以内に入ったのは、まだスタイルが確立されていなかったデビュー戦と2戦目以来。これだけを見ても、従来のソダシの走りでないことは明らかでした」(同関係者)
また、『ホースメン会議』の関係者曰く、府中牝馬Sについて「必勝を期していた」という。というのも、強豪牡馬をものともしないソダシであれば、普通なら前週に同舞台で争われる毎日王冠(G2)を使われるはずだった。
しかし、前走の札幌記念(G2)で敗れたことを受けて、陣営はあえて牝馬限定戦である府中牝馬Sを選択。単勝1.9倍の大本命に応えて本番に弾みをつける予定だったが、不本意な競馬で青写真が崩れたというわけだ。
「マイルCS後に吉田隼騎手が『途中から動いていくイメージ通りの競馬ができた』と語っていた通り、府中牝馬Sよりは積極的なレース運びだったと思いますが、それでも須貝調教師は納得できなかったそうです。ちなみにヴィクトリアマイルのレーン騎手の騎乗には『相手(勝ったソングライン)を褒めるしかない』と満足していたそうです」(同関係者)
今回の安田記念ではソダシとジャックドールが昨年の札幌記念以来の対戦となるが、これまでの話を聞く限り、あの時のように楽に逃がすことはなさそうだ。ライバルの鞍上は当時の藤岡佑介騎手から大阪杯(G1)を逃げ切った武豊騎手に替わっているが、リーディングジョッキーの川田騎手からの厳しいマークを受けることになるかもしれない。
せっかくなので、この辺りも『ホースメン会議』の関係者に聞いてみたいが、今週末の安田記念の結果に直結することもあって「この場では話せない」とのことだ。
残念ながら、ソダシVSジャックドールの行方は実際にレースを見るまでお預けということになったが、今なら『ホースメン会議』は【安田記念・プロの3点勝負】の買い目を閲覧するための無料メール配信を実施します。
なお、『ホースメン会議』は個人情報の入力や登録費、年会費といった諸経費はまったく掛からない。今回の【安田記念・プロの3点勝負】の閲覧も「無料」というから驚きだ。
いくらスターホースのソダシとはいえ、これだけ陣営の内情に入り組んだ情報を持っているのは、様々な競馬番組で活躍する能勢俊介氏が総監督を務め、数多くの関係者と協力体制にある『ホースメン会議』だからこそ。
ソダシ以外にも、今年の安田記念に出走する各馬の裏も表も知り尽くしているというのだから、【3点勝負】も十二分に期待できそうだ。
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