
【エルムS(G3)展望】砂上でオルフェーヴルの血が覚醒!? 重賞4勝オーソリティが復帰戦!

8月6日、札幌競馬場では北海道開催で唯一のダート重賞、エルムS(G3)が行われる。今年は芝で重賞を4勝している「あの馬」の復帰戦として注目が集まりそうだ。
3歳春の青葉賞(G2)を皮切りに、3~4歳時にアルゼンチン共和国杯(G2)を連覇、さらに昨年2月にはサウジアラビアのネオムターフC(G3)を制したオーソリティ(牡6歳、美浦・木村哲也厩舎)が、キャリア14戦目で初めてダートに矛先を向けてきた。
昨年はドバイシーマクラシック(G1)で3着に好走後、待望のG1制覇を懸けて宝塚記念(G1)に出走予定だったオーソリティ。ところが、馬場入場後に跛行を発症してしまい、無念の競走除外となっていた。
その後の検査で右第3中手骨を骨折していたことが判明。長期休養に入っていたが、久々の実戦を北の大地で迎えることになった。
芝では重賞4勝の実績を誇るが、ダート適性は未知数。ただし、父オルフェーヴルは古馬になってダートで能力を開花させる産駒が多いことはあまりにも有名だ。
今年のドバイワールドC(G1)を制したウシュバテソーロを筆頭に、マルシュロレーヌ、ギルデッドミラー、ショウナンナデシコなどがダートで覚醒。国内外問わず、砂の大舞台で本格化した馬も少なくない。
特にオーソリティは、母の父がダートの活躍馬も多いシンボリクリスエス。血統的にもいきなりダート重賞で好走しても何ら不思議はないだろう。
鞍上はコンビ通算「3-1-1-0」の成績を誇るC.ルメール騎手。タイムフライヤーとのコンビで制した3年前に続く当レース2度目の優勝を狙う。
そんなルメール騎手とオーソリティの最大のライバルとなりそうなのは、キングカメハメハ産駒のペプチドナイル(牡5歳、栗東・武英智厩舎)だ。
こちらはデビューから芝で2戦続けて凡走した後、ダートに転向。昨年の秋に3勝クラスを突破し、オープン入りを果たした。
オープン昇級後の3戦は、6着、4着、7着とやや苦戦していたが、2走前の大沼S(L)で富田暁騎手と4度目のコンビを組むと3馬身差で完勝。向正面でいったんハナを奪われる苦しい展開からオープン初勝利を挙げた。
続くマリーンS(OP)は、57.5kgのハンデを背負ったが、鞍上の藤岡佑介騎手がハナを奪って、そのまま押し切り勝ち。最後は2着馬に3馬身半差をつける快勝で、中1週のローテーションを克服している。
満を持して初めての重賞に挑戦するペプチドナイルだが、鞍上には大沼Sでコンビを組んだ7年目の富田騎手が再び起用された。富田騎手はこれまでJRAの重賞に46回挑戦し、22年のアイビスサマーダッシュ(G3)2着が最高着順。人馬ともに重賞初制覇のビッグチャンスを迎える。
ダート重賞のタイトルを2つ保持しているエスポワールシチー産駒のペイシャエス(牡4歳、美浦・小西一男厩舎)も侮れない。
昨年のユニコーンS(G3)で初タイトルを獲得すると、ジャパンダートダービー(G1)で2着に好走。秋には日本テレビ盃(G2)で4着、JBCクラシック(G1)でも3着と強豪古馬とも対等に渡り合う活躍を見せた。
2つ目のタイトルを獲得したのは昨年12月の名古屋グランプリ(G2)。先に抜け出したヴァンヤールをゴールまでハナの差で交わし、古馬相手に重賞勝利をマークした。
近走は2000m以上の長めの距離を使われているが、近2走は川崎記念(G1)で7着、ダイオライト記念(G2)で5着と、2戦続けて馬券圏外に消えている。今回は距離を一気に700m短縮しての一戦。これまで距離短縮時は「0-0-0-2」と結果は出ていないが、相性のいい菅原明良騎手と2戦ぶりのコンビで重賞3勝目を手に入れたい。
2歳時に兵庫ジュニアグランプリ(G2)を制覇したセキフウ(牡4歳、栗東・武幸四郎厩舎)は、その後もサウジダービー(G3)2着、ユニコーンS2着、さらに韓国で開催されたコリアC(G3)3着など国内外で上位争いに加わっている。
近2走は北海道に滞在し、大沼Sで2着、マリーンSで3着と安定感を発揮。今回は武豊騎手との初コンビでJRA重賞初勝利を狙いにきた。
池添謙一騎手との新コンビで臨むのは、昨年のレパードS(G3)を制したカフジオクタゴン(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。その後は勝利こそないが、白山大賞典(G3)と佐賀記念(G3)でともに3着に好走している。鞍上はメイショウトウコンとのコンビで制した2007年以来の当レース2勝目を狙う。
この他には、ムラはあるが嵌れば重賞でも通用する末脚を持つハセドン(牡4歳、栗東・安田翔伍厩舎)、前走アハルテケS(OP)でオープン特別初勝利を挙げたタイセイサムソン(牡5歳、美浦・奥村武厩舎)、今年初戦に園田で勝利を挙げると、中央に再転入後も勝利を重ね、目下4連勝中のワールドタキオン(牡5歳、美浦・斎藤誠厩舎)などにも注意が必要だ。
今年のエルムSはオーソリティがあっさり勝利を飾るのか、それともダート馬が意地を見せるのか。発走は8月6日の15時35分を予定している。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆