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2017.07.08 12:28
引退トーセンレーヴはなぜ種牡馬になれなかったのか? ディープインパクト最後の初年度産駒の軌跡を追う
編集部
7歳でのオープン連勝も見上げたものだが、陣営が次に目指したのはなんと年末の大一番・有馬記念。しかもただの出走ではなく、前走からの連闘である。もともと体質の弱いところのある馬だったため不安も囁かれたが、管理する池江泰寿調教師は「カイバも食べているし、歩様は問題なく、前走の反動もない。今年ここまで4戦で状態はフレッシュです」とあくまで前向きなコメントを出していた。
苦労して掴んだ生涯2度目となるG1の晴れ舞台。その年限りの引退が決定していたゴールドシップや本格化前のキタサンブラックなど強豪勢がひしめくなか、当然ながら人気はなく、出走馬16頭中14番人気と評価は低かった。
だがトーセンレーヴは人気以上に見せ場十分の走りを披露した。道中は無理せず最後方に構え、じっくりと脚を溜める競馬。2走前からパートナーを組んでいたボウマン騎手が事前に話していた通り、初の2500mながら折り合いは問題なく、抜群の手応えを保ったまま最後の直線へ。他の差し・追込勢が伸びあぐねるなか馬群を縫ってグイグイ進み、優勝馬ゴールドアクターからコンマ3秒差の6着。勝ち負けに絡んだとは言えないが、上がり最速の脚で先頭集団に迫る勇姿には確かに見どころがあった。
この3戦ですべてを出し尽くしてしまったのか、翌年以降は8戦して1度も馬券圏内に絡めず、今年のエプソムCを持って引退。通算成績は33戦8勝、生涯獲得賞金は2億1,491万3,000円に上る。
女傑ブエナビスタを筆頭にアドマイヤオーラ、アドマイヤジャパン、ジョワドヴィーヴル、サングレアルなど、兄弟に多くの重賞馬を持つ超良血馬だけに、種牡馬として第二の人生を送るかと思われたが、セカンドライフとして選ばれたのは乗馬の道。過去に心房細動を発症して何度かレースを回避した経歴から察するに、体質の弱さを懸念してこのような決断がなされたのかもしれない。
種牡馬になれなかったことは残念でもあるが、「無事是名馬」という言葉もある通り、9歳まで息の長い活躍を見せた彼の競走馬人生を、今は静かに讃えたい
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