その記録は「ギネス級」!? 函館記念に出走する「世界を股に掛ける名馬」ならぬ「世界に股を掛けられた迷馬」とは
今週末の函館記念(G3)には、世界を股に掛ける名馬……いや、「世界に股を掛けられた名馬」が出走する。
もうここまで述べれば熱心な競馬ファンなら気付いているだろうが、「世界に股を掛けられた名馬」とは、ここでトップハンデを背負わされたトーセンレーヴのことだ。
史上最強牝馬の一頭となる6冠馬ブエナビスタを筆頭に、数多くの重賞ウイナーを送り出した名牝ビワハイジと、日本競馬を牽引するディープインパクトとの間に産まれた傑作として、デビュー時からとてつもない期待を背負わされていたトーセンレーヴ。
だが2011年2月のデビューからここまで約5年間、今週の函館記念で28戦目を迎えるキャリアを積み上げてきたが、未だG1勝ちはおろか、重賞制覇はエプソムC(G3)だけという現状だ。
その苦悩に満ちた競走生活をありありと物語っているのが、ここまで乗せたジョッキーの数だ。デビューから28戦で実に16人もの騎手が跨っており、さらにその内13人が外国人騎手。まさに世界を股に掛ける名馬ならぬ「世界に股を掛けられた名馬」である。
ちなみにデビューから順に騎乗した騎手を並べるとU.リスポリ(イタリア)、C.ウィリアムズ(オーストラリア)、N.ピンナ(イタリア)、C.ルメール(フランス)、T.クウィリー(イギリス)、C.スミヨン(フランス)、W.ビュイック(イギリス)、A.シュタルケ(ドイツ)、武豊(日本)、藤岡佑介(日本)、P.ブドー(フランス)、Z.パートン(オーストラリア)、H.ボウマン(オーストラリア)、S.フォーリー(アイルランド)、武幸四郎(日本)、D.ホワイト(香港)となる(国名は所属国。ルメールは当時の所属)。
このまま「上記が8月のワールドオールスタージョッキーズに出場する騎手です」と述べても、特に違和感のない9カ国から集った超豪華メンバーだ。
エージェントの介入により人間事情が希薄になり、騎手がころころ替わる馬は珍しくなくなったが、ここまで国際色豊かな馬はさすがにいない。ギネスに申請すれば通るかもしれないレベルだ。トーセンレーヴは、まさに『一人ワールドスーパージョッキーズシリーズ』(こちらに出場した騎手が多いので、あえて古い呼び名を使ってみた)である。
だが、裏を返せばトーセンレーヴのキャリアは、騎手起用だけを見ても「迷走」そのものと述べても過言ではないだろう。
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