「意識しないといったら嘘になる」武豊の記録更新狙うも大敗…かつての大型新人・三浦皇成が13年間の「絶縁」を経て名門とメイン初勝利
「他馬に乗りかかって来られて、バランスを崩してしまいました」
時は遡ること2009年。10月に開催されたスプリンターズS(G1)のレース後、そうコメントを残したのがキンシャサノキセキに騎乗していた三浦皇成騎手である。
2008年に競馬学校24期生としてデビューした同騎手。デビュー当日の特別戦でJRA初勝利をやってのけると、その5ヶ月後には重賞も勝利。最終的には年間91勝を挙げて、武豊騎手が持っていた新人最多勝利記録を更新した。
そんな大型新人だった三浦騎手は翌09年、当時の関東で頭角を現していた堀宣行厩舎の主戦騎手の一人となる。秋のG1シリーズ開幕戦となるスプリンターズSで依頼を受けたのがキンシャサノキセキだった。
同馬は前年のスプリンターズSで2着に好走していた有力馬の1頭。デビュー2年目の三浦騎手は武豊騎手が持つ最年少G1勝利記録、さらに江田照男騎手が保持するデビュー最速G1勝利の記録更新がかかった一戦となる。三浦騎手自身も「それを意識しないといったら嘘になる」と戦前から気合を込めていた。
しかし、レースでは4番人気の支持を受けたものの、冒頭のコメント通り3コーナーで他馬に乗りかかられる不利を受けてしまい、期待を大きく下回る12着に敗れている。
「キンシャサノキセキはその後、C.スミヨン騎手に乗り替わりスワンS(G2)を勝利すると、破竹の4連勝で翌年の高松宮記念(G1)を制覇。翌々年も連覇を果たすと種牡馬入りしたことは周知の通りです。
三浦騎手とキンシャサノキセキのコンビは、後にも先にも09年スプリンターズSの1回きりでした」(競馬記者)
堀宣行厩舎からの依頼が13年間途絶える…
また、2009年には52回もの騎乗依頼があるなど蜜月な関係だった三浦騎手と堀厩舎も、年が明けて2010年になるとコンビがピタリと途絶えた。絶縁状態ともいえる期間は、そこから実に13年間にも及んだ。
しかし、三浦騎手は昨年1月の節分S(3勝クラス)に出走した堀厩舎のルーカスに騎乗し、ついに雪解けを果たす。単勝67.2倍の人気薄だったものの、後に重賞ウイナーとなるレッドモンレーヴから1馬身半差の2着に導いた。同年8月にはホウキボシで1着となり、堀厩舎とのタッグでは2009年11月以来となる白星を飾った。
そして16日、三浦騎手は東京3Rの未勝利でオオタニサーンを初勝利に導くと、11RのスレイプニルS(OP)ではメイプルリッジにオープン初勝利をもたらすなど、堀厩舎の管理馬で2戦2勝の好成績。なお同コンビは、これがメインレース初勝利となった。
「条件的にも落とせないレースだと思っていた」とスレイプニルSの後、力強くレースを振り返っていた三浦騎手。止まっていた名門との時間を、ここから一気に取り戻してくれることに期待したい。
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