【安田記念】「G1未勝利」ジョッキーに初戴冠のチャンス!ジャスタウェイをあと一歩まで追い詰めた激戦から10年、「元超大物ルーキー」は津村明秀に続けるか
春のマイル王者決定戦、安田記念(G1)が今週末行われる。
連覇を成し遂げた昨年の覇者ソングラインがターフを去り、絶対王者が不在の中行われる今回、G1・7勝している香港のロマンチックウォリアーが参戦を表明したことは大きな注目を集めた。香港最強馬を迎え撃つ日本のトップマイラーたちはどう立ち向かうか。
そんな今年の安田記念だが、密かに一発を期待したい騎手がいる。それがデビュー17年目の三浦皇成騎手だ。
三浦騎手はG1・3勝馬エフフォーリアを管理していたことで有名な美浦・鹿戸雄一厩舎所属の騎手である。2008年3月1日にデビューし、同日に初勝利。5ヶ月後の8月10日にはフィフスペトルに騎乗した函館2歳S(G3)で重賞初制覇。また10月25日には武豊騎手の新人年間最多勝利記録「69勝」をも更新。競馬界の第一人者である武豊の記録を塗り替えた超大型ルーキーだけにG1制覇は時間の問題という声も聞かれた。
しかし現実はそう甘くはなかった。デビュー翌年以降もほぼ毎年のペースで重賞を取り勝利数を重ねるもG1には届かない。結果、現在に至るまでに重賞25勝、JRA1000勝を達成したものの、G1では2着2回、3着7回と未勝利が続いている。
善戦はしても1着に縁がない三浦騎手であるが、勝利に最も近づいた瞬間が、グランプリボスとコンビを組んだ2014年の安田記念だ。
その年の1番人気は、ドバイデューティーフリー(G1・現ドバイターフ)で世界レーティング1位に輝いたジャスタウェイ。主戦の福永祐一騎手(現調教師)が騎乗停止で乗れなくなり、代打として柴田善臣騎手が手綱を取った大本命馬は単勝1.7倍の断然人気に支持された。これに対し、三浦騎手のグランプリボスは単勝148.4倍、出走した17頭中16番人気という超大穴だった。
だが、レースでは抜け出したジャスタウェイ目掛けて鋭い末脚を伸ばし、一時は単独先頭に躍り出るシーンもあった。そのまま押し切るかに見えたものの、底力で優る世界最強馬が差し返したところでゴール。大本命馬とブービー人気の熾烈な叩き合いは、ハナ差でジャスタウェイに軍配が上がり、三浦騎手は悲願のG1まであとわずかという惜敗だった。
無我夢中で追ったこともあり、ゴール前でジャスタウェイの柴田善騎手にエルボーを食らわしているかのように映ったことで物議を醸すこともあったが、こちらについては柴田善騎手に謝罪したという。それほど両者が必死でぶつかり合ったということだろう。
「G1未勝利」三浦皇成ジョッキーに初戴冠のチャンス!
そろそろJRA・G1未勝利に終止符を打ちたい三浦騎手は、今年の安田記念でウインカーネリアン(牡7歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)に騎乗する。
パートナーは昨年の東京新聞杯(G3)でナミュールを下して優勝、今年も2着に入ったように左回りのマイル戦を滅法得意としているだけに、同舞台の安田記念は願ってもない条件が揃った。
また今週末は天候が崩れる予報も出ており、切れる脚をもつライバルの末脚が鈍る可能性もある。こちらについては稍重で行われた2年前の関屋記念(G3)を勝利し、前走の高松宮記念(G1)も重馬場で4着に善戦しただけに適性は証明済みだ。
先日は三浦騎手と同じく関東所属の津村明秀騎手が、先日のヴィクトリアマイル(G1)でG1初勝利を挙げたばかり。そろそろ悲願達成の瞬間が訪れても不思議ではないはずだ。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
【安田記念】セリフォス、シュネルマイスターですら届かなかった頂点!意外と知られていない3歳馬の快挙…名トレーナーが残した偉大な爪痕【競馬クロニクル 第58回】
【安田記念】「11年ぶり珍記録」は武豊に追い風となるか? 法則続けば8人が消える優勝候補…巻き返し期すナミュールのリベンジに期待
【安田記念】マイル王国ダノン軍団の激走パターンで急浮上!福永祐一厩舎のダノンスコーピオンにチャンスあり、日本ダービーのダノンデサイルに続くか!?
【安田記念】「香港最強マイラー」破った実力に疑いなし!ロマンチックウォリアーより勝負度合いは断然上?「2頭出しは人気薄を狙え」に妙味あり
【安田記念】勝負師としての「イデオロギー」とは何か?キャプテン渡辺の考える勝負に出るときの「大事な心構え」とは【徒然なる神のくず競馬トーク】