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岩田望来「61度目」で強運手繰り寄せた初G1勝利…団野大成、菅原明良ら同期とのギャップで問われた本当の実力

岩田望来騎手 撮影:Ruriko.I
岩田望来騎手 撮影:Ruriko.I

 先週8日に行われた阪神ジュベナイルF(G1)は、最後の直線を外から上がり最速の脚で差し切った5番人気アルマヴェローチェ(牝2、栗東・上村洋行厩舎)が優勝。本馬を管理する上村調教師は、大阪杯(G1)のベラジオペラに続くG1・2勝目を手に入れ、手綱を取った岩田望来騎手は嬉しい初優勝となった。

「ずっと悔しい思いをしてきたので、やっとここでG1を勝ててうれしいです」

 デビュー6年目、そして61度目の挑戦にして初の殊勲に鞍上も喜びを隠せない。振り返れば、初重賞勝利までに97連敗を喫したほろ苦い経験もあった中、60連敗でストップしただけに胸を撫で下ろしたのではないか。

「61度目」で強運手繰り寄せた初G1勝利

 花の35期生と呼ばれる同期には最初にG1勝ちを決めた団野大成騎手、今年の宝塚記念(G1)を勝利した菅原明良騎手、新人賞を取った斎藤新騎手など、注目の若手が揃っている実力伯仲の世代だ。そのライバルたちよりも全国リーディングで上にいる岩田望騎手に寄せられる期待も大きかった。

 ただ、あえて厳しいことに触れるならば、今回の勝利が2歳限定のG1であること、お手馬ではなくタナボタ的に巡ってきたチャンスだったことだろう。

 というのもアルマヴェローチェは、デビューからの2戦で横山武史騎手とコンビを組んでおり、流れ的にも横山武騎手の継続騎乗があってもおかしくなかったからだ。

 そうならなかった背景には、同騎手が近走で手綱を任されているジオグリフやソールオリエンスに香港国際競走を視野に入れる動きがあったからかもしれない。結局のところ、2頭とも出走することなく横山武騎手は同日の裏開催となる中山で騎乗をしていた。乗れなかったパートナーのG1勝利に胸中複雑だったはずである。

 もちろん、陣営も岩田望騎手の手腕に期待しての騎乗依頼、それに応えて見せたことも素晴らしい。

 これに対し、団野騎手は12番人気の大穴ファストフォースで高松宮記念(G1)を勝っただけでなく、2勝目を挙げたマイルCS(G1)のソウルラッシュも名手J.モレイラ騎手と比較される状況をバネにしてつかんだ勝利。菅原騎手にしても一時は岩田康誠騎手のお手馬となったブローザホーンを自らの手綱で導き、ドウデュース一色だった宝塚記念で大金星を手に入れている。そういう意味でも岩田望騎手の勝利は、強運をモノにしたという印象の方が強い。

「園田で結果を残して中央に移籍した父と違い、望来騎手は最初から中央デビュー。エージェントも関西の重鎮と契約しており、所属も関西の名門・藤原英昭厩舎とエリート街道。他の同期騎手に比して比較的恵まれた環境だったことは確かです。

そういった環境や僅かな慢心も初重賞勝ちまで時間を要した一因だったかもしれませんが、不穏な噂も囁かれたフリー転向後でもコンスタントに活躍しているのは、自身の切磋琢磨の賜物なのでしょう。とはいえ、降って湧いたような今回の勝利からの2勝目を、できるだけ早いタイミングで上げたいですね」(競馬記者)

 G1で華々しい活躍を見せた父の背中を負って入った競馬の世界。やはり目標はリーディングジョッキーだ。名実ともに納得してもらえる勝利を上げるためにも、次回は自身がコンビを組み続けているお手馬で結果を残したいところだ。

黒井零

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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