ブエナビスタと激戦、秋華賞馬レッドディザイア死す……挑戦を続けた馬生と、残された「3つの希望」
2009年の秋華賞を制するなど重賞を2勝したレッドディザイアが、出産後の腹膜炎発症のため死亡した。繫殖牝馬としての活躍が期待されていただけに、関係者もファンも大きなショックを受けている様子だ。社台ファームの池田充氏は「繁殖牝馬として、いよいよこれからと思っていただけに、残念でなりません」とコメントした。
レッドディザイアといえば、09年の牝馬クラシックで、後に牡馬も含めた古馬の総大将として活躍するブエナビスタとの激闘が最初に上がるところだろう。桜花賞は理想的な展開に持ち込みながら、ブエナビスタの目の覚めるような末脚に屈して2着。オークスでもその操縦性の高さを存分に示して抜け出すが、ここでもブエナビスタの神がかり的な追い込みにハナ差で屈した。
G1未勝利で迎えた秋、3歳牝馬G1歳後の秋華賞で、レッドディザイアはライバル・ブエナビスタをついに退ける。中段から早めに抜け出すというこれまでと同じ自身のレースを披露し、同じくそ後ろから追いすがるブエナビスタを今度はハナ差で交わして悲願のG1勝利を達成(ブエナビスタは斜行による3着降着)。ブエナビスタとの接戦に次ぐ接戦は、多くのファンを熱くさせた物語として有名だ。
その後も3歳牝馬ながらジャパンカップ3着、翌年はドバイ遠征を敢行し、ドバイワールドカップの前哨戦であるマクトゥームCR3を勝利するなど、常にスケールの大きさを示してきた。その後は調子を崩し勝利から見放されたが、アメリカ遠征でも上位をうかがうなど高いポテンシャルは示し続けていた。そして、2011年に引退。
繫殖牝馬としては、初年度産駒であるレッドディヴェルが昨年デビューしたものの、今年3月、未勝利を抜け出せないまま骨折により安楽死処分となってしまった。その2カ月後、母馬も命を落としたことにネット上では「悲しすぎる」「ブエナビスタも泣いてるよ」「本当に残念」と悲嘆にくれるコメントが相次いだ。
牝馬クラシックでブエナビスタの手綱を取った安藤勝己元騎手も、「ブエナビスタとのクラシックは、あの馬の存在なくして語れない。四位クンとはヒリヒリするような駆け引きで、レースが終わる度に、センスがあるコンビと称賛した。乗ったことないのに、凄く印象深い馬」と追悼のコメントを残している。多くの人にとって、レッドディザイアはその印象を深く残していたのだ。
現在、レッドディザイアの血を受け継いだ仔は3頭。今年デビューするビッグディザイア、後に続く2頭の活躍を祈りたい。安らかに。
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