「アノ瞬間」をボクは忘れない……パチスロ漫遊記の中で得たサラリーマン勝負師の「喜び」とは!?

GOD降臨

　スロットの収支を安定させるには、店側の設定配置を読む事が必要不可欠だ。

　高設定を掴めば勝利の期待が高まる事は当然だが、仕事帰りの少ない時間に立ち回る事が多いサラリーマンに、高設定を掴める可能性は『0』に近いと言わざるを得ない。

　だからこそ休日の立ち回りは極めて重要となる訳だが……前回お話させて頂いたように私、漢・ロベルト竜馬の信念は『ヒキが強ければ勝てる』のただ一点となる為、休日も『高設定を掴む為の立ち回り』を実行するつもりは毛頭ないのだ。

　やはり『ヒキ』さえあれば勝てるという信念を貫き通したい。

　確率論を無視し『ヒキ』だけで勝った時の快感を味わいたいという”エゴ”を私は捨てる事ができない。

　しかし、それは『ヒキ』が炸裂しなければ散々な目に合うという事を意味しており……GODも引けず当たっても単発と、多くの人間が”ミリゴ”を敬遠する最悪の展開が続いた。

　早く当たってくれれば単発でも構わないが、コイン持ちの悪い”ミリゴ”でハマれば凄まじい勢いで投資はかさむ……大量投資後の単発は本当に心が折られるものだ。

　流れの悪い時は何をやっても上手くいかないもので、軽めの台を打とうがパチンコを打とうがパっとしない結果に終わるという地獄絵図。

　勿論プラスで終わった日もあるが、私の信じる『ヒキ』が炸裂したとは言えないショボイ実戦は、苦い記憶として私の脳裏に刻まれた。

　結果が安定せず苦しんだ日々……その中でも『あの日の実戦』だけは忘れる事ができない。

　今回は自らの『ヒキ』に翻弄され苦しみに苦しみ抜いた1ヶ月の実戦における、とっておきの奮闘記をご紹介したい。

　基本的に私は連れ打ちを好む男であり、休日であれば確実に誰かとホールへ向かうのだが、その日は【シロ】と呼ばれる友人を相棒に選んだ。

　彼は勝ち負けよりも芸術的なリーチ目の出現に興奮を覚えるタイプで、私と同じく『高設定を掴む為の立ち回り』というものを実行するつもりがない。

　スロット歴は私より古くボーナスでコインを増やすＡタイプを愛する男で、主戦は≪HANABI≫なのだが設定無視の勝負を挑み続けているらしく、その日は連敗脱出へ向け気合十分だった。

「奴と一緒に手堅く≪HANABI≫を打つか」一瞬そのような考えも頭をよぎったが、自分の中では「いい加減GODを引ける」という根拠のない自信があった為、結局≪アナザーゴッドハーデス～奪われたZEUSver.～≫に座る事にした。

“ミリゴ”シリーズの中ではコイン持ちが良くリセット時は朝一、即前兆スタート（奇数テンパイが出やすい）、そうでなくとも毎ゲームAT抽選が行われる『HELL ZONE（ヘルゾーン）』前兆は、宵越しゲーム数で発動されるので朝から打つのであれば狙い易い。

　しかしリセットの挙動も感じられず『HELL ZONE（ヘルゾーン）』を宵越しで狙えそうな回転数でもない。

　何台か打ったが全て同じような挙動……「ここは素直にヒキ勝負」と、標的を1台に絞りレバーを叩き続けたのだが、何事もないまま170を経過し「今日もダメか」と弱気な考えが生まれ始めていた。

　しかし諦めかけたときに起こる幸運を人は『奇跡』と呼ぶ。≪HANABI≫でさっぱりだった【シロ】が、半分ふてくされながら私の様子を見に来た瞬間だった。

～バリ！～

　画面には激しい亀裂が！「うぁぁ～！きたぁぁぁぁ！！」突如として現れた激アツ演出に、我々は思わず声を張り上げた……出現率「1/21845」全回転フリーズ発動という幸運の瞬間が訪れたのだ。

全回転フリーズ

　全回転フリーズは発生した時点で【紫7揃い or 冥王揃い or GOD揃い】が確定するプレミアム演出。

　ただGOD揃い以外が選択されればショボイ結果になる事も多々あり……何が選択されるか決定するまで両手を挙げて喜べる訳ではないのだが、運気が低迷していた私を興奮させるには十分であった。

「やはりお前と来てよかったよ」と私が口にしたのも当然だろう。【シロ】と連れ打ちする際はGOD降臨の確率が高い傾向にある為、運気復活のきっかけを掴むべく彼を誘った部分は大きいのだ。

　割合は1：1：1。

　あとはGOD揃いをしてくれれば最高だったのだが……揃った図柄は『5で冥王揃い』と願いは届かなかった。

　冥王揃いは100G以上の上乗せが確定で、次ゲームのレバーオン時にリールが逆回転すれば0G連のコンボフリーズが発生する。

　獲得ゲーム数は平均300Gとかなり強力なのだが、上手く活かせず最低の100Gで終わる事など日常茶飯事と言えるだろう。

　正直「勝ち」を意識できる程の結果ではなかったと言わざるを得ないのだが……この冥王(ハーデス)揃いが”奇跡”を引き起こす！

　コンボフリーズ時に発生する心臓演出が出現した際、「頼む！まわれ！」と必死に祈っていた事は言うまでもない。

　心臓演出の期待度は1段階目で50%・2段階目で80%となっており、2段階目まで行けばもらったも当然……今回も2段階目まで到達しコンボフリーズが無事に決まり、最低の100Gというショボイ結果を免れる事ができた。

　ただ勝負はココから。0G連を続けられなければ大量上乗せは達成されない訳だが……。

　デーン！デンデーーン！

「おっ終わらない！」本番はココからだった。

超ハーデス600乗せ

　3回継続成功で+300G、さらに続いて+100G……「おいコレって！」と友人の【シロ】が声を上げるのも当然だろう。

　何と継続率80％か90％と言われる、激アツの『超ハーデス』を引き当てた事が確定したのだ！！不本意な実戦が続いていた日々に、ようやく終止符を打てる事を私は確信した。

　合計『600G』の上乗せに成功！”ハーデス”は純増枚数2.9枚なので、約1800枚の獲得が期待できる……4桁の大台には届かなかったものの、その日の勝ちを確信できる十分な展開だ。

　残りゲーム数がタップリある”ハーデス”を打つのは、この上ない至福。

「できればGODを降臨させたかった」という贅沢な考えを持っていたのも事実であるが……十分満足で、むしろ上出来である。

　ただ最大の歓喜はＡＴ消化中に訪れた……冒頭で『あの日の実戦だけは忘れる事ができない』と記した本当の意味は”出来すぎ”と言わざるを得ない奇跡を体感したからなのだ。

　AT消化中に違和感が……「ん？いま先走ったよな？」”遅れ”であればＧОＤ揃いの可能性がある事は有名だが、めったに体感できない”先走り”に戸惑った瞬間だった。

～バリ！～

　画面には激しい亀裂……私が固まるのも当然、何と！出現率「1/21845」全回転フリーズが再び発動したのだ！！

　あり得ない展開に呆然、激しい興奮が心臓を凝結させる……そのように表現しても大げさではないだろう。

　明けない夜がないように、止まない雨がないように、止まらない連敗などない……あまりにも気持ちが高ぶって、涙がこぼれそうになる程の感動を味わえた劇的な瞬間であった。

　2度目のハーデスはさすがに【超ハーデス】とはいかず、上乗せ1回のみで200Gというショボイ結果に終わったが、収支は大幅プラスで久々の快勝。

　何よりも全回転フリーズを2回も引けた事により、自らの『ヒキ』が戻ってきた事を確信できた点が何よりも嬉しかった。

　スロットで味わった歓喜、悔しさは酒にぶつけるのが我々の流儀。

　その日は『全回転フリーズ2連発』の感動話に大半の時間が費やされると思っていたのだが、以外にも私の快進撃の裏で完敗した【シロ】の実戦も十分に酒の肴になるものであった。

　実は【シロ】も≪HANABI≫でレア体験を堪能しており……その日の飲みは話題に事欠かない有意義なものとなったのだ。

　我々の飲みを大いに盛り上げてくれた【シロ】の経験談については、次回以降に予定している『HANABIの回』で紹介する事としよう。
（協力＝ロベルト竜馬）