GJ > 競馬ニュース > マツリダゴッホは「狂気の天才」?
NEW

「時代遅れの血筋」に「日本で勝ち切れない欧州種牡馬」を次々と覚醒させるマツリダゴッホは、やはり「狂気の天才芸術家」なのか……競馬界の鬼才がサラブレッド生産の常識を覆す

【この記事のキーワード】, ,
maturidagohho.jpgマツリダゴッホ(JBISサーチ公式サイトより)

 現役時代から9番人気で有馬記念(G1)を制したように、それまでどれだけ惨敗が続いていても中山に帰ってくれば、水を得た魚のように激走したマツリダゴッホ。その理屈を超えた問答無用の激走ぶりは、数ある個性派サラブレッドの中でも異端の存在だったといえる。

 そして、マツリダゴッホは種牡馬としても常識では測れないオリジナルの「爆発力」を持った存在なのかもしれない。

『史上最強世代』といわれる今年の3歳馬。圧倒的なパフォーマンスを発揮している活躍馬には、当然ながらキラ星の如く「超」が付くほどの良血馬が揃っている。だが、その中でも群を抜いて”地味メン”なのは、母が地方馬のマツリダゴッホ産駒ロードクエストだろう。

 しかし、先週24日に函館で行なわれた松前特別(1000万下)を勝ち上がったカルヴァリオもまた、血統の地味さ加減ではロードクエストに負けていない。

 カルヴァリオもまたロードクエストと同じマツリダゴッホを父に持ち、条件馬だった母方の血筋には三冠馬シンザンの血を引くミホシンザンや、テスコボーイを経由しないプリンスリーギフトの血を持ったファバージなど、まさに昭和の競馬を支えた古い、言葉を選ばなければ「時代遅れ」の種牡馬が並んでいる。

 ディープインパクトを中心としたサンデーサイレンス系や、キングカメハメハ率いるミスプロ系など、次々と新しく勢いを持った血が古く弱った血を”上書き”していくサラブレッドの世界で、カルヴァリオの母方の血は間違いなく「淘汰される存在」と言わざるを得ない。

 しかし、カルヴァリオの走りは、そんな古き血の逆襲さえも予感させる力強いものだった。

 先週の松前特別の4コーナーでは、完全に一頭だけ抜けた手応えだったカルヴァリオ。それは先頭で直線に向いた時点で「勝負あり」と述べても良かったほど、他馬を圧倒する勢いだった。

 最終的な着差こそ1・1/4馬身差だったが、これは2着馬のミッキーロケットが強いためだ。

 カルヴァリオと同世代のミッキーロケットは、デビュー戦で後のアーリントンC(G3)3着馬ロワアブソリューに負けたものの、フラワーC(G3)を勝つエンジェルフェイスに先着するほどの実力馬。

 さらに今春の条件戦で先着を許したのは、後に皐月賞トライアルの若葉S(OP)で後続を8馬身ぶっちぎるマッチレースを展開したアドマイヤダイオウとナムラシングンだけである。一言でいえば、ミッキーロケットは『史上最強世代』の波に飲まれた運の悪い「隠れ実力馬」ということだ。

 そんなミッキーロケットに先着したカルヴァリオは、それだけでも水準以上のレベルにあるといえる。その証拠に3着以下には3馬身以上の差がついており、2000mの勝ちタイムの1:59.7は、前週の函館記念(G3)でも掲示板に載るレベルだ。順調にいけば、来年あたりには重賞戦線に顔を出していても驚けない。

 それにしても、冒頭で触れたようにこの「狂気の天才」フィンセント・ファン・ゴッホから命名されたマツリダゴッホという種牡馬は、なんとも不思議な存在だ。

「時代遅れの血筋」に「日本で勝ち切れない欧州種牡馬」を次々と覚醒させるマツリダゴッホは、やはり「狂気の天才芸術家」なのか……競馬界の鬼才がサラブレッド生産の常識を覆すのページです。GJは、競馬、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

17:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
  2. JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
  3. “ルメール依存症”が日本ダービーにも影響?春のG1シーズンで思わぬ誤算…「28連敗」の敏腕トレーナーに試練のトライアル
  4. 【天皇賞・春】関東クラシック馬タスティエーラ、ドゥレッツァVS関西テーオーロイヤル、ディープボンドら最強ステイヤー軍団。激戦の鍵を握る“第3の刺客!?”
  5. 本命馬が出遅れたら「自分の勘を疑うべき」なのはなぜか?キャプテン渡辺が考える「今日はダメだサイン」2つ【徒然なる神のくず競馬トーク】
  6. 横山武史「乗り替わり」の無念を晴らす重賞勝利に会心ガッツポーズ! 初のメイン勝ちなど大暴れ「妹弟子」の活躍も刺激に?
  7. 【天皇賞・春】「賛否」分かれる名馬のレース名と条件、芝のコパノリッキーやダートのロードカナロアに違和感ありあり…ライスシャワーもスプリンターだった?
  8. 【チャンピオンズマイル(G1)展望】海外転戦“5億円ホース”が世界最強ゴールデンシックスティに挑戦!昨年のNHKマイルC覇者が道悪で急浮上?
  9. 【青葉賞】「幻のダービー馬」スキルヴィングの勝利から1年…待ち受けていた悲劇的な結末、改めて痛感する人馬無事の大切さ
  10. 【天皇賞・春】菱田裕二「師弟コンビ」で悲願の初G1制覇へ! 川田将雅、C.ルメール不在もチャンス、「勝率5割」のデータが人馬を後押し