パチンコ「旧世代最後の正統派」…“本当はすごい人”も絡むドラムマシン!
本当はすごい人。自分の無知を棚に上げて「本当は」などと上から物を言うような高慢な表現ではあるが、有名な人物や実績の優れた人物を媒介してそのすごさを知るようなタイプの人が一定数いるのは事実であろう。
例えば、ミステリー界の世界で一番才能があると思っている作家に、男性であれば京極夏彦、女性であれば宮部みゆきという二人の天才がいるのだが、なんとこの二人は「大沢オフィス」という作家・大沢在昌の事務所に所属しているのである。
『新宿鮫』など名前は知っているものの、前述の二人からすれば知名度などは極端に劣るであろうと私が刷り込んでいる大沢在昌イメージに対しての評価は、大沢オフィスの存在によって裏返ることとなるのである。
天才の称号は言うに及ばず、「実はすごい人」も憧れる人物評である。私には自分で喧伝するしか方法がないのでこれから自分で「実はすごい人」ですって触れ回ろうと思う次第である。
さて、大沢在昌についてあまり知られていないマイナーな作家であるような論調を展開していたが、パチンコファンには知られた存在かもしれない。大沢原作のライトノベルを題材にしたアニメとのタイアップマシンがリリースされているからである。
『CR黄龍の耳』。ミドルタイプのドラム機である。
大当り確率は1/341で確変突入率が4/9、次回まで継続する確変システムを搭載しているが継続回数は最大5回までとなっている。
そう、いわゆる5回リミッタータイプなのである。確変突入率が約44.4%と微妙な数値に設定されていたり、「BAR」図柄が確変図柄だったりとちょっと変わり者を演じることで個性を発揮しようとするタイプの機種となっている。
とはいえ、それ以外はいたってノーマルで、赤7とロゴ図柄が一直線に並ぶチャンス目や右リールから先に回転する予告機能、ノーマル・ロングの他に当該図柄プラスマイナス3コマ付近になると1コマずつ変動と停止を繰り返す「コマ送りリーチ」などオーソドックスな演出が展開する。
スペックも演出もつぶだてて言うような機種では正直ないのであるが、なぜ印象に残っているかというと、本機が登場した1997年以後、パチンコ表現は完全に液晶に取って代わった感があり、これ以降ドラムマシンが激減したような印象があったからである。
つまり、旧世代ドラムマシン最後の世代であり、ステレオタイプの「ドラム機」イメージを体現するギリギリの機種となるのである。そして『CRフィーバーアラビアン』や『CRフィーバークイーン』、『CRフィーバーメガクイーン』などのSANYKO王道タイプとはまた毛並みの違ったドラムということで記憶に刻み込まれていたようである。
(文=大森町男)
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