JRAホープフルS(G1)「川田の目にも涙」……史上2頭目のG1降着2度「迷惑ばかり掛けてきましたので」不名誉乗り越え頂点に感無量の漢泣き

「すみません、ちょっと……」
26日、中山競馬場で行われたホープフルS(G1)は、1番人気のダノンザキッド(牡2歳、栗東・安田隆行厩舎)が優勝。昨年のコントレイルに続き、無敗の3連勝で世代の頂点に立った。
15頭立てで行われた芝2000mのレース。好スタートを決めたダノンザキッドは、先団を見るような形の好位からの競馬。向正面で外からバニシングポイントが早めの進出を開始したが、レース後に「道中にリズムはあまり良くなくて、出入りの激しい競馬になりました」と語った鞍上の川田将雅騎手が、しっかりとなだめていたのが印象的だった。
そのバニシングポイントが4コーナーで2番手からズルズルと後退し、逃げていたランドオブリバティが外へ逸走して、三浦皇成騎手が落馬するアクシデント……。先頭集団がそっくり入れ替わって迎えた最後の直線、押し出されるように先頭に立ったのがダノンザキッドだった。
「なんとか勝ってくれ――」
そう願った川田騎手が必死の檄を飛ばすが、道中のリズムを欠いたダノンザキッドの伸びは決して手応え十分ではなかった。内から、C.ルメール騎手のオーソクレースが食い下がり、外から武豊騎手のヨーホーレイクも手応え良く伸びてくる。
柄は白、赤一本輪、赤袖白一本輪の勝負服。ダノン軍団と川田騎手は、これまでG1で何度も何度も苦杯をなめてきた。今回もまた脇役に転じてしまうかと思われたが、ダノンザキッドの力強い走りは最後まで衰えなかった。
「師匠と共に、やっとG1のタイトルを取ることができて嬉しく思います」
川田騎手にとって安田隆行調教師とのG1制覇は、まさに歓喜の瞬間だったのだろう。ここまで数多くのビッグタイトルを手にし、今や押しも押されもせぬ日本のトップジョッキーだが、師匠とG1制覇は初。それも親交の深いダノックスの馬で勝てたこともあって、喜びもひとしおだったはずだ。
「オーナーさんからも、たくさんいい馬に乗せていただきながら(勝てず)……。何より、先生に迷惑ばかり掛けてきましたので……」
そこまで語った川田騎手だったが、感無量のあまり「すみません、ちょっと……」と漢泣き。声を詰まらせながらも「それが一番、嬉しく思います」と喜びを露わにした。
「川田騎手と安田調教師といえば、川田騎手が若手の頃に主戦を任されていたダッシャーゴーゴーが思い出されます。重賞を3勝したように、G1に手が届きそうな強豪でしたが、2010年のスプリンターズS(G1)では最後の直線で斜行……。降着処分を受け、川田騎手も騎乗停止になりました。
さらに翌年の高松宮記念(G1)でも3コーナーで斜行してしまい、再び降着処分に。G1で2度目の降着は制度導入以来2頭目と、川田騎手にとっても不名誉な記録となってしまいました。本人も覚えているでしょうし『先生に迷惑ばかり掛けた』という言葉には重みがありますね。今回はおめでとうございます」(競馬記者)
また、川田騎手はダノンザキッドの馬主となるダノックスの主戦としても知られている。
特に安田厩舎所属のダノンスマッシュも、かつてのダッシャーゴーゴーと同じように川田騎手が主戦を務めながらもG1の壁に跳ね返されてきた存在だ。R.ムーア騎手とコンビを組んだ先日の香港スプリント(G1)で待望のG1制覇を成し遂げた姿には、川田騎手にとっても思うところがあったに違いない。
「無事に期待に応えることができ、ここまで負けることなく歩みを進められました。また、競馬場に来て走る姿をお客さんに見せることができればと思いますので、来年を楽しみに待ってもらえたらなと思います」
新馬戦→東京スポーツ杯2歳S→ホープフルSの3連勝は、昨年のコントレイルとまったく同じ。師匠と悲願のG1制覇を果たした川田騎手が、来年はクラシックをリードする。
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