JRA ダノンザキッド安田隆行調教師「日本ダービーに使いたい」も、まさかの勝率「1.2%」の壁……酷似する「12年前」あのダービー馬の再現となるか
先月18日に行われた、牡馬クラシック1冠目の皐月賞(G1)。
1番人気に支持されながらも、良いところなく15着と敗れたダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)はレース翌日「やはり疲れている」との理由で、日本ダービー(G1)への出走は未定となっていたようだが、先日、管理する安田隆行調教師は『スポーツニッポン』に対して「ダービーに使いたい」とコメント。ダービー出走を視野に入れている様子であることが分かった。
2歳時には3連勝でホープフルS(G1)を制し、JRA最優秀2歳牡馬のタイトルを獲得したダノンザキッド。今年に入り、弥生賞(G2)3着、そして皐月賞15着とやや精彩を欠いているものの、地力は確かだと思われるだけに、ダービーでの挽回に期待したいところだ。
だが一方で、前走で大敗したダノンザキッドにとっては、非常に厳しいデータも存在している。
ダービーのフルゲートが18頭となった1992年以降、前走で2桁着順だった馬のダービーでの成績は【1-2-1-79】となっており、29年間で83頭が出走するもわずか1勝のみ。勝率は1.2%という非常に厳しい数字となっている。2桁着順からダービーで巻き返しを図るのは、やはりそう生易しいものではないのかもしれない。
そんな中、唯一巻き返しを決め、見事にダービーの戴冠を勝ち取ったのが2009年のロジユニヴァースである。
デビュー以来4戦4勝、重賞3連勝で皐月賞に臨んだロジユニヴァース。単勝オッズは1.7倍に支持されたが、1000m通過59秒1のハイペースに巻き込まれ、4コーナーでは早くも後続に飲み込まる展開に。直線ではなす術もなく、勝ち馬アンライバルドから1秒9離された14着に敗れた。
巻き返しを図るべく出走した第76回日本ダービーは、ゲリラ豪雨の影響により、40年ぶりの不良馬場に。皐月賞の大敗もあってか、やや人気を落としていたロジユニヴァースだったが、1枠1番からスタートを決めると、道中は3番手を追走。直線では武豊騎手が騎乗するリーチザクラウンの内に潜り込むと、後続に4馬身差をつけて頂点に。騎乗していた横山典弘騎手は、これが嬉しい日本ダービー初制覇となった。
2桁着順からダービー優勝を目指すのは生易しいものではないかもしれないが、今回のダノンザキッドと、唯一それを達成したロジユニヴァースとでは、似ている部分もあるかもしれない。
4戦4勝で皐月賞に挑戦したロジユニヴァースと、4戦3勝3着1回という、それに近い成績で皐月賞に出走しているダノンザキッド。共に1番人気に支持されながらも、4コーナーで手応えを無くし、勝ち馬から1秒以上離された2桁着順へと敗れている点。
以上の条件でダービーに出走し、ロジユニヴァースが巻き返しに成功したのであれば、それに酷似しているダノンザキッドもダービーでの巻き返しが無いわけではないだろう。
一度の大敗で皐月賞の上位陣との勝負付は済んでしまったと考えるのは、やや早計であるかもしれない。ダノンザキッドには12年前の再現を期待したいものである。
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