「規格外の馬でしたね」福永祐一&「幻のダービー馬」シルバーステート“第2章”開幕! 武幸四郎調教師「大したもんです」1番人気メリトクラシーが快速発進!

13日、中京競馬場で行われた新馬戦(芝1200m)は、福永祐一騎乗の1番人気のメリトクラシー(牝2歳、栗東・武幸四郎厩舎)が勝利。新種牡馬シルバーステートの産駒にとっても記念すべき初勝利となった。
「厩舎サイドが勝つための準備をしっかりしてくれて、それがレースに反映されましたね。スタートから最後までしっかり走ってくれて、楽な競馬ができました」
9頭立て、芝1200mのレース。抜群のスタートを決めたメリトクラシーがスピードの違いでハナに立つと、あっさりと主導権を掌握。単勝2.8倍の1番人気が楽にアドバンテージを握った時点で、レースはほぼ決着していたのかもしれない。そのまま内ラチを頼りに、2着馬に1馬身差をつけて逃げ切ってしまった。
「規格外の馬でしたね。エンジンの性能に関してはピカイチでした」
昨年9月にアップされた『DMMバヌーシー公式チャンネル』の動画で、福永騎手が未だ消えぬ思いを語ったのは、5戦4勝で引退し「幻のダービー馬」とまで称された、メリトクラシーの父シルバーステートだ。
昨年、コントレイルとのコンビで史上3頭目となる無敗三冠を成し遂げるなど、今や押しも押されもせぬ日本を代表するジョッキーになった福永騎手。そんな数多の名馬を知る大騎手をして「No.1」と言わしめたのがシルバーステートだった。
「最終的に競走馬として重賞を勝つこともなかったですし、大成することはできなかったですけど『そのエンジンの性能にボディがもたなかった』というのが、僕の印象です」
2歳夏のデビュー戦こそ、後のG1馬アドマイヤリードにアタマ差後れを取ったものの、未勝利戦を5馬身差で圧勝。単勝1.1倍に推された紫菊賞(500万下当時)をほぼ馬なりのまま上がり3ハロン32.7秒の末脚で突き抜けると、一気にクラシック戦線の中心に躍り出た。
しかし、翌年年明けに屈腱炎を発症してクラシック挑戦を断念。4歳5月に迎えた復帰戦のオーストラリアT(1000万下当時)は約1年7カ月ぶりのレースとなったが、終始持ったままで楽に抜け出して3馬身差の完勝を飾った。
しかし、さらに続く垂水S(1600万下当時)も連勝し、いよいよG1制覇の期待が高まったものの再び屈腱炎を発症し無念の引退となった。
「いきなりこういう依頼をもらえたのは嬉しいね」
志半ばでの引退を迎えてから4年。今年の新種牡馬となったシルバーステートの産駒に騎乗する機会を得て、福永騎手の声も弾んでいた。そんな4年越しの思いをぶつけた快勝劇だ。
「(種牡馬シルバーステートの)サークル内の評価が高かったので、嬉しく思っていましたが、産駒の初勝利も自分の騎乗で挙げられて嬉しいですね。いいスピードがあります」
レース後、福永騎手がメリトクラシーをそう評価すれば、武幸四郎調教師も「短いところが良いとは思っていたけど、(馬が)力んでの1200じゃない。トレーニング量もエサの量も牡馬と一緒。こうして勝ってくれたんだから大したもんです」と期待を寄せる。
かつて福永騎手とシルバーステートが成し遂げられなかったG1制覇の夢と「No.1」の証明へ――。いよいよ“第2章”の幕が上がった。(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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